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第2杯 ④

 隣に立っていた本田洋輔くんはというと、あたしの隣に腰掛けた後、調子よく軽い感じに声をかけてきた。


「とりあえずよろしくっ董子」

「なっ呼び捨て……」

「ん――なんか問題でもあんの?」

「問題ないけど――」

「俺も洋輔でいいし」

「あっ董子ちゃん、あたしもマス姉でいいよ」

「じゃあ、ふたりの事はそう呼ばしてもらうね」


 ひと通り喋りつくしたあたし達。

 少し間が空いた所に洋輔とは違う男性の声。


「おやおや、お話おわりましたか?」

「だね。やっと落ち着いてコーヒーが飲めそう、マスター」


 声の主は大家さん。

 マス姉がため息まじりで彼に答えた後、あたしの隣にいる洋輔の方へわかり易く視線を送っている。


「えっ俺のせい?」


 こちらを驚き見ている洋輔。そこへあたしもマス姉に習って、ダメ押しの一言を言ってみる。


「あたし達、まだ1杯も飲めてないんだからね」

「董子ちゃんも意外と言うな~」

「あたしも言うときは、言いますよ」


 左側のマス姉に自信のある態度で答えたあたし。

 大家さんはその会話が終わるのを待っていたらしく、スッとコーヒーをあたし達3人の前に並べてくれる。

 

「じゃあ、今日は3人共にこれでもお出ししようかな」


 バニラアイスクリームのような甘い香りが3人の鼻をくすぐっている。


「これ――――バニラアイスのにおいじゃなくね?」

「うん――バニラの薫りだっ」

「洋輔の言うとおり、甘い香りがコーヒーからしてるなぁ」

「だろ? マス姉」

「わかりましたか、みなさん」


 コーヒーをドリップしていた大家さんがこちらをみて満足そうに微笑んでいる。


「これはどんなレシピで作られるんですか?」


 3人を代表してあたしが聞くと、ますます得意げな顔をする。顔のしわが深くなった大家さんのくしゃくしゃにした表情がうれしそうにみえる。


「んーそうだね、名前を言うとすぐにわかりますよ」

「名前にヒントがあるのか~」


 少し考えた感じのマス姉がつぶやいた。

 それに続けて洋輔が大家さんの答えを急かす。


「じゃあ、その名前早く教えてくれよ」

「いいですよ、バニラバターカフェオレです」

「へぇ、バターが入ってるんだぁ~」


 関心するあたし、驚きの言葉におもわずため息がまじった。


「みなさん、飲んでみてください」


 大家さんのすすめでコーヒーにそれぞれ口をつけた。

 口の中には甘い香りとバターの濃くが口いっぱいに広がって、無意識の内にうなり声があたしからはもれていた。


「ん~おいしい」

「うん、コーヒーにコクがあってうまいっ」

「うめぇーな、これ」

「よかった、気に入って頂けて」


 コーヒーを飲んで、ホーっと一息ついて、ゆったりと時間が流れていく感じ。



 この瞬間があたし――――――ものすごく好き。


バニラバターコーヒー材料 ( 1人分)

インスタントコーヒー 小さじ1

砂糖 小さじ2

湯 50cc

牛乳 100cc

バター 5g

バニラエッセンス 2、3滴


1

マグカップにインスタントコーヒーと砂糖と湯を入れてよく混ぜ、牛乳を入れて更によく混ぜる。

2

電子レンジの「牛乳」コースで温めてから、バターとバニラエッセンスを入れてかき混ぜて出来上がり。

3

バター5gの目安として、「きれてるバター」1切れが10gなので、その半分が5gです。


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