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2014年/短編まとめ

目に見える世界は

作者: 文崎 美生

いつの間にか口癖が「疲れた」になった。


いつからか笑顔が少なくなった。


何でだっけな。


とん、とテトラポットに寄りかかる。


頬を撫でていく風は潮の匂いをまとっていて、少しだけベタついていた。


この辺りの海は遊泳禁止の為、人が少ないので私個人としてはお気に入りの場所だ。


すかっと晴れ渡った空は清々しいし、慣れ親しんだ潮の匂いは心地いい。


ただ、何故だろう。


体がだるい。


風邪とかじゃなくて感覚的な話で、多分だるいのは重いのは心。


ずっと抱えている蟠り。


「ヤなことなんて一つもなかったのに」


ポツンと吐き出された言葉は波音に攫われて行く。


頭が痛む。


ストレス性の偏頭痛だろう。


私は前髪を軽く梳くようにして頭を押さえた。


ズキズキ痛む頭が鬱陶しい。


あの頃とは違うんだと言われてるみたいで腹立たしい。


知ってるよ、そんなこと。


深呼吸をして肺に潮の匂いのする空気を送り込む。


変わらない。


何かあったら此処に来ていた。


あの頃と何も変わらない景色が私の目の前に広がっている。


この景色が私は好きだった。


今でも好きだ。


人がいなくて静かで、波の音だけが響く遮断されたような世界。


あの頃と、何も考えていなかった頃と同じ。


何も変わらない。


変わったのは、私。


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