死にたがりの決意。
第二話
入学式が終わった。
なんとも言えない雰囲気を醸し出しながら歩いていく生徒。教室中がうるさく、教室が何かの生き物になったような一定のリズムを生み出す。こんな雰囲気は嫌いだ。ここでも友達ができそうにないな。高校生活最初のHR。担任は20代くらいの若い男性教師だ。
「えー、今日から担任をさせてもらう狭山、狭山玄樹。こんな名前でも体は弱いんだ。よろしくな。」
その一言を聞いて思った。
ああ、この人は私とおんなじだ、と。名前に嫌悪感を抱いている。だけど、笑って言える。こんな人になりたい。どうしたらなれるんだろう。あれ、私、死にたいんだよね。なんでこれから生きるようなことを思ってるんだろう。これは、何だろう。
HRが終了した。
思い切って聞いてみることにした。この人の返答しだいで、今後の私の人生が、決まる。
「狭山先生!」
「ん、なんだ?」
「どうやったら名前のこと、笑って紹介できるようになりますか?」
「……そうだなあ、俺は逆に考えてるんだよね」
「…え?」
「分かりにくいかもしれないけど、名前が勇気づけてくれてるって思うんだ。俺は、病弱だけどいつか元気になるって。だからこんな名前なんだって。」
「…そうなん 、ですか」
「どうした?その様子だと名前が嫌いなのか?」
「……」
私は俯いたまま、何も答えられない。
「俺は、高嶺って合ってると思うよ。福山はさっき俺に話しかけてくれたじゃないか。それだけでも勇気のいることだと思うよ。充分、凛々しい。高嶺の花、よく似合ってるよ」
____決めた、私はこの学校に通う。




