12月(6)中・農家と女騎士
大変お待たせしております。諸事情ありまして執筆が遅れております。
ご理解くださいますようお願いします。
翌日の昼下がり。
莞爾は荒い息を吐きながら、どうにかこうにか山の畑をトタン板で囲み終えた。
「ずいぶんと疲れているようだが……」
一緒に手伝っていたクリスが「大丈夫なのか?」と視線で尋ねた。
午前中に買ってきたトタン板では足りず、もうふた往復してようやく足りた。二人とも働きづめだったが、クリスの方が元気だった。
莞爾は微笑んで「大丈夫」と頷いてみせた。
正直に言えば横になりたくて仕方がない。なんだか体が熱っぽいのだ。
けれどもこの程度の不調は慣れっこでもあった。ちょっとばかり熱があるくらいで休めるような状況ではなかった。
クリスに一任するわけにもいかないし、指示を出すだけというのも性格的にできなかった。
トタン板のなくなった軽トラの荷台に腰掛けて、莞爾はふうと息を吐いて煙草に手を伸ばした。しかし、もう煙草の箱は空っぽだった。
「ありゃ、買い忘れてたか」
クリスの注いだ水筒のお茶をちびりちびりと飲んで、小さく息を吐く。寒さのせいもあって吐息は真っ白だった。クリスは辺りを見回しながら言った。
「雪は落ち着いたようだな」
「うーん、どうだかな。こっちは大雪なんて滅多にないし、わりと温暖だからな……それでも冬は寒いけど」
いくら太平洋側に住んでいようと寒いものは寒い。積雪は少ないが、慣れていない分積もると大変なのだ。北陸以北の農家は「その程度の雪で甘えるな」と言いたくなるかもしれないが。
昨日のうっすらと積もった雪もすでにほとんどが溶けている。即座に玉ねぎの植え替えをしておいて正解だった。
今となっては地面は泥濘だらけで、靴底に張り付いた泥のせいで長靴が重たい。
クリスはぼうっとしている莞爾の肩を思わず叩いた。はっと我に返った彼は苦笑いで「すまん」と謝った。すぐに立ち上がろうとしたが、隣に座ったクリスに肩を押さえられ、額に手を当てられた。
「……やはり、熱があるようだが?」
クリスの問い詰めるような物言いに、莞爾はため息をついた。決まりが悪そうに頭をかいて「仕方ないだろ」と答えた。
「熱が出ても今はこっちが優先だ。昔だって少々の熱なら薬飲んで出勤してたんだし」
「少し頭痛がする程度ならばまだわかるが、熱が出ているのならば休んだ方がいい」
「微熱だって。これくらいなら平気だ。自分の体のことならよくわかってる」
確かに休めるのならば休んだ方がいい。そんなことは莞爾もわかっている。けれども、それができない状況がある。幸い、まだ倒れるほどの辛さではないが、それがかえって彼を強がらせることになっていた。
「油断しているだけではないか。体を壊しては元も子もないぞ。しなくてもいい怪我をすることだってある」
「わかってるよ。わかってる」
クリスに正論をぶつけられて莞爾は鬱陶しそうに話は終わりだと立ち上がった。どこか動きも鈍かった。内心では「俺だって休みたいさ」と自嘲にも似た悪態をついていた。何より必死に猪を追い払ってくれたクリスの前で弱音を吐くなど女々しく感じられて嫌だった。
一方でクリスは少し言い過ぎたかと反省したが、それで心配が尽きるわけではない。余計に彼を心配するだけだ。彼が弱音を吐くところはすぐには思い出せないし、そうやって今まで強がってきたことは容易に想像がついた。
けれども、少しぐらい自分の前で弱みを見せてくれてもいいではないか、とクリスは口を尖らせた。
莞爾が運転席に乗り込んだのを見て、クリスも慌てて助手席に乗った。シートベルトをぞんざいにかけて彼は言う。
