異変 (2)
なんの変哲もない思わず眠気を誘う古典の授業。いつもの通りだ。
「八神。これを訳してみろ」
ラッキー。ちょうどさっき予習してたとこだ。
「~が~で・・・・・・・・・です」
「見事だ。」
そして席に座った瞬間
「............っ!!」
背筋に何とも言えない悪寒が走った。
それは、本当に一瞬の出来事で、でもそれはもう勘違いとは言えないほどに繰り返して感じているものだった。
解ってはいる。
こんな不可解で理不尽な視線、絶対に無視して気付かない振りをした方が良いということ。
それでも俺は、顔を上げて周りを見渡すことをもう躊躇わなかった。
こんなの、やっぱり可笑しすぎる。
顔を上げた俺はそのまま辺りを見回して、
そして、
「............................、!」
同じように目を細めて、何かを探そうと教室を見渡す、彼女と目があったのだった。
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彼女、もとい白羽波琉は俺たちのクラスではどちらかというと目立たない少女だった。
「......ねえ、君も感じた?」
_______この嫌な視線。
だから、まさかこの子と目が合うとは思っていなかった。
「............、白羽、さんも?」
否、思っていたのかもしれない。
「.........うん、ちょっと。っていうか、うーんと、まあちょっとかな。うん。ちょっと前から」
何しろこの少女、
「そっか」
一度気付いてしまうと疑うほどに、
「あ、私のことは波琉でいいよ」
妙に人間離れした雰囲気を持つ。
「うん。それに、八神くん、ちょっと面白い」
____私の友達とおんなじ目をしてるからね。
そして、彼女、波琉は紛れもなく隣人、赤司紅夜と同じ雰囲気を纏わせていた。