バイトと友達と 1(瑠璃)
初出勤から2週間が経ち、私もだいぶこのお店に慣れてきて楽しく仕事をしていた。店長の悠姫さんも他のメイドさんも優しく教えてくれるおかげで毎日が楽しかった。そして、そろそろはる君を呼んでもいいかな、なんて思いながら今日も仕事を始めたんだけど……
「お帰りなさいませ!ご主人……様!?」
「おっと、それは予想外すぎる」
「え、るりるりのバイト先ここだったの!?」
はる君よりも先に、友達を接客することになるとは思ってもいなかったのです……
(って、え?三田君と珊瑚ちゃんってこういうところに来るような人達だっけ…?え、えぇぇ)
さすがに動揺を隠すこともできない私の挙動不審さが怪しかったからか悠姫さんが声をかけてくれました。
「どうした?何かあった?」
「い、いや……実はあそこのテーブルの2人、学校の友達なんですよね…」
「なるほど、内緒にしてたのがバレて恥ずかしいっていう感じ?」
「そうなんです!」
「そっかそっかぁ……ん?あれ?瑠璃ちゃん、あの2人と友達なの?」
「え?はい!そうなんです!」
「そっかぁ!こんな偶然もあるんだねぇ」
「???」
「あ、そっか。瑠璃ちゃんには私の名前しか伝えてなかったんだったっけね!じゃあ改めて……私、三田 悠姫っていうの。それで察してくれたかもだと思うんだけど、そこに座ってる悠真の姉でーす!」
「え、えぇぇぇ!?」
「そんなに驚く?」
「いや、驚きますよ!?当たり前じゃないですか!」
「そっかそっかぁ…驚かせちゃってごめんね?でもまぁ、あの2人はいい子だから、いつも通りに接客すればいいよ?」
「は、はい……」
次々出てくる新情報に頭が追いつかないけれど、なんとか心を落ち着かせて接客に臨む。今日の私はなんだか前途多難な予感がした……
「まさか七宮さんがここで働いてるとは…」
「そうだね、ゆうゆう。多分るりるりもはるはるも同じ建物でバイトしてるとは思ってないだろうねw」
「それな?俺達は今こうして七宮さんと遥輝のお互いの職場が同じビルだってわかったから逆に面白いけどさ、当人は分かってないわけだもんな」
「そうそう!まぁ、るりるりがここにいたのは予想外のことだったけどさ、この際どっちも楽しも?」
「そうだな!」
なんだか楽しげな話をしている2人が気になりつつ、話しかけられるわけがないのでなんとか平常心で接客します。
「ご主人様、ご注文はお決まりですか?」
「うん!この、メイドさんの愛情たっぷりふわふわおむらいすを2つとー、ソロチェキ1枚くださーい!」
「め、メイドさんの愛情たっぷりふわふわおむらいすが2つと、ソロチェキですね!お待ちください!」
(くっ……くぅっっっ!!さすがに友達相手にこれはキツすぎるよ!?しかもなんでソロチェキ!?)
瑠璃の多難はまだ続くのです……
いやぁ、いいですよねメイド!次の次くらいには遥輝の王子様コンカフェも登場予定なのでお楽しみに!
というわけで、もしよろしければ評価や感想などいただけると嬉しいです!!
何卒…何卒……




