第25杯 予想外の申し出
あたしは部屋へ戻ってから、洋輔に連絡を取ったけど音信不通。
翌朝も何の返答もない。そのまま大学へ来ている今も返事はやはりなかった。
講義中も洋輔を気にしながら講義を聞いていたから、あたしの頭にいまいち何も入ってこない。
今日は勉強にならないかも、と感じながらあたしは食堂へ行くのだった。
席に腰を下ろして、ミートスパゲティを口へ運ぶ。20分程度でたいらげた。そこへ機械音があたしのバックから鳴り響く、食事が済んだ頃合を見計らったかの様に。
電話はから洋輔の声。
「董子、大学が終わったら会おう」
「よかった連絡くれて……皆心配してたんだから」
「色々俺、一人で……考えたくて」
「そう……わかった。講義は次で終わりだから、ハイツで」
「いや、ハイツは―――出来ればふたりで、がいい」
「なんでよ?」
「親父とやり合った時に董子がいたからだよ」
「わかった。じゃあどこで?」
「正門で。講義中はどっかで適当に時間潰してるから」
「ええ、また講義終わったら連絡する」
「じゃ……」
最後の言葉を言った後、洋輔の方から電話を切るのだった。
切られた携帯を見つめながら、誰かに連絡を入れた方がいいかもしれないと、頭に過ぎる。
少しの間考えていたが、ようやく考えに決着が付いて携帯をカバンに直してから、あたしは食器を返却口へ。最後の講義を受けに行く為、食堂を出た。
講義が終わってから洋輔にメールを送ると正門前にいると、返ってきたので、そこへ急いで向かう。
洋輔はバイクにまたがって待っていてくれていた。彼は腕を伸ばしてあたしにヘルメットを手渡してくる。
あたしはそれを受け取ってから頭に被った。
そして、バイクの後ろへと乗る。
「じゃ、行くぞ。しっかり掴まっとけよ」
「うん」
洋輔に促された事であたしは洋輔の腰に回した腕に言われるがまま腕に力を入れる。
バイクが何度かの信号待ちで止まると、やっと目的地へ到着した。
あたしの目の前にはいつか来たファミレス。
「お互い聞きたい事話そうぜ」
バイクを駐輪場に預けた後、ファミレスの階段を上がる。
店員に案内されると、ふたりともドリンクバーを注文した。
お互い好きな飲み物を入れてから席へ戻るのだった。
落ち着いたのを見計らって、あたしは本題へと話を切り出す。