「心配してくれるのは嬉しい。けど、俺の代わりはいないし、今回は休める場合じゃなかった。急いで対策打っとかなきゃいけなかったのはわかるだろ。でも、それももうひと段落したし、帰ったらゆっくりするよ。心配かけてごめんな」
困ったように微笑んで、彼はキーを回した。軽快なエンジン音とは裏腹に彼の表情はすぐに陰鬱になった。瞼も重たそうだった。
クリスはため息をつきそうになってそれを噛み殺した。彼が働いている姿を見るのは嫌いではなかったし、ひたむきに頑張る姿勢は好感がもてた。それを否定する気にはなれなかった。
けれども、その一方でもう少し自分を労ってほしいと思わずにはいられない。せめて「もっと頼ってくれてもいいのに」と内心で考えるが、自分の不足した覚悟では「頼れ」とも言えなかった。
家業をもつ男に嫁ぐことがどういうことか、クリスはその点に関して思いの外理解があった。かつて祖国で知り合った職人の妻などがいい例だった。
こと農民にいたっては、クリスは一族を飛び越して村民全体で畑を耕すものだと思っていたので、現代日本とは少々イメージが異なったが、それでも個人よりも家を大事にする価値観は類似している。穂奈美とはそれなりの関係ではあるが、価値観で言えば莞爾の方が圧倒的にクリスのそれに類似していた。
「食欲はあるのか?」
クリスは正午ごろの莞爾の様子を思い出して尋ねた。なんだか無理やり胃袋におにぎりを押し込んでいるようだった。味もよくわかっていないように眉間に皺が寄っていたのを思い出した。
莞爾は「大丈夫だ」と作り笑顔で答えた。
「体調悪くても食欲は落ちないんだ。昔っからそうだ。だから、風邪引いてもすぐに治る」
自慢するような口調にクリスはほっとしかけた。けれど、走り出した軽トラのハンドルを握る彼の指先がかすかに震えているのに気づいて、「また強がりか」と呆れた。
もこもこと何重にも重ね着をしている莞爾が体を震わせているのはおかしく感じられた。汗が冷えたのかもしれない。それとも熱があるせいで寒いのだろうか。
家に戻ったところで荷物を荷台から下ろそうとする莞爾に、クリスはいてもたってもいられず叱るように言った。
「カンジ殿。調子が悪いのならば無理をするものではない。あとは私が請け負うから、早く汗を拭いて横になっているといい」
「でも、あとこれだけ——」
「でもじゃない! あまり心配させるな!」
つい言葉を荒げてしまい、クリスは嫌な気分になった。けれども、本心だ。莞爾は一瞬驚いたものの、決まりが悪いのか「そうだな」と呟いて頷いた。
「わかった。先に休ませてもらうよ。クリスもあまり無理はするなよ。後片付けはすぐじゃなくてもいいんだし」
「いいから、早く寝てくれ。見ていられない」
「……そうか」
そんなにきつそうに見えるか、と莞爾は頭をがしがしとかいた。薬が切れたのか頭痛がぶり返してきていた。いつも通りに振舞っていてもクリスにはお見通しだった。莞爾は少し恥ずかしかった。
それきり何も言わずに莞爾は家に入った。言いつけ通りに汗を拭い、いつもの寝巻を着て布団に潜り込んだ。
一方でクリスは後片付けを済ませ、伊東家に走り、スミ江にいくつか尋ねるやすぐに帰ってきた。
家に戻ったクリスは残した掃除を終わらせつつ、莞爾の部屋をしばしば覗いた。ぐっすりと眠っている。その様子を見て、彼女はほっと安堵のため息をついた。
それからしばらく後の午後六時頃、莞爾は寒気がして目を覚ました。
