バイトと友達と 3(遥輝)
僕は、秋葉原に来ていた。今日が初めての出勤日なのと、働く場所の特殊性のせいか、なんとも言えないそわそわ感を感じていた。
「き、緊張する」
「んー?そんな肩肘張らなくていいよ?最初だしねぇ」
「り、理玖さん!?」
「何をそんな驚いてんの?……あー、そっか!ボクの仕事着姿って初めて見るんだっけ?」
「は、はい!なんだかこの前の面接でお会いした時と雰囲気が違うと言いますか」
「まぁねぇ?普段とは違う自分になれるところが、こういったコンセプトカフェの良さでもあるしメイクくらいはしてるよね!」
「なるほど」
「あ、もう一つ伝えないといけないことがあったんだけど、うちお酒とかの提供はしてないし席についてお客さんに接客する、みたいな事もしてないからその辺は安心して?カフェの店員さんが王子様っていう設定ってだけだから!」
「な、なるほど?」
「じゃなきゃ高校生の遥輝君を採用もできないしね」
「確かに?」
「まぁそんな細かいところはひとまず置いておいて、みんな優しい人たちばっかりだから安心して仕事してくれれば!」
「はい!頑張ります!」
どうあれ、とりあえず頑張ることしかできないと思った僕は気持ちを入れて出勤の準備をした。そしてフロアに出ると……
「おおぉ!やっぱり思った通りめちゃくちゃに似合ってるね!」
「そうですかね?」
「うん!その白と青を基調としたオーソドックスな王子衣装が似合うとは、やっぱりここで採用しておいてよかったよ!」
「なんだかそんなに褒められると照れますね……」
「自信持っていいよ!」
「あ、ありがとうございます!なんだかそこまで言ってもらえると自信湧いてきました!」
「それは良かった。じゃあ早速なんだけどお客さんがいらっしゃったみたいなので入り口でご案内してみてもらえるかな?」
「頑張ります!」
僕は、褒められて自信がついたことでこの時の理玖さんの口元が緩んでいることに気が付かなかったのです。
「ようこそKingdom……へ!?」
「おぉー!はるはるめちゃくちゃイケメンだぁ」
「想像してたより何倍も似合ってて正直びっくりだわ、遥輝カッケェよ」
「ちょ、え?いやまぁ珊瑚さんの紹介で入ったわけだからここに僕がいるのは知ってて当たり前だけどよりにもよって初日に来るの……!?」
「いや、正直ここで遥輝に会うのはたまたまでさ?珊瑚とは時々ここには来るんだけど、さすがに友達とはいえ人のシフトなんて部外者の俺たちが聞けるわけないからな」
「そ、それもそっか……とりあえず空いてるお席はどうぞ」
まさかの初接客は友達2人でした……
次話まではバイト回です!ちょっとペースダウンしているのは否めないですが頑張っていきますのでよろしくお願いします!!
もしよろしければ評価や感想などいただけると嬉しいです!
何卒…何卒……




