始まりの始まり16
帰還後モニターを確認すると北原達も帰還したようで司令に先ほどの黒い戦士の件に関して詰め寄っているようだったが、詳細は不明だと言ってごまかしているようだ。
俺はその後鉢合わせると面倒とのことで、軽い脳波チェックを受けた後そうそうに家に帰された。
まだ時間帯もお昼過ぎくらいだったのでコンビニで飲み物と綺麗な柄が入ったビニールに入ったパンと洋菓子を買った、もちろんファンさんのおみやげに使うためである。
価値観なんて場所が違うだけで大きく変わるもんだな~
いっそビニールゴミを集めて売ったら滞在費とかいろいろ稼げるじゃないか?
そんなことを考えつつお昼を済ませて裏世界へと転移した。
気が付くと俺はリリー達と別れ転送した場所へと戻ってきた。
宿に行ってみておかみさんに話を聞くと出かけているとのことだったがもし俺が来たら渡してくれと頼まれたというリサチーをくれた
リリー達を探そうかとおもったが町はずれの森へと移動し先ほど倒した奴がもしかしてまた厄介だとおもい念のために確認するためだ、
二度あることは三度あるなんてことになってないか恐る恐る現場に行くと倒したときと同じ砂の塊があるだけだった。
「ふ~よかった」
安堵しているとふとファンさんの言っていたことを思い出す、討伐したらリサチーでスキャンするんだったな、倒したのは俺じゃないけど俺だし泥棒ではない……ややこしいな
受け取っていたリサチーをポケットから出して砂の塊にかざすと、光が放たれそしてなにか黒い光のようなものが浮かび上がりそのままリサチーの中に入っていった。
これでいいのかな?よくわからないがもう一度同じことをやってもなにも起こらなかったのでとりあえず大丈夫なのだろうと思い引き返すことにした、
前回はバタバタしていて町を探索できなかったのでゆっくり辺りを散策すると、古いヨーロッパチックな石造の建物が多く移動手段として馬の様な動物が馬車を引き走っている。
お店は、店舗型のものから露店の様に展開しているタイプなどいろいろある。食べ物も多種多様なものが多く食欲をそそられるが相場もわからなければ金もないので眺めていると……
ガシ!
え?!何か肩を掴まれた!
まさかカツアゲとかそういう感じの人か!?
恐る恐る後ろを振り向くとそれ以上に怖い笑みが待っていた。
「こんな所で御一人で町の見学かしらね~~~~」
バシ!
「イタ!」
膝蹴りを食らった。
「当然の報いです、私たちをこんな待たせるなんて軽蔑するわ!」
「ルールー!」
リリーもファンさんの頭の上で抗議している。
「すみません、ちょっと時間掛ってしまって」
「んで、戻ってきたとおもったら町の見学ですか~私たち探さずに~」
「いや 探しながら町を見ていたというか」
「ふん!この前リサチーつくったばっかりなんだからお金もないのに」
「これお金なんですか?」
「ええ 倒した敵のデータがこの中に入りそれが管理庁へ転送すると貢献国から報償の名目で資金に変換されるし、もしレアなモンスターや大物を倒したらアイテムやスカウト、称号なんかも転送されることがあるわ」
「そうなんですね」
「まあ田舎暮らしのあなたは知らなくて当然でしょうね!」
まだ怒りがおさまらないようなので俺は秘密兵器を渡すことにした。
「ファンさんお詫びにこれを」
昼食べたパンと洋菓子のビニール袋を渡すと
「綺麗!これくれるの〜キラキラしてる」
ご満悦のファンさん……なぜだろ心が痛い
「しょうがないわね!まあ謝ってるみたいだし今回だけよ」
ふー 助かった!
「あ そうそうファンさんこちらに来る途中一匹魔物倒したので変換したいのですが」
「一匹だけ?普通はある程度まとめてやるものだけど、まあ転送の練習も兼ねてやってみましょうか」
ビニール袋を太陽に透かしながらご機嫌で答えるファンさんに連れられて管理庁向かった。
中に入ると銀行のカウンターのようにとこに職員が居て人が並んでいた
「混んでますね、時間掛りそうですね」
「ええ、だからまとめやるんだけどあなたは大丈夫よ」
「?」
「この列は国ごとに分かれて並ぶのよ、あなたはあそこの誰も並んでない列よ、ある意味これが機の国の最大の利点かもね」
カウンターにいくとやる気のなさそうな職員が
「変換ですか?」
「リサチーを渡すのよ」
ファンさんに言われリサチーを渡すと
「⁈」
職員さんが驚きの表情になり急いで立ち上がり奥へ行ってしまった。
ボー然とする俺とファンさん
「……あんた又何かやらかしたわね」
「え?!」