体をぶるりと震わせて布団を剥ぎ、汗でびっしょりになった下着を変える。喉が渇いて仕方なかったので部屋を出ようとしたが、電灯をつけると寝室のテーブルの上に水の入ったペットボトルが置いてあることに気づいた。
「クリスか……気がきくな」
キャップを外してごくごくと飲んだ。汗をかいて水分の足りない体のすみずみまで染み渡っていくような清々しい味だった。
飲み終わってほっと安堵の息を吐いた。昼間よりも少々楽になった。ただ熱はむしろ上がっていて、なんだか頭がぼうっとしている。睡眠不足が解消されただけだった。
判然としない思考のまま、ベッドの縁に腰かけてクリスのことを考えた。
「まるで口うるさい母親のようだ」と悪態をついてみたものの、悪い気はしなかった。彼女から心配されるくらいには関係を築けているのだと少し嬉しかった。
そこでふと視線を傾けて、自分の枕が変わっていることにようやく気づいた。
「なんだ、これ……」
見ればそれは氷枕だった。けれども莞爾の持っているものではなかった。クリスがスミ江から借りてきたものである。おまけに枕の横に湿ったタオルがずり落ちていた。眠っている間に額に乗せられていたそれが何かの拍子で落ちてしまったのだろう。
莞爾はどうすればいいかもわからない感情が湧いてきて、どうにも理解できずに天井を仰いだ。すっかり看病されていたことがどことなく恥ずかしく、言葉にならない呻き声を漏らした。
そんな彼をよそに、寝室の扉がノックされゆっくりと開いた。
「むっ……起きていたのか。具合はどうだ?」
「あー、その……すまん」
何を、とは言いづらかった。クリスは得意げに「むふっ」と笑って部屋にずかずかと入ってきた。手にはお盆。お盆の上には二つのお椀があった。
「食欲はあるか?」とクリスは微笑みつつ尋ねた。莞爾は頬をぽりぽりとかきながら「おう」と短く答えた。
「病人には何を食べさせればいいのかとスミエ殿に聞いたら、粥でよいと教えてくれた。ウメボシもわけてくれたのだぞ」
「あー、スミ江さんの梅干しか」
「むふふ。コメも粥で食べることがあったのだな。鍋の時は特別かと思っていたが」
テーブルの上にお盆を置き、クリスはお粥のお椀と箸を彼に手渡した。湯気が立ち、指先の触れた部分が熱を帯びる。
「いただきます」と小声で呟くように言って、莞爾は息でお粥を冷ましながら一口食べた。
ほんのりと塩味がきいている。米の甘さと塩気。それでもなんだか味が足りない。中心に乗った梅干しを箸の先で解してさっと流し込むように食べた。
梅干しのすっぱいやらしょっぱいやらが口の中をいっぱいにする。お粥の熱さと梅干しの味わいにはふはふと息を漏らしたり、涎が溢れて口を閉じたり、忙しそうだ。
クリスは莞爾のそんな様子を隣に座って見守りながら、隣でふうふうと息で冷ましながらお粥を食べた。莞爾が時折むせるので彼女はくすくすと笑って注意した。
「あまり急ぐと口の中を火傷するぞ?」
「ん……」
莞爾は口をもぐもぐと動かしながら何度か頷いた。空腹を感じていたわけではなかったが、いざ食べ始めてみるとどんどん食べた。あっという間に平らげて、彼はふうっと満足げに息をついた。
体の芯から温まる。お粥の優しい甘さに、スミ江謹製の梅干し。今は亡き母が作ったお粥よりもずっとどろっとしている。母が作ってくれていたお粥はもっと水気が多かった。
クリスは彼から器を受け取って「どうだった?」と少し心配そうに尋ねた。莞爾は「美味かった」と短く答えた。母親のことを思い出したのが妙に気恥ずかしく、隠れるように布団に潜り込んだ。
「もう少し寝る」
「ああ、ゆっくり休むといい」
