第7杯 ③
小説の色変えてみようかと、思いました。
いきなりですが、独断と偏見でカラーテーマを変更します。
もし、気に入らない場合はどなたか、ご一報くださいね。
10/25 choco
「んっ、どうかした?」
「いや、あれ? マス姉じゃなくね……」
洋輔は自身なさげに、外のある場所を見つめたまま呟く、その視線の先をあたしは辿るのだった。
あたしたちがCafeの外を、目を細めてみる様子に、藤井くんはいぶかしげそうな声を出す。
「どうかしのかい、ふたりとも?」
「……ずぶ濡れで、歩いてる女の人がいて」
「どこに?」
「慎一、後ろ……見てみろよ」
「たぶん、見間違いじゃないと思う。あの服は――――」
あたしがマス姉と確信すると同時に、ふたりもとても心配そうな声で話す。
「様子がおかしい、普通じゃなくね?」
「……確かに、様子がおかしいな」
ふたりも、大粒の雨が降りしきる外の様子を伺っている。
あたしは、なんだか心配になってきた――――――――――今日、元気がちょっとなかったマス姉の事を思い出すと。
「――――――か、傘取ってくるね、あたし」
いてもたってもいられず、あたしは既に、席を立ち、歩きかけようとしていた。
そこへ誰かが、あたしの腕を掴んだ。
「っえ――――?」
「……これ」
掴まれた腕の方を見上げると、ものすごく顔色の悪い様子の哲太さんがいた。心配そうな顏で、傘を握りしめている。彼の強い力で引っ張られたあたしの腕が、少し痛んだ。
あたしの微妙に引きつった顔の様子に気づいたのか、慌てて謝ってくれるのだった。
「あっごめん、俺――――――」
「大丈夫です、あたしは……」
あたしがそう言って少し微笑んだら、ホッとした様子で、あたしの腕を掴んでいた手の力が緩む。
哲太さんの方へ向きなおしたあたしは、彼の手から傘を受け取るのだった。
「傘……使いますね」
「――――ああ」
今だ、不安そうにしている哲太さん。あたしはそんな彼をおいて、急いでハイツの出口へ行く。出口を出ようとハッと息を呑む。
暗い雨の中、車のヘッドライトが、目に飛び込んだ。目が眩むほど、それは眩しく、思わずまぶたを閉じた。
それまで、まぶたを閉じていたのを、車のブレーキ音と共に開ける。
「待ってくれ、ますみ」
「ここへは来ないでって、言ってあったでしょ」
岡島ますみと男性が、あたしの目の前でもめている。男性は車から顔を覗かせていた。言い合いに拉致が明かないと思ったのか、そのまま走り去って行った。




