彼女との出会い
小説を書くのは何年ぶりだか…。
前に書いた時?某懸賞に応募してもちろん玉砕しましたよ。
このサイトへは初投稿です。
良かったら読んでやってください。
最初のうちは単調かもしれず、
途中は単純な話かもしれずですが、
最後はその単調で単純な日々が愛おしく思える、そんな切ない物語に仕上げるつもりです。
ただ…、筆が遅いのでいつ仕上がるかな。
文章力は…、大目に見てやってくださいませ。
プロローグ
季節が巡り、初夏の風が心地良く肌を掠めていく。
あの日あの部屋で響いた1つの銃声と崩れ落ちた彼女の面影と共に。
1.
繁華街の片隅にある古びた雑貨店。骨董なのかガラクタなのかよく分からないような代物ばかりということもあり、訪れるお客はさほど多くはない。
1番の常連客はこの辺りを縄張りとしている野良猫で、気の向くときに訪れて、商品と区別がつかないような状態で寝ては、また気がつけばいなくなっている。
かく言うこの店の主人である自分も、端から見れば商売をする気があるのかどうか怪しいとしか思われていないのだろうが…。
そんなことをなんとなく思っていると、いつの間にかお客が訪れていた。
声をかけるのも面倒だが、一応商売なので声をかけようかと思っていたら、
「よう、相変わらずだねぇ」
と、向こうの方から声をかけてきた。
「あ、これは、翁じゃないですか。今日は何をお探しですか?」
お客は、こんな店にちょこちょこ顔を覗かせては、いつも風変わりな物を買っていかれる初老の男性で、いつしか「翁」と呼ぶようになっていた。
「いや〜、また物珍しい新しいものがないかなと思ってのぉ」
「うちはそんなに物を仕入れる気はないですよ。ただでさえ、客が少なくて商品は余ってるんですから」
「そうかい、ならどうせ暇なんじゃろ。少しはこの老人の話相手でもしてくれぬかのぉ」
「仕方ないですね、今日はなんの話ですか?」
まあ、いつものお決まりである。
「いやなぁ、最近またデカいネズミがでてのぉ、どうしたものかと」
「ネズミ退治ならご自分でされたらどうです?あ、確かその辺りに罠になりそうな道具が」
「ははは、ほんとくだらない物はよく揃ってるのぉ。じゃが、今度のネズミは頭も働くし、感も鋭く、警戒心も強くてなかなか仕留めれんのじゃよ。ほれ、こんなネズミなんだが、なかなか手強そうだろう。顔の刺青とかなかなか厳つうてのぉ」
と言いながら写真を見せてくる。確かになかなか切れ者の最近この界隈の裏世界で名をあげている奴がそこには写っていた。
「なるほど、確かに手強そうですね。で、どの辺りにでるのですか?」
「少し遠いが、最近ちとトラブルのあった例のバーが根城みたいじゃのぉ」
「仕方ないですね。いつ始末すればいいんですか?」
「まあ、早いうちに越した事はないかのぉ。あまり悪さが過ぎると、ちと面倒なんでな。ではよろしく頼むよ」
数日後、また例の翁がやってきた。
「おうおう、相変わらず元気かのう?まあ、店はガラガラじゃがのう」
「今日は何の御用ですか?」
「いや、例のネズミ退治のお礼じゃよ。いつもながら手際がいいのぉ」
「ありがとうございます」
渡された封筒の中身はいつもより多かった。なるほど、だいぶ縄張りを荒らされていたという事か。
「そういえば、桜の季節じゃし、どうせお客もいないのだから、たまには店を閉めて花見にでも行ってきたらどうじゃ。若いのがそう毎日毎日暗闇に篭っていては身体にもよくないぞ?」
いやいや、翁も自分も、充分暗闇に染まった輩だと思いますが…。
2
まあ、そうは言っても、相変わらずお客がいないのは事実だし、臨時収入も入ったことだし、翁に言われたこともあり、昼から店を臨時休業として、花見に行くこととした。
今年は例年よりも開花が遅かったせいか、丁度今が見頃のようだ。しかし、外に出て気づいたが、選りに選って今日は世間は休日ではないか。
家族連れやらカップルやら新歓の塊やらで桜のある辺りはなかなかに賑やかなことである。
元々人混みは苦手なこともあり、できれば人の少ない平日にすべきだったかとの後悔に苛まれつつ、今から引き返す気にもならず、できるだけ人気の少ないところを探すことにした。
幸いにも人で賑わう辺りから少し外れたところにそれなりの橋を見つけ、1人遠目に桜の花を眺めることとした。
思えば花見なんて何年ぶりだろう。
家族連れやカップルの楽しそうな雰囲気は、微笑ましいことである。しかし、一方で父親の顔すら見たことがなく、母親も小さい頃にいなくなり、家族と楽しく過ごした記憶もない。また、生まれてこの方彼女のいなかった自分には、そのような楽しげな雰囲気を見ていると何処となく虚しい気持ちになることも、また事実だった。
そんな想いに耽っていたら、近くで何か騒がしい音がしてきた。音の方を見てみると、1人の女の人が、複数の輩に絡まれているところだった。女の人は明らかに迷惑で困惑と恐怖を感じている表情であり、輩達はちょうどいいくらいに酔っ払ったついでにナンパしてる様子である。
面倒な事はごめんだと思って、どうにかやり過ごそうと考えていたところ、女の人と目が合ってしまった。
流石に助けに入った方がいいのかなと思い直していたら、女の人はこちらに走ってくるではないか。
そして、
「ごめん、待ち合わせに遅れて。待った〜?」
と声をかけてきた。
無論知るはずもない相手だが、それはそれ。今は場の雰囲気から、
「いや、待ってないよ。それよりも早く行くよ」
と、いかにも待ち合わせの相手であるかのようなことを言ってしまった。
彼女からすれば、連れのいる女の人であれば、輩達も諦めるだろうと思ってのことなのかもしれないが、果たしてそう上手くいくのか内心不安であった。
とは言え、乗り掛かった舟である。今更後には引けない。
こちらに来るようなら覚悟を決めるかと思っていた。
が、
「何だよ、相手いるのかよ、面白くない。次行くぜ。」
以外とあっさり何処かに行ってしまった。
さて、自分はこれで用無しだし、さっさとこの場を離れるかと思っていたら、
「突然すみません。おかげで助かりました」
とお礼を言われた。
「いえいえ、特に何もしてませんから」
「でも、助かったことには変わりはないですし…、でも、また絡まれたりするのイヤなんで、もしお相手がいなければ、ご一緒できませんか?」
なんとも、まさかのお誘いである。まあ、彼女のからしたらまた知らずの相手に絡まれるのはイヤなんであろうが、
「確かに自分は1人ふらふら花見をしてますが、貴女にはお連れの方はいないのですか?」
「残念ながらいないのですよ。そもそもいたら今みたいに1人で知らない人達に絡まれたりしませんまん」
確かにその通りである。
それに縁あって話すことにもなったし、明るくて可愛い感じの女性である。いつもならそんなこと言うはずもないのだが、つい
「自分みたいなのでよければ」
と言ってしまい、彼女としばらく花見に付き合うこととなった。
彼にしては、この出会いが偶然ではなかったことなど知るよしもなく…、
彼女にしても、この出会いの先に待ち受ける出来事をを何も知らないままに…、
ただ、運命の歯車がカタカタと回り始めたのであった。




