4話 不思議な銃、便利なアソコ
川沿いをガインと2人で歩きながら、なるべく変な感じにならない様に会話を合わせていく。適当にしてたらその内に厄介な事になりそうだし。
「そういやぁお前、武器になるようなモン持ってないのな?
何日もココに居たってんのに。
良く危険な奴らに襲われなかったな、獣とか魔物とか」
また、病気がでてきたな。
と、蒼真は思いながらも会話を合わせていく。
「一応持ってるぞ、コレとコレな」
両足に着けているレッグホルスターからシグとデザートイーグルを抜いてガインに見せる。
ショートソードは洞窟に忘れて来てしまった。
肉捌く以外に、使ってなかったから良いんだけど。
「何だそれ、そんなんで倒せるのか?
あれか?そいつで殴りつけたり投げつけて攻撃するのか?」
「いやいや違うよ、こいつはな・・・・・そこの木見てろよ、一本だけ離れている奴だ」
銃を見た事無いのか?ホントどこの国の人だよこの人は。
見た事が無いのであれば一応見せとくか、熊さんたちが出てきた時邪魔されたくないしな。
右手に持っていたシグを片手のまま構えて3発ほど適当に撃つ。
撃った弾は10mほど離れていたが誤差2cm位で纏っていたのでまぁ及第点かな?っと思う。
最近は何となくだが射撃の腕が上がっってきた気がする。
「音うるさ!!
・・・で、今ので何が起きたんだ?・・・ん?木に穴が空いてるが・・・」
「そうだ。
コレはな、有る程度離れた所の目標まで矢の代わりになる弾丸を撃ちだして攻撃する事が出来るんだ。
良ければこいつで1発撃ってみるか?」
「そう言やーそんな武器があるって、確か聞いた事があるな。実際に見た事ないけど。
しかし良いのか?・・・じゃあ使い方を教えてくれ!」
ガインが目をキラキラさせて俺を見てくる。
身長は俺より高くてゴツイのにそんな目で見るな、キモイぞ。
使い方を教えてシグを渡す。特に銃口は絶対に俺に向けるなと教えてある。
あ!間違えました。っで、死にたくないもんな。
「構えは・・・こうか。
撃つぞ・・・・・・・・って使えないぞ?
もしかして俺、壊しちまったか?」
ガインは立ったまま両手で構えて引き金を引く、ハンマーがきちんと作動しているが不発に終わる。
何回かガインは引き金を引くが弾が発射されず撃てない。
「そんなはずは無いはず、一旦返してくれ」
受け取ったシグを確認して同じ木に撃ってみる。
パァン!っと乾いた音と共に弾が発射された。
「撃てるみたいだ。
今度こそ良いぞ」
そう言ってシグを渡す。
気を取り直してガインは撃とうとするが、また誤作動を起こして撃つ事が出来ない。
ガインと俺が交互にシグを撃つと、俺だけが撃つ事が出来た。
何でだ?いまいち訳が分からん。
「あぁ・・・まぁ・・・なんだ・・・・・済まん、ガイン」
「いいんだ、理由は分からないがソーマしか使えない様だしな。
それについてはお前も知らなかった様だしな」
気にするなと言ってくれている様だがガインは、肩をガックリと落として落胆している。
その姿はまるでお気に入りの玩具を取り上げられた小さい子供の様だ。頭の光も心なしか輝きが失われている気がする。
わざとじゃないんだが、もの凄く俺が悪い気がしてきた。
再び歩き出した俺たちは相変わらず平和だ、危険な事に遭わなくて済んでる。
そうなってくると別の課題も出てくる。
「そう言やぁ、いい加減腹が減ってきたな。
ソーマ、お前はどうだ?」
腹をさすりながら聞いてくるガイン。その目が辺りを彷徨わせている所をみると食べれる物を探しているんだろう。
でも残念、果物はこの辺にはもう無い。とっくに通り過ぎたからな。
「俺も同じだ、さっきの果物でも採っておくんだった。」
コンビニでも在れば行きたいんだけどな、本気で思っていたらほんの一瞬光が目の前で光った。
光を認識した瞬間、俺はコンビニに居た。最後に立ち寄ったあのコンビニに。
「いらっ「はいーー?!?!?!」しゃいませー!」
俺の絶叫と共に店員の挨拶が重なる。
どうゆう事?さっきまでのは夢?いやいや銃持ってるし、荷物も持ったままだし何で?
WHY?誰か教えてくれぇ!!!
「おや?
誰かと思えばお前さんか、またここに生きたまま来れるとはのぉ」
カウンターに居た店員2人のうち1人はゲームを買った時に居た爺さんだった。
「あぁぁ!!!
あの時の爺さん!
頼む助けてくれ!ココから出たはずなのに森に居るわ、熊さんたちに追いかけられるわ。挙句崖から落ちて川で流されるし!!
なのにまたココに居るし!!
けれどもそれが夢の様な気がするし、頼む!訳が分からないんだ!!!」
「あああああああ、き、気も、ち悪、い。
まずは落ち着いてくれんかの?
そしていい加減揺らすのを止めてくれんか?これ以上揺さぶられるとワシ、直ぐにでも口から輝くお水を出しそうだ」
俺はいつの間にかにレジカウンターに正座で上り、爺さんに掴みかかり揺すっていたらしい。
「す、済まん、申し訳ない。」
カウンターから降りて爺さんに謝る。爺さんの顔は真っ青とまでは言わないが、くっきりと青くなっている。
「いいんじゃ、気持ちは何となく分かる。
そうじゃな、ミルエル、売り場は任せるぞ。
蒼真君、君はワシと裏の事務室に行こうかのぉ」
ミルエルと呼ばれた女性店員に店内に残るように言った爺さんは、俺を事務室に案内しながらカウンターから移動を始めた。あれ?俺、自己紹介したっけか?俺の名前を爺さんは普通に読んだけど。
なんて思いつつ爺さんの後をついて行った。
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