クリスはしばらくベッドの縁に腰かけたまま静かにお粥を食べていた。梅干しの味は少しだけ慣れない。けれど、お粥と一緒に食べるとちょうどいいバランスで、刺激的な味なのになぜだか優しさを感じる。莞爾がしていたように梅干しを解してお粥に混ぜてみると、ちょうどいい塩梅になって食べやすい。
布団に潜り込んだ莞爾をちらりと見ると、彼は壁の方を向いて黙り込んでいた。床に脱ぎ捨てられた彼の下着はすっかり色が変わっている。ずいぶん汗をかいたようだった。窓の向こうはすっかり暗くなっている。
莞爾は横になったまま背中に感じるクリスの存在になぜか胸が高鳴って仕方がなかった。恥ずかしさもあり、気不味さもあり、その上で彼女が自分を心配してくれていたことが殊の外嬉しかった。
もう自重しないで積極的にいこうと決めていたのに、クリスの思いやりを感じてなぜだか調子が狂った。それもこれも風邪のせいだと布団の中でため息をついた。体調が悪い時は人恋しくなるものだ。誰かが傍にいるだけで安心する。
けれど、その安心も気恥ずかしさに上塗りされてしまっていた。
お粥を食べ終わり、お盆の上に食器類を静かに乗せたクリスは「ごちそうさまでした」と小さな声で言った。
静かに立ち上がり、すぐに部屋を出て行こうとしたが「おい」と後ろから声をかけられて振り向いた。
「……ありがとう」
呟くように、けれどはっきりと告げられたその言葉に、クリスはにんまりと笑いつつ、平然とした口調で「これしきのこと、礼は不要だ」と答えた。
部屋を出て扉をきっちりと閉めた途端、クリスは扉に背中を擦らせて腰を落とした。冷たい床に座り込み、お盆を手に持ったまましばらくにやにやとし続けていた。
莞爾が恥ずかしそうにしていたのが心なしか「してやった」と思えて、それと同時に「ありがとう」と言われたことで、余計なことをしているのではないかという不安を払拭してくれた。
彼のための行為が正しかったのだと安堵した。
クリスはゆっくりと立ち上がり、足音を殺して後片付けをした。もっともっと彼のためにしなくてはならないことがたくさんあった。
しばらくして、クリスは厚着をしてまた莞爾の部屋を覗いた。すっかり規則正しい寝息が聞こえてくる。お腹が満たされたせいか、彼の寝顔は食事前よりも穏やかに見えた。
「カンジ殿の前に立ちはだかる障害は、私が取り払ってやるぞ。だから、せめて今はゆっくり休むといい」
クリスは彼の額に固く絞った濡れタオルをかけ直して、彼の胸元に手を当てた。
「早く、元気になれ……カンジ殿」
手のひらからじわじわと魔力を流し、彼の体力を底上げする。明日の朝には体調の悪さもすっかり良くなっているだろう。もしかすると調子がよくなり過ぎて朝からいつも以上に空腹になっているかもしれない。
早起きしてたくさんご飯をつくらなくては——クリスは彼の寝顔をじっと眺めてくすりと笑った。
「さて」とクリスは静かに立ち上がり、彼の寝室を後にした。
平然を装っていた莞爾がどれだけ不安に駆られていたことか、クリスは心なしか気づいていた。
畑で植え替えの作業をしているときにも色々と話を聞いたのだ。もしかすると、玉ねぎの成長が収穫に間に合わない可能性もあるらしい。
割合からするとかなり不安が残るとも聞いた。
「ならば、その不安は私が払拭せねばな」
恩返し、というわけではない。ただ、彼のためにできることをしたかった。
勝手口から出ると外はもう真っ暗で、息を吐けば真っ白な吐息が空に消えた。今夜は雲がひとつもない夜だ。下弦の月があたりをうっすらと照らしていた。
***
早朝。
莞爾は快調な目覚めで体を起こした。
