表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/89

第5杯 ⑤

 返事をしてから、あたしはカップを自分の方に引き取る。普通のコーヒーかと思って見ると、生クリームが乗ったコーヒー。見た目からウィンナーコーヒーだとわかり、 得意げにあたしは大家さんに声を掛ける。 


「これなら、飲んだことあります、ウィンナーコーヒーですよね」

「ああ、そうだね。オーストリア、ウイーン生まれのコーヒーでね――――」


 相槌をうってくれた大家さんは、続けて、詳しいお話をしてくれる。


「今はウインナーコーヒーとも呼ばれているけど、昔はアイン・シュペンナーという名称だったんだよ。

 その名前は【1頭だて馬車の御者】の意味をもっていてね、

 この言葉通り、客を待つ御者が親しんで飲んでいた飲み物と言われているんだよ」

「ちゃんとコーヒーの名前にも意味があるなんて、奥が深いんですね」

「ああ、そうなんだよ。待つって所は今の董子ちゃんと同じだね」


 クスっと笑う大家さん。


「――――ですね」

「本当にふたりとも来られないようだね」

「もしかしたら、藤井くんはバイト長引いているのかもしれません」

「そうかい、洋輔くんは何か用事でもあるのかい?」

「いえ、そんな事は言ってなかったから……洋輔は~寝坊かな」

「それじゃ、おこしにでも行こうかね」

「あっ携帯教えてもらったので、電話してみます」

「ふむ――――それでダメなら、おこしに行ってみようかね?」


 大家さんはどうもあたしに気を使ってくれてるみたい。

 なぜかと言うと、このハイツは階層によって男女の入居が分けられている為、女性が男性の入居している2階には入られないようになっているからだ。

 電話が通じなかったら、あたしの待ちぼうけがまだまだ続く事が決定だけど。それでもひとり暮らしのあたしにとって、安心できるシステム。

 時には不便だけど――――――――


「その時は、大家さんお願いします」

「それなら、早く電話をかけておあげなさい」

「はい。それじゃ、電話してみます」


 携帯片手にあたしはそう言ってから、Cafe出入口から出る。自動ドアが開くと少し曇った感じの空が、ハイツの出入口のガラスのドアから見えた。

 自動ドアが開かない場所に少し移動するあたし。

 誰の邪魔にもならない場所で、携帯のボタンを押しかけた時、ハイツのドアが開いた。

 そこから入ってきた男性と、あたしは目と目が合うのだった。


 息が荒い男性とあたしは、同時にお互いを指差して声を漏らす。


「あっ」

【1杯分】

コーヒー粉/深煎り12g

生クリーム/半立て30cc(大さじ2杯)

コーヒーシュガー20g(小さじ5杯)

【作り方】

(1)101サイズのドリッパーとサーバーを使用し、コーヒーを120cc抽出します。

(2)温めたコーヒーカップにコーヒーシュガーを たっぷりと入れます。

(3)(2)に(1)のコーヒーを注ぎます。

(4)(3)に半立ての生クリームを浮かべます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