風邪とそれぞれの本音 3(瑠璃)
「……んんんん。ふわぁ、よく寝た……っ!?は、はる君!?」
薬のおかげかよく眠ることができた私は、まだ西日が眩しく感じる夕方過ぎに目を覚まして横を見ると、気持ちよさそうな寝顔をして眠りについているはる君がいることに気づいて思わず大きめの声が出てしまった。幸いにもはる君は目を覚さなかった。いつからいたんだろうと考えてみたけれど、今日1番遅くに家を出たお母さんが12時過ぎだったはずなので、少なくともそのあたりからはいてくれたはず。
せっかくのお休みなのに私の看病に付き合わせてしまって申し訳ないなという気持ちと、一緒にいられて嬉しいなという2つの想いが胸の中をぐるぐるしていたけれど、共通してる想いが一つあった。
(はる君、今日もかっこいいなぁぁ)
はる君は、今日もいつもと変わらずかっこよかった。そして、少し起き上がってみたけれど、やっぱり身体のだるさは抜けきっていないので少ししんどかったけれど、意気地のない私は、ここからのことを熱で意識が曖昧だったせいにすることにした。
「ねぇ、はる君。私ね?はる君はこういうの鈍感だから気づいてないと思うけど、ずーっとずーーっとはる君のことが大好きなの。はる君の全部が大好きなの。どんなことにも全力で取り組んでるはる君が好き。いつも楽しそうなはる君が好き。はる君のニコッとした笑顔も、心配そうにしてる顔も、真剣に取り組む時の顔も、全部ぜーんぶ大好きなの。私は、これから先何があったとしてもはる君以外と過ごす人生なんて考えられない、そのくらい私ははる君……一条遥輝君のことが大好きです」
私は、はる君への想いを寝ているはる君には聞こえないようにつぶやいた。これが、私の嘘偽りのないはる君への想い。ずっと一緒にいるからこそよくわかる。はる君のいろんな部分が愛おしくて、私の心は満たされていくんだ。
そんなことを想いながらはる君のことを見ていると、はる君が目を覚ました。
「……ん……瑠璃?あ、僕寝てたのか。ごめんね、瑠璃のことほったらかしにして寝ちゃってて」
「んーん!こちらこそ、そばにいてくれてありがとう」
「瑠璃が困った時はいつだって僕がそばにいるから」
「うん、はる君はいつもそうだね。ありがとう」
「あ、そうだ!体調はいくらか良くなってきた?」
「うん!おかげさまでまだ身体のだるさは残ってるけどそれ以外はだいぶ良くなってきたかなぁ」
「それならよかった。じゃあ僕は食べやすいようにうどんでも作ってくるから待っててね」
私は、そう言ってキッチンへと降りていったはる君の背中を見ながらまた横になるのでした。
こうしてそれぞれの想いが交錯した瑠璃のお見舞いは終わり、翌日には元気になった瑠璃の姿があった。
さぁ!一つステップを上がったんではないでしょうか…(お互いのそれぞれの気持ち的な意味で)
次話からは珊瑚の別荘編になります!
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何卒…何卒……




