序章 二
意識が浮上すると共に、風が頬を撫でる感覚が来た。
「おぉ……、凄いな」
と、少し高い綺麗な声が聞こえてきた。
これは凄い。何か語彙力が足りない感じだが、『凄い』としか言えない。
今、俺が居るのは草原だ。体を回して、周囲を見ると、森と、遠くに城壁っぽいのと、視界の隅に黒い長髪が見える。
そして、何かやけに胸が重い。
…………現実逃避はこれぐらいにして、
「なんっっっじゃこりゃぁぁあああ!!!」
俺、女になった。
いや、さっきキャラメイクしたじゃん……。
◇◆◇
しばらく前の体との違和感が無いか試していたが、特に問題は無いっぽいな。
さて、これからどうしたもんか?
そう考えていると、不意に周囲の風景がブレた。
「……え?」
あれ? 何かいきなり周囲の色が消えた? え? なんでモノトーンになるの? どんどん暗くなるんだけど。どうなってんの?
取り敢えず、落ち着くまで待ってみれば、何か変な空間に居るんだけど。
地面が白くて、空が真っ黒な空間て感じ。周囲360度何も無い…………ん? ちらっと人が見えた様な?
取り敢えず、人影に向かって進もうかな。そう思ったら、声が聞こえた。
「人。居る。此処。何故?」
何かスッゴく独特なしゃべり方だなぁ、と思っていると目の前に人が居た。人といっても、幼女なんだけど。
「居る。何故? 答える。」
え~と、何で此処に居るか? って事かな。正直に言って良いのかな?
だって、明らかに此処って地球じゃないし………。
いきなり異世界から来ました。なんて言われても困るだろうし……。どうしよう…………。
「貴女。有る。選択肢。2つ。選ぶ。1つ。出る。此処。2つ。後継者。なる。私達。」
うだうだ悩んでいたら、選択肢を突きつけられました。何でだ? 悩むのがダメだったのか?
選択肢は2つに1つか……。さっきから思っていたが、これって現実だ。慎重に選択しなきゃ。
ですが、そうは問屋が卸さないようで、
「貴女。決める。早く。」
何かめっちゃ催促してくるんですけど……。
面白そうな方を選んでみるか!!
「……後継者になります」
「判った。やること。簡単。私達。殺す。私達。死ぬまで。私達。死ぬ。後。3000年弱。」
「おいおい、私達の一人よう。そう言ってもわかんねえぞ。きょとーんってなってるしな。ちょっと替われ」
え~と、どゆこと? いきなり口調が変わったぞ? ついでに見た目も変わった。幼女から、中性的な大人になった。パッと見、性別は判らん。
そう思っていると、説明してくれました。
まとめると、
・この人達は後3000年弱で死ぬらしい
・死ぬ前に、後継者を育てたい
・でも、此処にはまず人はこれない
・半ば諦めてたら、俺が来た
・出来れば後継者になってほしい
って感じだって。
でも、俺が後継者になる事を了承したから、五つ目はクリアだね。
「え~と、良いのか? 自分で言うのもあれだが、私達っていろんな意味で有名だぞ」
「少し聞きたいんですが、この世界って何ですか?」
「この世界。名前。エストラ。」
うおっ!? いきなり大人から幼女になったぞ!? いきなり替わるとビックリするな。
……やっぱり地球じゃなかったか……。
「聞くこと。ある。他に?」
「……あなた達は何?」
意を決して聞いてみた。だってこんなところに住んで居るんだよ!? めっちゃ気になるんですけど。
「……私達はこの世界に伝わる伝説の1つ、『禁忌の獸』又の名を、『禁獸:アニマス』の集合体」
……幼女の方でもちゃんと喋れんじゃん!!
「じゃあ、こちらも本当のことを話そうかな」
こう言ったら、幼女が首をかしげた。こういうポーズって、幼女がやると映えるよな。
「俺は、この世界ではない別の世界から来た。所謂異世界人ってやつさ」
これを聞いた幼女はそんなんどうでもいいみたいな顔をした後、
「私達。交代。」
と言った。するとさっき見た、中性的な大人になった。
どういう事だ? 異世界人って珍しく無いのか?
「私達の後継者になるから忠告するけど、異世界人ってのは他人に言わない方がいい。この世界は異世界人に対して、凄く厳しいんだ」
え? どゆこと?
「異世界人とばれただけで、拷問されて異世界の情報を吐かされるから」
なにこの世界? 末期かな? ばれない様にしよう。
でもなんでこの人達はそんなことしないんだ?
「君は、私達の後継者になるからね。そんなことで死なれては困るんだ」
なるほど納得。
◇◆◇
「取り敢えず、後継者になるためにはこの『刻印』を移さないといけない。でも、『刻印』は持ち主から移すことができないんだ」
ん? それって、二度と移せないってことじゃ?
背中にある刻印を見せて、師匠(そう呼ぶことにした)は説明をしてくれた。
「でも、移す方法はあるんだ。それは、……『刻印』の持ち主を殺すこと」
え~と? つまり師匠は、
「死にたいってことですか?」
「まぁ、簡単に言ってしまえばそうなんだ。私達は殺せる可能性を持った人物を後継者にしようと決めていたからね」
……俺が師匠を殺す? できない気がするんだけど……。
「君だって人じゃないだろう?」
…………え?
「君からは、何も感じない。生物なら誰しもが持っている生命力? が君からは全く感じないんだ」
心当たりは、…………ある。
「心当たりがあるような顔だね。それを話してもらえるかい」
俺は話した。キャラメイクのことを。
◇◆◇
「なるほどねぇ。恐らく、そのキャラメイクとやらが原因で、君からは生命力が感じられないんだろう」
いやー、俺もそう思いますよ。だって、適当にセットした[その他]がこんなことを引き起こすなんて、想像出来ないっすわー。
「まぁ取り敢えず、これからのことを話そう。君には、私達を殺し、刻印を継承してもらう。期限は、私達が死ぬまでの3000年間だ。そのための、特訓も行うぞ。無論、特訓で殺してくれても構わない。まぁ、そんなんで殺される気はさらさら無いがな」
「わかりました」
「あぁそれと、知識も習得してもらうから」
何でもない様に言われた……。
それから、3000年と200年が経過した。




