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第1杯 ③

第2杯 19日22時頃投稿予約   

                Choco.2011.1/19


 そんなあたし達ふたりの空気を察してくれたのか、大家さんがあいだを取り持って、女性に紹介しはじめる。


「この子は10日前ぐらいから、ここに住んでいる宮野董子ちゃん」

「ふーん、若そうね。この春から大学生になったのかな?」

「はい、そうです」

「そうなの。だからかぁ……えっと、私はね、隣の隣に住んでる岡島ますみよ」


 岡島さんの言葉が少し引っかかるけど、あたしは気にせずに自分も挨拶を返した。 


「どうも、宮野です」

「私は29のOL。よろしく」

「わからない事とか教えてもらえると助かります」

「なんでも聞いて。ここ結構長く住んでるから」


 あたしの顔をまじまじみながら、こちらに岡島さんが近づいてくる。そのまま彼女はあたしの隣の席に座った。


「あ~やっぱり肌がつやつやしてるね」

「いえ、そんな事ないですよ」

「またまた~」

「岡島さんの方こそ、歳が2つくらいしかちがわないのかと、逆に」

「そう? 董子ちゃんもスッピンの割に肌綺麗よ。ちゃんとお手入れしてるんだね」

「ん~特には。洗顔して、化粧水つけるぐらいかな」

「化粧水だけだと、今はいいけど。化粧水後は乳液もつける方がいいんだから」

「乳液した方がちがいますか?」

「何言ってんのっ違うわよっ全然!」

「はっはぁ~。あたしそういうのうとくて」

「乳液つけないとね、そのまま化粧水が蒸発するのよ」

「へぇ~そうだったんだ」

「そうなの。それと他には――――」

 

 まだまだ話し足りないといわんばかりの岡島さんの話をさえぎる大家さん。


「まぁまぁ、そのくらいしておいて、コーヒー冷めない内に、どうぞ」

 

 岡島さんの飲んでいたカップをそっと置いた大家さん。そのまま彼女に微笑んでいる。

 大家さんの気の利いた行動で、岡島さんからはあたしの気が殺がれた模様。


「董子ちゃんもクルミ・ミルク・コーヒーどうぞ」


 大家さんがそう言うと、生クリームに胡桃をトッピングしたコーヒーがあたしの前に置かれた。


「クルミの香ばしい薫りがしますね」

「そうね、いい薫り」


 岡島さんにもコーヒーの薫りがいっているらしく、薫りを楽しみたいのか、鼻から湯気を吸い込んでいた。

 その様子を見ていた大家さんがガラスコップを拭きながら、あたしたちに説明してくれる。


「そうだね。炒った胡桃をトッピングしたからかな」

「へぇ~だからかぁ。それとすごくミルク感があって飲みやすいです」

「そうかい。温めた牛乳にコーヒーを加えて、最後に生クリームを添えたんだよ」

「ホントに甘くておいしい」

「よかったよ、気に入ってもらえて」


 そのやり取りをきいていた岡島さんはうらやましそうな表情。


「私もマスターに作ってもらおっかな」

「岡島さんも今からお作りしましょうか?」

「今日はいいかな。今度お願い」

「はい、かしこまりました」


 あたしはふたりの会話が終わるとカップを手にした。


「じゃあ、あたしはそろそろ部屋に戻りますね」

「そうかい。カップはまた朝にでもいいし、学校が終わってからでも返しにきてくれればいいよ」

「はい、それじゃカップ戻しに明日来ますね」


 ふたりは部屋に戻るあたしへ最後に声をかけてくれる。


「また明日にだね。おやすみなさい」

「おやすみ、またね」


  それに答えてあたしもカップ片手に席を立ってからふたりに挨拶する。


「おやすみなさい」

【準備】くるみは薄くスライスしておきます。

2人分レシピ

牛乳150cc.

くるみ/炒ったもの15g.

コーヒー粉/深煎り15g.

生クリーム/半立て15cc(大さじ1杯)

(1)鍋に牛乳、くるみを入れて、火にかけ、途中かき混ぜながら沸騰させます。沸騰したら弱火にし、30秒程煮込みます。

.(2)火を止めてコーヒーを加え、1分間おきます。

.(3)温めた器に目の細かい茶こしでこしながら注ぎます。半立ての生クリームを浮かべ、くるみを飾ってできあがり。

お好みで砂糖を入れて召し上がりください。

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