表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/89

第6杯 ③

「確か――――夜中とか、Cafeにいる事が多いかな。とっても無口な人でね、あまり話をしているのを見た事ないな」

「そうそう、俺はよくマス姉に絡まれてるのしか、見た事ないぜ」

「そうなんだ、それにしても大家さんと雰囲気がちがうなぁ」


 飲んでいたコーヒーを置いてから、テーブルにある参考書っぽいものを手に取る藤井くん。それをパラパラめくり、内容に目を通している。


「まっ話はそれぐらいにして、洋輔の勉強会始めようか」

「ですね、あたしは何教えればいいのかな?」

「宮野さんには、どんな感じに勉強するか、要領を掴んでもらってから、交代してもらおうかな」

「わかりました。とりあえず出番が来るまでは、あたしも自分の勉強しようかな」

「うん、それがいいよ」

「はい、わからない事があったら聞いてもいいですか?」

「遠慮なく、聞いてくれていいよ」

「ありがとうございます」


 あたしは藤井くんをみながら、軽く頭を下げて微笑んだ。

 そんなあたしたちの会話に、洋輔は少しイライラしている模様。


「そこのふたり、イチャついてないで、勉強教えろよ」

「全然イチャついてないから、ほら、洋輔はコレ解けるようにする!」

「その前に慎一、この数学の問題の解き方教えてくれよ」

「この前のか……これはココをxと考えて、yの値から出して計算していけば――――」


 しばらくこんな会話が繰り返されながら、ヒントを藤井くんからもらい、洋輔が数学の問題を解いていく。

 本格的にふたりは勉強を開始し始めたのだ。

 真剣なふたりをよそに、あたしも交代するまで、自分の勉強を見直す事にした。講義で習った事を思い出し、ノートを見返しながら、復習する。

 時間が経過して、集中力をかくようになっていたあたしは、ガラス越しに広がる風景を眺め始めていた。

 

「――――天気悪いな」


 この一言で、どうやら、集中力をかいていたのは、あたしだけじゃなかったみたい。cafeのガラスの向こうに黒っぽい雲が広がってきているのを見たのか、洋輔がそうつぶやいた。


「そうね、崩れそうな――――雲ゆき」


 あたしが何気なく、ガラスの向こう見て言った矢先だった、透明なガラスにポタポタと大粒の雨が降る。降り始めで、まだ所々にしか、大粒の雨が打ちつけていないようで。


「降ってるみたいだね――――もう」


 藤井くんの言葉をキッカケに、いっそう激しく雨が街に降り注ぐのだった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