話 (2)
意味が解らない。
ある日突然不思議な転校生がやってきて、そしてそいつが俺の隣の席に座って、その日から嫌な気配がして、そして、白羽波琉という少女に出会った。
そう、そして、その転校生と白羽波琉は俺の名前を出しながら、放課後の人気のない物置で、初対面とは思えないほど、冷静かつ何処か親しげに話し込んでいた。
こんな物語のようなベタで可笑しな展開、有り得ない。
しかし、有り得てしまっている以上、俺が何かこの二人と嫌なあの気配に関係していることは認めざるを得ない。
理不尽だ、と小さくため息を吐く。どうしたものだろうか。いや、俺にはどうすることもできない。
そんな俺の葛藤のような心情を知らない中の二人は、楽しげに話を続けていた。
「...そう。君も、こっちの人間かい?」
「そうね。まあ出身は、ここ、日本よ」
「そうか。君も『最期の年』の能力者なんだね?」
「そう。まあ、その能力者の中でも異質な方だけどね。君はあっちの人でしょう?」
「うん、そうだよ。...かなり重要機密なんだけどね。君に嘘を吐いても意味がない気がする」
「あはは、それは正しい判断ね。...........まあ、もう既に聞かれちゃってるけどね」
「あー、...気付いてたんだね君も」
「当たり前でしょ、甘く見てたらダメよ」
「はは、それは申し訳ない。............さて、」
「そうね、見逃して上げてもいい気がしなくもないけれど...」
「まあ、いずれ仲間になるということで」
「あら、私はまだ紅夜くん側に付くなんて言ってないわよ、私は単独も好きなんだから。...........ほら、出てきちゃって良いわよ、」
________八神くん?
「............っ!!」
さああ、と血の気が引くのが解った。
「少しだけ、僕らの話を聞いていってくれるかな」
そう言って、赤司紅夜は困ったように笑った。