通学も一苦労?
私立星光学園。僕達がこれから通う学び舎であるそこは都内でも有数の進学校であり、さらには部活動も活発ながら自由な校風で、特に校則による縛りも無いことから色んな意味で中学生から憧れられる学校として知られていた。まあ、僕はそういうのは全然気にしてなくて、将来への道筋を考えた時にこの学校に行くのが1番楽だなと思ったからここを選んだだけ。でも……
「同じクラスだといいね!はる君!」
「そうだねぇ。どういうクラス分けするのか知らないからあれだけど、瑠璃と同じクラスだと毎日楽しいだろうね」
「……それって?」
「…?なにか変なこと言ったかな?」
「いや、大丈夫!」
こんなにも可愛い瑠璃の姿を見られることだけでもこの学校を選んだ意味はあるなって思う。本当、僕の幼馴染は可愛すぎて困る。
そんなことを考えながら駅に着いたので僕達は電車に乗り込んだけど、この時間は通勤通学ラッシュと被っているので、車内はかなりの混み具合だった。そんな中、僕は瑠璃の事を邪な目で見つめる男の気配を感じたのと、単純に満員で瑠璃が危なかったので少しカッコつけることにした。
ドンっ
「瑠璃ごめん、この中で他の人達に瑠璃に触れてほしくないからちょっと我慢してくれるかな?」
僕は、ドアの前にいる瑠璃を守るようにドアに両手をつき他の人が触れられないようにしつつ、気配を感じた方向に向かって睨みを効かせておいた。すると、嫌な気配が消えたので、おそらく諦めてくれたなとホッとしながら瑠璃の方を向くと、そこには真っ赤な顔をした瑠璃がいた。
「瑠璃!?顔真っ赤だよ?もしかして熱ある?大丈夫!?」
「うぅ、誰のせいだと」
「誰かにやられたの!?誰?そいつシメてくる!」
「はぁ……無自覚バカめ」
「えっ!?」
「なんでもなーい!ばーか!」
なぜか少し不機嫌になってしまった瑠璃に困りつつ、学校の最寄り駅に着いたので僕達は電車を降りて学校に歩き出したんだけど……
「なんか、めっちゃ見られない?」
「そうだねぇ、でもさ?今に限ったことじゃなくない?」
「まぁそれもそうか。そりゃ瑠璃がいるからみんな見惚れてるよね」
「はる君がかっこいいからみんな見惚れてるんだよ」
「「???」」
「「いやいやいや」」
「瑠璃が」「はる君が」
「……やめようか、なんか不毛な争いに思えてきた」
「そうだね……あははっ、なんかなんだかんだ中学の時と変わらない感じになりそうだね!」
「うーん、それがいいのか悪いのかわかんないけどね」
そんな少しむず痒い感じの視線を浴び続けながら学校に辿り着いた。そして、残念ながら僕はここで瑠璃とは別れた。それは、僕がなぜか今年の新入生代表挨拶をしなければいけなかったから。
「それじゃ、また後で!」
「うん、後で」
少しだけドキドキした気持ちを抱えて僕は昇降口にいた先生に連れられ職員室に入った。
次話では、新キャラが登場します!わくわく!
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何卒…何卒……