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真実を求めて

「危ない!」


そう、叫んで結生の前に立ちはだかったスリプナー。

…鋭い穂先が生身の身体を貫く、鈍く重たい音がした。


「……!」


オーデンセは無骨な顔を強張らせ、立ち上がると手を差し出す。

固まりかけのアスファルトをかき混ぜる様な、グチャっという音と共に、槍が引き戻される。

槍が抜ける瞬間ビクンと、スリプナーの両肩が、痙攣して跳ねた。


「嫌!」


結生は叫ぶと、包帯で覆われた頭部の上へと手を掲げた。


「《断て》!」


青いエネルギーの紐がオーデンセの周りを周回し、互いに絡み合う。


ドサッ


スリプナーが膝をつき、崩れ落ちる。

腹部から決壊したダムの様に、おびただしい量の血が流れ出す。


「ああ!」


結生は泣き叫んだ。

その感情の脈動に共振して、輝く力線に乱れが生じる。


「ユキちゃん、今は闘わなきゃ駄目!」


ファラフナーズは叫んで言った。


(アシャ)よ、我らを照らし給え!」


室内の壁、床、天井に至るまで激しく発光し、目を潰さんばかりの輝きを発した。


「!」


ファラフナーズと“灰色の枢機卿”は倒れ込む。

輝く光の槍ぶすまを、何処からともなく出現した、漆黒の翼を持つ大量のカラスが遮ったのだ。

羽根と鉤爪と、鋭いクチバシの猛攻撃に覆われ二人の姿が、暗黒そのものの色をした半球に消えていく。


「《断ち切れ》!」


結生は凄絶な声で叫んだ。

エネルギーの紐が狭まり、オーデンセの身体に巻き付き、締め上げた…


「君は知るだろうか?第四の呪いを。戒めはポンと外れ、私は自由の身になる!」


青の力線が弾けて飛散する。


「……!」


ガァン、と全身を打った様な衝撃を、結生はその身でもってしっかりと味わった。


全身のいたる箇所から血が吹き出し、木製の床が汚され、滑っていく。

結生は身体中を襲うおぞましい苦痛をものともせずに再び叫んだ。


「《断ち切れ》!!」


青い刀身が現れ、回転しながらオーデンセに迫る。


「飛ばさせぬ!」


しわがれた声に、刃の勢いは失墜する。

迎え撃つ、老獪なる教授の手に再び、ルーンの刻まれた一本の槍が握られた。

無造作に結生の方を目掛けて投げつけられる。

それは飛び退る様にして回避しようとした彼女に向かって、物理的にあり得ない軌道を描いて追尾した。


ダン!


結生は顔の前でそれを感じた。

本能的に顔をかばった右手の甲に、鋭い槍の穂先が突き刺さり、数本の腱と、筋肉と神経の筋を切断して貫き、痛みが爆発する様に弾けて広がる熱い感覚を、焼け焦げる焦燥と荒廃して消耗した心魂でもって感じた…

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