転校生(3)
アイツ・・・赤司が転校してきてから1週間が経った。
今だに女子はあいつを見るたびに黄色い歓声を上げる。
「キャーーーー」
来たか。最近は毎朝こんな感じだ。
「京介ー。そんな顔すんなよ。うるさいのは事実だけどさーそのうち女子だって飽きるさ」
「そのセリフ、3日前から毎日聞いてる気がするのは俺だけか?」
「だってさ。お前みたいな優等生がそんな顔するもんじゃないと思うぞ。それに、担任にも頼まれてんだろ?あいつのこと。確か校内案内とか説明とかお前の仕事じゃなかったけ」
ハァー。忘れたかったことなのに。いつも優等生ぶってたことが裏目に出て俺はアイツの世話係に任命されてしまった。面倒なことこの上ない。実際案内した時もあいつだけ来ればいいものを大量の女子までくっついてきて本当に疲れた。
ガラガラッ
担任が入ってきた。
「おはよう。いきなりだが、今日は席替えをしようと思う。転校生も来たことだし、最近少し暴走気味のクラスの(女子の)雰囲気を変えるのにいい機会だろう」
クラスがざわめきだした。
「私、絶対紅夜くんの隣がいいわ」
「私だって!!」
「あら、紅夜くんの隣は私よ」
女子怖い。担任も青くなっている。これは少し赤司に同情するな。そんなことを思ってた矢先
「先生」
「なんだ。赤司」
アイツ、何考えてんだ
「僕、八神くんの隣がいいです」
はっ?何言ってんだあいつ。
「僕、まだ不慣れで・・・案内や説明をしてくれた八神くんの隣が安心です。ある程度学校に慣れるまでは八神君の隣ではいけないでしょうか?」
「そうか。たしかにそうだな。では今回は八神と赤司は固定するか」
「先生。待ってください。たしかに赤司くんは不慣れですが俺だって京介の隣がいいです。ずるいです」
順平ナイスフォロー。担任、絶対あの女子軍団が怖くて俺に押し付けようとしたな。
「じゃあこれでどうだ。1番後ろの窓側から順番に赤司・八神・東と並べ。あとはくじ引きだ。3人、どうだ」
「「「はい」」」
担任どんだけ適当なんだよ。
赤司のとなりというのは嫌だが順平も隣だからまぁいいとするか。優等生も疲れるな。
だがそんな単純には終わらなかった。それ以来俺は赤司狙いの女子から目の敵にされ始めた。もともとあまり女子は好きじゃないからいいが・・・隣の五月蝿さがすごい。明日から耳栓を持ってこようかと本気で考えたくらいだ。
この時はまだ、ただ災難だなと思っただけだった。これからおこる悲劇は誰にも想像できていなかっただろう。
いや。アイツは気づいていたのかな。赤司紅夜だけは。