聴覚障害者の日常 舌打ち編
聞こえないと、擬音なのか声なのかわからないんですよね。
例えば、くしゃみの「ハックション」は擬音と理解してます。なぜなら、自分でくしゃみするときに、そうは言わないからね。経験できるものはちゃんと認識してたつもりなんですが……。
いつからか気がついたら、コマーシャルにも字幕がついている。
バラエティ番組も、色や動きをつけてインパクトのある字幕がついていることが多い。
おかげで家族と一緒に楽しませていただいている。
画面と同時進行で字幕がつくから、このシチュエーションでこういういいまわしがあるとか、そういう意味なの?だとか日々勉強になったりする。
一応、アタシは擬音というものを理解していたつもりだった。つい最近、それが怪しいことがわかってしまった。
『舌打ち』である。
本でも字幕でも、舌打ちすると「チッ」と表示されるよね。アタシは、そのまんま覚えたのだ。要するに、文字どおり「チッ」と発音してきた。
ある日、横着をする娘に対し「チッ」といったら、
「お母さん、ソレ、舌打ちになってないからね(笑)」
と、つっこまれた。
娘に舌打ちのレクチャーをうけたが、舌を本当に打ち付けて音をたたせるということができなかった。
舌打ちしたい気分なのだが、できないのだから「チッ」と発音するしかない。無念である。