ナゼアメリカジンハブーガオオイノカ
「狂ってるよ。……そう、僕たちはそうやって幼いころから教育されてきたんだ。すべてが当たり前なんだ。ほんの少し背中を押された丸いボールが、ある地点へ転がっていくのと同じことなんだ。なぜ成長過程のどこかで気づかないかって?気づくわけがないだろう、右も左も家族も友人も牧師もおんなじ食生活なんだ。それがおかしいと感じる青少年は奇特な人だけだ。……誤解を招かないようにいっておくけど、奇特というのは優れた人のことであって変人を指すものではない。……、話を戻すとこの国に住む大多数の住人は幼少期からチーズとコーク、それから最大の相棒であるフライドポテトが親友だ。それらを与えられ躾けられて育ってきている。そう、カロリー爆弾だよ。ハンバーガーに関しては日本の有名店より一回り大きくしたくらいのサイズがふつうだ。フライドポテトも同じ感じだね。だけどドリンクだけはタガが外れてる。コークなんてレギュラーサイズがリッター超えの容器の上にドリンクバーで飲み放題&満タンにしてテイクアウトオーケーの店がざらにある。そりゃぁ、ポテトとナゲットの追加オーダーもするってもんさ。……、じゃあ運動すればいいじゃないかって?、ははは。それは無理な相談だよ。南米の特にメヒコに国境の近い貧困層が多い町の人ならなおさらだ。ある町での貧困率は二〇%を超えている。やる気のある若者は適齢期と共に勇んでほぼ一〇〇%町をでる。そしてそれ以外が町に残る。資金面で大学を諦め残らざるをえない者もいる。さて、町を見渡そう。人がまず歩かない。歩かないでいいシステムが構築されているからだ。銀行も薬局もハンバーガーもドライブスルーが整備されていて、楽なんだから利用者も当然使う。イコール車社会であるともいえる。スーパーに入ってごらんよ。電動ショッピングカーが入口でお出迎えだ。カートではなくカーだ。高齢者と超がつく肥満者はこれを利用して店内を巡るんだよ。録音では二〇二六年の下半期だね。超物価高は日本もアメリカも同じだ。だけど労働対価はどうだ?東京が現時点での最低賃金が一二七〇円に対して、ニューヨーク州のそれは一六ドル。現在の為替が一ドル一五〇円換算だとすると二五五〇円になる。さて、ここでさきほどのスーパーに戻ってみる。サーモンの握り六貫パックが日本円でおよそ一五〇〇円。いなり寿司四貫パックが一〇〇〇円。サイズは日本のものとさほど変わらない。牛乳は一・八リッターの最安が日本の倍くらい。そうそう、ざっくり見ても肉も魚もお菓子もおおよそ二倍の価格がふつうだ。話を戻すと、僕たちアメリカ人は野菜はほぼ食べない。食卓に出ない。出るところは料理に精通した職業人かたんなる料理好きかだ。さて、ここで君にとんでも情報を教えよう。なんとびっくり、このアメリカ国ではピザが野菜であると法律で決められている。信じられるかい?ピザだよ、調理された。その理屈はこうだ。それはトマトソースを使っているのだからトマトの拡大解釈である、従ってこれは野菜であると力業をとおしてる。あぁ、わかるさ。日本人の感覚ではとても理解できないだろう。だがこれらの背後にはじゃがいも及びトマト農家の莫大な、それこそ政権を左右する巨大票をチラつかせた圧力があるんだ。ポテトチップスは君も好きだろ?その多くがアメリカ産だし、日本産の大半も加工品に回ってる。現在の大統領は生食の輸入も日本は解禁せよといってるが、これはかなり危険だ。これまでにも外国輸入品による食品からの病害虫が持ち込まれている例は多い。膨大な野菜の中からそれらをピックアップするのは絶対に無理だ。そして一度上陸した虫や菌たちは強い耐性をえながら徐々に確実に列島に広がっていくだろう。そうなってからでは、現在の日本の超高齢農業者は耐えきれないだろうし、新規就農者は少ない上に……、え?僕の体重?なんだよ急に。まぁまぁ、それはいいじゃないか。……え~っと、どれくらいだと思う?九九?オー、クレイジー。君は場をわきまえたとても出来た人だ。ところでもやしのような君は何キロなの?……四九?ワッツ?狂ってる」




