「異端者」
どうも、作者のSOU.Rです。
ずるずると引き摺って今回でやっと主人公の名前が出てきます!
それと、そろそろ前書き後書きが適当になるかもですw
では、早々に本編へGO!
「…やっぱり、簡単には信じられないんだよな…。」
先程目の前の少女に告げられたオレ自身の異変の正体。それが"二重人格"と言う。
いや、そこはまだ現実に存在するから可能性はあるにしても、その次に言われた異能力に関しては悩まされる…。
「そうだね、やっぱり自分の目で見ないとわからないってのもあるかもね。」
少女は想定内と言わんばかりの反応だ。
「だったら、その制御の方法だけでも知っていて欲しいんだ。そこは聞くだけ損もしないでしょ?」
まぁ、そいつは確かだ。と言っても、二重人格を自分で制御するってのも何か変な話に思える。
「わかった、話を続けてもらっていいか?」
「うん、早速説明させてもらうね。」
少女はまた少し間を空けて話し始めた。
「君の今までの行動を見た限り、その現象が起こるのは喧嘩の最中だね。しかも総じて手痛い不意打ちを食らった瞬間だった。かな?」
「う~ん、覚えてる限りではそれで間違いないはずだが」
先程の喧嘩でもそうだ。不意を突かれて意識が跳んだと思いきや、周りで雑魚どもが倒れていたのだから。
「つまり、その後にもう1つの人格があの雑魚どもを薙ぎ倒してしまっていた。って事か?」
「そういう事だろうねぇ…。」
オレが推測するに、それは感情の変化が引き金になっていると見た。そう、簡単に言えばやはり"怒りで周りが見えなくなる"に近いだろう。
「君の推測はほとんど間違いじゃないと思う。つまりその制御方法っていうのは…」
「オレ自身が感情を、精神を制御するという事なんだな?」
オレが答えると、私もそう思うという感じで少女は頷いた。
「きっとそれだけで突拍子もなく出てきたりせず、意識を失わずに居られるはずだと思うよ。」
「じゃあ次だが、その時に出てくる能力ってのは何なんだ?」
興味が出てきたのでついでに聞いてみる。しかし少女は少し困った顔でこう言った。
「何言ってんだ?とか思わないでくれる…?」
「ん?とりあえず教えてもらえれば…」
そこまで信じがたい能力でも使っていたのか?でも今までそんな大騒ぎになった事もないし…。
少しだけ考え込んだ後に、少女が答えた事はオレの想像を越えた事だった。
「…ギターを弾いてたんだよね」
何言ってんだ?…あ、マズイ。
しまった!と思った時にはもう手遅れだった。目の前の少女は、マンガでよくある影を落とすくらいにヘコんでいたのだ。
「だって…、君が教えろって言ったし…。見たまま言っただけだし…。私じゃなくて君の方がよっぽど変だし…。」
申し訳ないとは思うが、今まで見たこともない現象ばかり起こしてくるお前もオレから見れば十分変だぞ?そんな奴に変人呼ばわりされる覚えはオレにはないはずだ。
「最後のは冗談だけどね!」
何事もなく舌をペロッと出して茶目っ気全開の表情で元のテンションに戻る。
「お前今の演技だったのかよ!?」
すかさずツッコミを入れる。思えばこの少女と出会った瞬間からこのノリである。
まるで手のひらの上で踊らされてるかの様な…。
「残念ながら自分の異能力については自分で研究すべきだね。他人の言葉だけで信じられる事も限られてくるでしょ?」
突き放す様な言い方にも聞こえるが、強ち間違いでもないだろう。
「わかった。自分の事くらい自分で知るべきだな。」
オレがそう返事するとその後に続けてこう言われた。
「でも、自分では見ることが出来ない部分だってある。だからそれを知る為にも信じられる仲間は必要だと私は思うよ?」
…仲間か。今までの生活ではただ恐れられるばかりで、絡んでくるのはいつも敵だけだった。
やはりこの少女は本当にオレの為に新たな場を用意したとでも言うのだろうか…。
「どう?私なら君に新しい始まりを与える事が出来る。孤独だった君に、やり直すチャンスを与えられるんだよ?他にもそういった人達がここには沢山居るんだから」
他?そう言えば学校とか言ってたから他にも人は居て当然か。そこも詳しく聞くか…。
「他にはどんな奴が居るんだって?」
単刀直入に聞いてみる。でも返ってきた答えは期待していたものではなかった。
「それは教えられないよ。だってそれは我が校の生徒のプライベートにも関わる事だから。」
まぁダメで元々というヤツだったが、続けて興味深い事も答えてくれた。
「でも、ここに居る人達は皆自分の異能力のせいで、元の世界で異端者扱いをされていた人達なんだ。君みたいな、ね?」
オレみたいな、か。
…現実では希望もなかった。親はオレが大きくなる前に死んだ。親族からもオレの異能力が原因で見放された。頼れる友人や仲間も、いくら努力しても出来なかった。
居たのはあの猫くらいじゃないか?…随分と哀れな人間だな、オレも。
「…こうなったら、もう自棄ってヤツか。」
「何はともあれ決まった様子かな?」
オレは決心した。ここで、新たに生きると。
「おう、面接するとか言ったな?」
「うん!それでは我が校への入学の為に、これから面接をしようと思います!」
元気のいい挨拶から始まった面接。まずは自己紹介から、だな。
「オレの名前は音無 零。」
「面接を担当するのはこの私、ジョーカー!生徒会長であり、校長とか理事長とか、とにかくお偉いさんなのだ!!これからもよろしく!」
…めちゃくちゃじゃねぇか。
よう、オレだ。主人公の音無 零だよ。
今回の後書きに出演させられるとは思わなかったね。
次から面接なんだが多分あの少女の事だ、めちゃくちゃな展開になって話が進むかどうか…。
っと、この辺で失礼しておくか。長話しても進まない訳だしな。
ん?いつもの挨拶をしてから去れって?…あぁ、あれか。
それでは次の話まで…、Adios!