異変(1)
赤司は席が隣になってからも俺にあまり関わってこようとしない。相変わらず周りに女子が蟻のようにたかってはいるがすべて無視して窓の外をボーッと眺めていることが多い。でも、時々ハッと教室を見渡すことがある。そしてまた何事もなかったかのように窓の外を見る。赤司の1日はいつもこんな感じだ。
赤司が転校してきた頃から俺は何か教室に違和感を感じ始めた。何かが違う。クラスの空気が。確かに女子はほとんど赤司に夢中になってきゃーきゃー言ってるけどそんなものじゃない。どこからきているかはわからないがどす黒い嫌な空気が流れることがある。でも俺以外はそれに気づいた様子もなく普段通りにしゃべってるから俺の気のせいかなと思うこともある。
あ、まただ。この嫌な感じ。俺は教室を見渡す。特に変わった感じはない。
あ。赤司と目が合う。この空気はこいつが原因か?でもいつも隣にてこいつから嫌な気配がしたことはない。異質な空気をまとってはいるがこいつではない。
「京介ー。何考えてんだよ」
順平だ。昼休みだが周りがうるさくて聞こえにくい。こいつともつきあい長いし、なんか察したのかもな。
「いや。別に。ちょっと気になることがあって・・・」
順平はちょっと気に入らないような顔をしたが追求はしてこなかった。俺の性格をよく分かっているからだろう。
気がついたらあの空気は消えていた。赤司もまた窓の外を見ている。
なんなんだろう。これは何かの前兆なのか?
何も起こらないことを祈りながら俺はまた次の授業の予習を始めた。