ぼうっとしていた頭もすっきりとしている。重たかった体も軽やかだ。
目覚めた瞬間から空腹で、いつも以上に元気だと思えた。
「……俺もまだまだ若いんだな」
何も知らない莞爾はすっかり勘違いして布団から出ると、大きく体を伸ばしてから部屋を出た。土間に向かい、コップに水を注いでごくごくと喉を鳴らして飲んだ。
人心地ついてクリスはどこだろうかと頭をかいた。改めて看病の礼ぐらいはしなければと思ったからだ。一晩経ったこともあり、昨晩の気恥ずかしさはもう薄れてしまっていた。
クリスを呼ぶが家の中からは反応がなかった。上着を羽織りつっかけのまま外に出るとちょうどクリスが外間から出てくるところだった。
「こっちにいたのか」
ほっと息をつく莞爾とは対照的に、クリスは疑うような視線で彼を睨んでいた。
「むぅ……まだ休んでいなくてはダメではないか。具合はどうなのだ?」
「おう。もうすっかり元気だ」
「ふむ……まあ、それならばよいのだが」
自分の治癒魔法がきちんと効いてくれたらしいとクリスは微笑みつつ頷いた。
「一応風呂を沸かしておいたのだ。汗を軽く流した方がよいかと思ってな」
「すまねえなあ」
莞爾は頭に回しかけた手に気づいて自分のうなじに手を置いた。
「朝食も少し多めに作るから、先に風呂に入ってきたらどうだ?」
「クリスは入ったのか?」
「うむ。昨日のうちにな」
「そっか。なんかすま——」
言いかけて、莞爾は小さくため息をついた。クリスが首を傾げるのを見て、彼はくすりと困ったように笑った。
「いや、ちょっとな。その、なんだ。看病してくれたんだろ?」
クリスは「ああ」と目を逸らしたがかろうじて頷いた。
「ありがとう、な」
「む……礼ならば昨日も聞いたぞ」
「改めて、だよ」
「そ、そうか」
クリスはよそよそしく何度か頷いて、彼の隣をすり抜けて勝手口から家に上がった。苦笑しつつ追いかけると、早速朝食の準備を始めるようだった。
「手伝おうか?」
莞爾がクリスの肩越しに手元を覗き込むと、彼女は肘を軽く後ろに突き出して彼を追い払った。
「はっ、早く風呂に入ってこい!」
莞爾はくすくすと笑いながらも「おう」と彼女の背中に向かって答えた。
彼が去ったあとで、クリスは大きなため息をひとつついた。けれどもその表情はどこか安心したようでもあった。
風呂で汗を流し気持ちよく戻った莞爾は、冷たい水を飲んで息をつく。隣ではクリスが味噌汁の味噌を溶いているところだった。
彼女は彼を一瞥して言った。
「少しはすっきりしたか?」
「おう。熱い風呂で綺麗さっぱりだ。ありがとうな」
「むふふっ、よいのだよいのだ。家主には世話になっているのだからな」
クリスは目を細めて白い歯を一瞬見せた。
莞爾は彼女の手元を見て、それから割烹着をまじまじと見て言った。
「様になってきたよなあ……」
「むふふっ、そうだろうそうだろう」
クリスは得意げに胸を張りながら手を止めない。
今日の味噌汁は豆腐とわかめのいたって普通の具材だった。けれど、出汁の匂いが食欲をそそる。
食卓にはすでに卵焼きや焼き魚、菜っ葉のお浸しなども並んでいる。クリスは隣でじっと眺めている莞爾に呆れたように言った。
「カンジ殿は座っているといい。すぐに終わるから」
「手伝うぞ」
「——いいから」
拗ねたように口を尖らせるクリスに、莞爾は苦笑して彼女の肩を軽く叩いた。
まるで新婚生活のように感じられて、少しだけ赤面した。
クリスもまた、彼が喜んでくれるのが嬉しかった。彼の視線を背中に感じながら、ばれないようにくすりと笑った。




