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第4話 異世界系について語る

 ハズランド、という地域にいることは分かった。

 ハズランド地域の、カグラという国らしい。なんだか日本っぽい名称だけど、神楽とは書かないだろう。漢字文化圏なわけもない。

 カグラの国の大森林地帯、これを越えた向こうには山脈があり、彼はそこを目指していたらしい。なんて幸運、動き回っていたら行き違いで確実に遭難していた。

 というぐらい奥地にあたるらしく、都市どころか村までかなり遠いらしい。

 ハズランド地域は広く、大小様々な国がある。どうもハズランド文明圏というほど、この世界では有名な地域らしい。

 ヨーロッパとか東南アジアのよう、巨大な地域にいくつも国があるみたいだ。

 ただ聞けば聞くほど実感が湧かない。

 つまりこれ、もう説明がいらないほどあれだ。

 ネットとかWeb小説とか、漫画とかゲームとかそれなあれだ。


「大体こんな感じや。なんか聞きたいことあるか」


 かぶりを振り僕は一つ確かめる。


「すいません、リッキーさんはお年おいくつですか」

「うん? なんや、散々世界語らせて年聞くんか。なんやそれ。今年十四になる。つまり十三やな、悪いか」


 全然全く、微塵も悪くない。口は悪いかもしれないけど、十四歳でも十三歳でも悪くない。

 ただソロキャンパーという肩書きは、十代に相応しいものか疑問だったんだ。だって中学二年生、日本なら。


「あの、なんでソロキャンパーやってるんですか?」

「ざっくりやな。ええやんけ別に、好きにやらせろや。お前に迷惑かけるどころか助けてもうたわ。良かったなカケル、ついてるぞ」


 ふふん、とリッキーは得意げだが全然ついてない。ちょっと凄いことになってて、その中では結構ついてる方ではあるけれど。確かに。

 もうため息も出なくて、僕は話す。


「こういうの僕よく知ってます」

「おう? なんやそれ。知ってるんやったら落ち込むなや。麦茶飲み過ぎや」

「すいません。やっぱり麦茶だったんですね」

「せや。一年中水と麦茶、それがソロキャンパーの流儀や。俺だけやけど、たぶんな」


 話にオチつけないと気がすまない。やはり関西人では。でも違うって、何回繰り返したらいいんだろう。


「麦茶なんぞなんぼでも飲め。今から行くとこ水には困らん。かまへん」

「そうですか……」

「で、何を知ってるんや。言えや。大体解決するかもせえへんやんけ」


 大体深刻さを実感するだけになる、と思うのであまり言いたくない。そもそもあれは転生という、死んでからのものが多い。

 そのままというのは転移にあたり、僕はどうしてそうなった。

 なんだかリッキーは話の続きが気になるらしく、仕方なく応じる。


「異世界転生、というお話があるんです」

「ほうか。で、なんやそれ」


 ほうか、ってリアルで聞くの異世界が初めて。なんだろうこの異世界感のなさ。なんか清々しいぐらいだ。

 とにかくと更に応じる。


「物語の設定とか展開の話なんです。最近流行りで、でも昔からよくあるものです。異世界に飛ばされたり、あとは転生したり」


 リッキーは小刻みに頷いてから口を開いた。


「へー小説とかか。想像力豊か、って言いたいとこやけど流行ってんのか。アホのひとつ覚えやな。他になんぼでもあるやろ。まともな書き手おらんのか」


 理解が早いのは凄いけど毒吐き過ぎだよ。

 分かるしそういう意見があるのは事実だ。でも物語と現実には、それこそ現実と異世界ぐらいの隔たりがある。はずなのに……。


「流行りはええわ。好きにせえや。そうなったら事実上大喜利やな。俺も参加したいぐらいや」

「そうですか。僕は眺めてるだけでいいです」

「せやな。大喜利極めて、飯の種になるぐらいの腕いるわな。流行ってるいうことは、達人がようさんおるんやな。やるやないか」


 なんか知らない小説家の人達が誉められてる。僕には微塵も関係なく、今の状況は変わらないけど。

 説明を続けよう。


「でもそういうのって転生ものが多くて、それから経緯がはっきりしてるものが多いんです」

「そうか。どんなや」

「ダンプカー……トラック……えっと乗り物にはねられて、それから女神のいるあの世に行って、それから違う世界に転生する感じな流れ。転生ボーナスとか、なんか力とか授かって。これが多いです」

「ほーん、やっぱアホのひとつ覚えやな」


 そうかもしれないけど、相づちで毒吐くのやめてもらえないかな。これに慣れないといけないのか。もしかしたら、ある種一番過酷な異世界展開かもしれない。

 気分的に。

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