体力測定を無双する 2
いよいよ、僕達男子の測定が始まろうとしていたんだけど……
「人、多くない?」
「ん?そりゃそうだろ?なにせ遥輝と俺がいるわけだからな?」
「え?僕と悠真に何があるの?」
「えぇ、まあ俺のことはそっち系のやつしか知らないからいいけどさ?少なくとも自分自身の人気は自覚したほうがいいぞ?遥輝」
とは言われたものの、入学してからまだ1週間しか経っていないのにそんなの自覚のしようもなかった。いや?でも確かに初日から今日まで、日に日に僕のことを見ている視線は増えてきてた気がする。
「えぇ、でも僕なんて普通だよ?」
「普通じゃないやつほどそうやって隠してくもんだぜ?まあ、スポーツ系は俺も自信あるからな!周りなんて気にせず勝負だ!」
「うん!!」
そして、一種目目が始まる……
「さぁ、始まりました!1年男子体力測定!!1種目目はいきなりではありますが花形の50m走です!」
んん?これってほんとに体力測定?
「なんか、この学校謎に体力測定にも気合い入れてるみたいでこうして実況とか付くみたいだぜ?」
「へ、へぇ……なんで?」
「それはここの学園長の趣味じゃね?」
趣味ってなんだよ!?って思ったけど、平常心平常心。
「さぁ、学園長!今回の注目は?」
「んー、やっぱり1-Aの一条君と三田君かなぁ?一条君は中学時代のデータがないけど運動神経いいのは聞いてるし、三田君なんて中学陸上短距離の至宝とか言われるくらい短距離に強い子だからね!」
「なるほど!わくわくしますね!」
そこで、僕はようやく?悠真のことを思い出した。
「悠真って!あの去年の中学陸上で100mと200mの2冠をやったあの悠真なの!?」
「あれっ、遥輝知ってるんだ?中学陸上なんて陸上界隈しか知られないと思ってたのに、なんか照れるなw」
「マジか!うわぁ、絶対勝てないじゃんか」
「んー、短距離なら負ける気はしないけどな?総合的に見れば負けそうだよ俺が」
そう言いながら、僕達はスタート位置につく。なぜか僕と悠真は出席番号とか関係なくペアとして扱われているので、僕は悠真と50m走を競うことになっているのだ。まぁ、あくまでも体力測定なので競うことではないんだけど、こんな感じで見られてるわけだし、何よりも瑠璃の前でかっこ悪いところは見せたくなかった。この気持ちは珊瑚さんが見ている悠真も同じようで、悠真の顔も普段からは想像できないほどに真剣そのものだった。
「位置について、よーい……」ドンッ
合図と共に走り始めた僕達の戦いは、とても一瞬なようですごく長く感じた。そして、当たり前ではあるけど悠真に勝つことはできなかった。
「くっそー!悠真ほんと早いな!?」
「いやいや、遥輝こそ。去年の決勝の時よりヒヤッとしたぞ?」
「そう?」
「まあ」
「とりあえず」
「「ナイスファイト!」」
〜第一種目 50m走〜
1位 三田悠真 5.98
2位 一条遥輝 6.04
体力測定は、まだ始まったばかり……
無双です!でも、主人公だけ無双するのもなんだかなぁなので悠真と2人で無双です!!
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何卒…何卒……