始まりの始まり19
大きな物音と共に奥の方から3人の男達が外へ飛び出して行った。
「リリーいくよ」
「ルー!」
ファンさんはシャワー中なのでここは俺たちでなんとかしないと、
外に出ると髭面の男たちが慌てて逃げようとマジックバンに跨り騒いでいる
「おい!急げ!追いつかれちまう」
「わかってる!」
このままだと逃げられてしまう……そうだ
「リリー あいつらに惑わしのメロディーで操れないか」
「ルー!」
了解という感じで鳴き、男たちに向かって歌いだした
「ん?なんだ・・・・」
男たちは歌の効果で意識が虚ろになり始め
「ルー!」
リリーの一声で地べたに座り込んだ。
「リリーすごいな~」
リリーは歌いながらえっへんとばかり胸を張る。
「待つのじゃ!」
店の奥から顔を真っ赤にした赤い服を着た爺さんが棍棒を振り上げて出てきたがことはすでに終わっており縄で捕縛した状態だった
「おお これは」
「大丈夫です、捕まえて置きました」
「いや~助かった」
そういうと棍棒を地面に置くとズドンというすごい振動がした、一体どんだけ重いんだアレは
「まったくこいつらが相談話を持ち掛けてきて、話を聞いてる最中にいきなり拘束魔法をかけてきやがって金目のものを手に取り飛び出しやがった」
「それは災難でしたね」
「ふん!このコソ泥が!」
盗人どもの頭をひっぱたく老人
「それにしても助かった礼をいう」
老人は俺に対して深々とお辞儀してきた
「いえ、そんなたいしたことは……」
「しかし、これは珍しい魔法だの儂も長年冒険者をやってるがあまりみたことないの~」
「こいつのおかげです」
「る~♪」
「ほう~その連れている魔物も……また面妖な」
「そんなに珍しいですかね」
ちょっと距離が近づき過ぎでは…
「ル…る~」
「おっとこれはすまんついつい気になっての」
状況を察してか我に返る老人
「そうじゃ、仲間がまだ拘束魔法から抜け出れてないでおるんじゃ少し手伝ってくれんか」
中に入ると仲間と思われるとお爺さん達が拘束から無理やり解除しようと抗っていたので介抱しているとフヨフヨと目の前にクロが何かをアピールするように飛んでいる
「ん?」
クロのステータスを見ると
クロッコ
Level1→5max
HP50
MP 10
スキル 浮遊
条件解放により
クラスチェンジ可能
クロはLevelが上がってクラスチェンジまで可能になっていた。
そういえば戦う以外でも経験値もらえるとか言ってたし、さっきので得た少ない経験でクロのレベル上げには十分な量がもらえたのかな?
そんなことを考えながら
「クロせっかくだからクラスチェンジするかい?」
するとクロが光だした。最初は米粒位の光が徐々に大きくなり野球ボール位になった。
そして光は収束し始め消えると黒いモコモコの毛並みと目がクリッとした生き物が現れた
ストラップにしたら人気でそうなくらい愛くるしい感じだ!
「お前クロか?」
「み〜♪」
「しゃべった!?」
クロは嬉しそうに鳴いて、頭の周りをふわふわ浮いている。
「あら~!その子は何?可愛い!……ん?何があったのこの状況」
シャワーから出てきたファンさんがクロ越しに見えた荒らされた店、そして横たわる老人たち……
「えっとコレにはいろいろな経緯があって」
俺は今まで起こったことを説明すると。
「そんなことになってるならなんであたしを呼ばないの!」
「いや、だってシャワー室入るわけにも」
「そんなことしたら軽蔑するわよ!そうじゃなくて声をかけるとか」
そんな話しをしていると先ほどの老人が外の悪党どもの対処が終わったのか戻ってきた、
「いや〜すまなかったな、なんとか金品等は取り戻せた仲間の解放をしてくれたみたいで本当にありがとう、そうだ、店主 店の片づけがおわったらオードブルと何か飲み物を見繕ってくれ宴といこう」
「わかった、お題はあの悪党から巻き上げおくぜ」
悪い顔をして店主は奥へと入っていた
「ところで彼女は君の連れかい?その髪、カーネーションの紋章…お主…」
ファンさんの容姿を見るなり言葉を濁し紋章を隠すように握りしめる
「いや、すまん気を悪くしたならあやまる」
何が気に障ったのかわからないがちょっと嫌な空気になりそうなところに
「さあ みんなで食べよう、君が盗人を捕まえたんだろ!お前強いんだな!」
いいタイミングで飲み物と料理を店主が運んできて意気揚揚としゃべりだした
「今日は金を気にせずジャンジャンやってくれ、俺の作れる最高の料理を用意しよう!」
飲み物は キンキンに冷えていて、味は蜂蜜に柑橘類を入れてある感じで酸味と甘みのバランスがいいカクテルのような飲み物と料理は牛肉のような肉がこんがり焼かれており、蜂蜜入りのソースをかけて焼いたのか北京ダックのようなものを中心に他にもソーセージのようなものに、ピリ辛くて甘いハニーマスタードがついたもの、カラフルなサラダがついているオードブルがたくさん並んだ。
「どうだ!うまいだろう!今日は騒ぐぞ~~!」
さきほどまでぐったりしていた老人たちも復活して俺の首に腕を回して騒ぎ出す
さすが元冒険者すごい力だ…苦しい
「店主旨いぞ!」
老人が声をあげて賞賛する。
「当たり前よ、蜂蜜が良いの手に入ったからよ、昔アイリス地方で習った料理を作ったのさ」
「く〜流石だ 普通のレストランじゃこうはいかないからの!これだからトリップハウス巡りはやめられない」
老人は満面の笑みで頷いている。
そんなこんなで先ほどの険悪なムードは吹き飛びみんなでどんちゃん騒ぎが始りリリーは歌いだしクロはポンポン跳ね、ファンさんも調子を取り戻しなごんでいる
その後も店主が秘蔵の酒を出してきて終わることない大宴会 店主の冒険譚を聞きながら話しは盛り上がった。
会は終盤になりみんなかなり酔っている中、いつのまにか俺の話になった
「そういう君はどうして旅をしているのかね?」
「それ!私も知りたい」
ファンさんも興味津々だ。
「えっと実は訳あって コアという存在を探してまして」
「コア?聞いたことないの〜〜」
老人が首をひねりながら答える
「私も知らないわ」
ファンさんも知らないらしい。
「うむ、これだけの面子が揃って知らないとなると、中央の賢者くらいしか…」
老人は何かブツブツ言っている。
「賢者ですか?」
「ああ、まあこの国のご意見番というかすべての問いに答えてくれるシステムとよばれてる存在それが賢者じゃ」
「ほー」
「じゃが一般人では会うことも不可能じゃから現実的ではないの〜」
「そうじゃ!」
すると一人の老人が
「儂らといっしょにマジックバンで旅をしながら情報集めてはどうじゃ!」
「え?旅~おもしろそうれすね!」
ファンさんも酔いもあってかろれつがまわってないけど大丈夫か!?
リリー達も訳もわからないだろうに騒いでいる
「よし!決まりじゃ!みんないくぞ!旅じゃ!」
かくして老人とのツーリング旅行が始まった
クロのステータス
フルクロッコ
クロ
Level1
HP50
MP15
スキル 浮遊
NEW 重力魔法
ゼロ :重力を0にする




