話し合い
少し書き溜めが溜まって来ましたので、投稿スピード上げます
石破望が逮捕されて2日後の事…
深い色をしたブラックコーヒーの表面が、煙たい吐息を吐くように湯気に包まれていた。
色彩豊かなメニュー表や、洒落た植木鉢が並ぶテーブル。
この国にあっては珍しい、ファストフード店の店内だった。
政府直属機関から毎月渡される“雑費”で身の回りの日用品をやりくりする結生にとって、あまり馴染みのない場所だった。
浅黒い肌をした、腫れぼったい眼を眠そうに半眼にした少女が彼女に尋ねる。
「ねぇ、食べたいもの決まった?やっぱりタコスにする?それともドーナツ?」
漆黒の制服の、長めの両袖をパタパタさせながらマリーア・ミゲル・デ・ミニョーラは話す。
「……。」
少女、浅野結生は泣き腫らしたまぶたを指で擦り、うなだれながらも呟く。
「…全部…。」
「あっは!」
半眼のまま、口だけを動かしてマリーアは笑う。
「聞いたあ、にーさん!全部だって!」
厨房の奥から、スキンヘッズの大柄な男が、かなり大ぶりな肉切り包丁を持ったまま出てきた。
「全部だぁ?随分食い意地の張った嬢ちゃん共だな。」
強面のその男は店内にいる三人の少女を見て首をかしげる。
「…ふふふ、火は貪欲なのよ…。」
結生の隣に座るファラフナーズが、微笑みを交えつつ呟く。
「コイツはほっといて良いよ、にーさん。普段からこんな感じなの。」
「ああ…。」
男はマリーアの言葉に頷き、哀れむような目付きでファラフナーズの顔を見る。
ぴく、と彼女の頬が心なしか震える。
男は包丁を持ったままで三人の娘を見据えた。
「何にしても妹が仲間を連れて来たのだから自己紹介をせねばな。ようこそ、我が“リオ・グランデ”へ!そして俺こそは“青のウィツィロポチトリ”ホセ・ミゲル・デ・ミニョーラだ。」
「あなたも…」
結生がファストフード“リオ・グランデ”店主、ホセの無骨な顔を見つめる。
「あの…どういった能力なんですか?」
結生は尋ねる。
「聞きたいか?」
ホセは急に真顔になる。
「少なくとも、今飯を食おうっていう時分に聞く話じゃないぜ?」
結生はマリーアの方を一瞬じっと見て、そして答えた。
「今は…いいです…。」
マリーアはテーブルの上に身を乗り出して言う。
「ねーねー。タコスにしようよ。皮で包まれた美味しーやつ。」
「……。」
結生は再び静かになる。
どうしても今、囚われの身である石破の事を考えてしまう。
冤罪だと信じている。
そして必ず無実が証明されて、帰ってくるのだと。
少しは美味しいもの、食べれてると良いな…
そう思う。
「タコスな。任せろ、待ってな、嬢ちゃん達。」
そう言ってホセは厨房へ消えた。
…一連のやりとりを微笑ましげに眺めつつ、ファラフナーズは背後の気配にも気を配っていた。




