3話 光る玉と出会う
森をさまよい始めてから何日のも日々を過ごした。未だに人の住んでいる所どころか人にすら会っていない。
会うのはあの時の熊さんたちやデカい野良犬?たちばかり、他は猪とか鹿をたまに見かけたり遭遇したりするぐらいで変わらない。
今居る所も偶然見つけた川沿いにある洞窟でここには熊さんたちも近寄ってこない。
だから寝たりするのには事欠かないが食べ物が森の果物か動物の肉位しかない、肉はショートソードで切り裂いて、そのまま焼く。果物は丸かじりするしかない。
肉はあまり食べない様にしている。動物とかを殺すとどこからともなくあの熊さんたちが湧いてくる。
肉を捌くのも面倒なのでたまにだ。
「今日もどうするかな・・・・・・」
っと川岸に座ってボーっとしている。
何日か前に思ったが動かない方が助けが来るんじゃね?と思い、ココから近い洞窟に留まっている。
暇だなーなんて考えていたら。目の前の川を川上から丸ハゲのおっさんが流れてきた。
「あぁ・・・おっさんが流れてきた・・・・・・・・・・今日も平和だねぇ・・・・・・・・・・・・・って人ぉ?
何で流れてきてんの?
崖から落ちたんか?・・・・・・じゃなくて引き上げないと!」
俺も川の中に飛び込んでおっさんを引き上げる川岸まで引き上げる。
何で直ぐに気付いたかって?そんなのは簡単だ・・・・おっさんの頭は太陽に当たって光っていたのだ、しかも水に濡れて余計に分かりやすくな。
おっさん自体は息もしていたし血が出ていないようだから怪我は無い様だ。
けれども別の問題があった、まず何でかは知らんが右手に槍を確りと握っていて放さない。このおっさんは危ない人なのだろうか?
次いでに剣道の胴に着ける防具の様な物を身に着けている。この防具?は革製の様だが見た目は硬そうな素材だった。何より日本って感じではなく外国人だと思う顔つきだ。
「おっさん!!起きろ!大丈夫か!!おい!起きろこら!!」
気絶しているのか寝ているのか正直分からんから、おっさんを起こすためにおっさんの右頬を怒鳴りながら引っ叩き、ついでに左頬も差し出して貰い引っ叩く。往復で何回も。
因みに心肺蘇生なんてできないぞ俺。
「・・・うぅ痛てえ・・・・・両頬が痛てぇ・・・・・・って!誰だお前!!」
おっさんが目を覚ましたようだから叩くのをばれない様に直ぐに止めて退くと、おっさんが俺に気がつき飛び起きると持っていた槍を俺に向けて構えてきた。
ホント、よく流されていた時に槍を離さなかったな。
「何だよ、せっかくおっさんが流れて来たから岸まで助けてやったのに礼の一言もないのか?」
おっさんは、自分が川を流れていた原因を思い出したのか槍を向けてくるのをやめて俺に謝ってきた。
「いやー済まなかった、ランニングベアーの群れに追いかけられてな。
川に崖から落ちたんだわ。済まない、助けてもら様なのにな」
あの熊に追いかけられると崖から追いかけられるのは決まっているのか?
それに何だって、ランニングベアーだって?走る熊って何なんだよ。普通走るし、結局はただの熊じゃんと思いながらも。
始めて森を彷徨ってから人に出会い少しだけ嬉しかったりする。
「良いんだ、川岸でボーっとしていたらおっさんが流れて来たからな。
それで助けただけだし。
・・・・・・・それに危うくおっさんが流れて行くのをボーっとしすぎて見送りそうになったしな」
「ってうおい!、見送るって何だ!見送るって!」
すぐさま突っ込んでくるが気にしない様にする。
「あまり気にするな、それでおっさんの名前は?それとガラケーかスマホ持ってる?持っていたら貸してくれ。もしくは近くの人里までの道を教えて欲しんだけど」
「あぁ、名乗っていなかったな。
俺はガインって名だ。お前の名前は?それとガラケー?スマホ?ってなんだ?
あと俺はおっさんではない、まだ32才だ。
お前こそ口調の割には幼く見えるが何才だ?」
何、だ、と?
俺は二重の意味で驚いていた。
今のこの時代に携帯やスマホを知らない人が日本に居るとは。
ガインのおっさんは見た目筋肉質の体に丸ハゲの頭に濃い顔つき、45才ぐらいはいってるとおもっていた。
「俺は蒼真って名前だ、才は・・・・・まあ幾つでも良いだろ?
それよ今時携帯すら知らないってホントかよ。
じゃあ電話が有るとこ知ってる?」
「分かった、ソーマだな。
さっきから済まんがデンワって何だ?
何かの魔道具か何かか?」
魔道具?こいつ良い才して中ニ病を未だに引きずってるのか?外国人なのに・・・外国の人は、日本人とは違って大人になってから中二病にかかるのか?
それと俺の名前の発音が、微妙におかしかった気がするが仕方がないか。日本人の名前って発音しにくいって言うし。
この後、幾つもの会話をしたが蒼真とガインの会話はかみ合う事があまり無く、話は平行線のままの状態になっていた。
「よし、じゃあ証拠をみせてやる。
これが魔法だ、『火』よ」
ガインが人差し指を一本だけ伸ばして火と言うと、ポっと小さな火が出てきた。
これはビックリだ。だんなトリックだ?
「凄い手品だな、・・・で、種はなんだ?」
「だから違うって言ってるだろ!」
等の問答をひたすら繰り返していたが結局訳が分からないままっだた。
ガインが言うにはここは商業中立国のクレメルの領地のメルギルという町の近くの森なんだそうだ。
中二病乙って言えば良いのかなかなかな脳内設定だな。
街は川下ではなく川上の方角にあるらしく、俺は逆方向に進んでいたらしい。
「それにしてもお前も大変だな、名前しか記憶に無いなんてな」
「・・・あぁ、それでも何とか生きていられたからな」
俺はガインの話を適当に聞き流しながら答えていたらいつの間にか、記憶が無くなっている事になっていた。
いちいち訂正するのも面倒だし、勘違いさせたままの方が面倒がなさそうだったのでこのままにしている。だって一々中二病患者に懇切丁寧に訂正しても聞き入れてくれないって分かってるしな。
ガイン自体は物事を深く考える事が苦手なのか、俺が話している中で引っかかりそうな所も記憶喪失だからなぁっと、勝手に納得してくれる。
そして面倒見が良いのか俺と一緒に街まで行かないかと誘ってくれた。
一緒に行く事自体も特に問題は無かったので行くと伝えて今に至る訳だがここで1つ問題が有った。
それは俺が持っている銃だ。ガッツリと銃刀法違反している俺なんだが、ガインには問題は無いのだろうか?その本人も槍を持っている時点で違反しているのだがな。
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