僕の能力は、
女神から渡された紙を読んだことで、「転生」のことについて大まかなことは分かった。
あとは、こまごまとした質問だけだ。
まずはどうでもいい質問から。
「先生ー!質問でーす!」
「うむ」
「紙に書いてある[神]と、あなた=女神は同一人物ですか? 」
素朴な疑問。
「違うな。神様にも序列というものがあり、そこに書いてある[神]は、その最高位にいらっしゃる方だ」
「なるほど、つまり僕を半蘇生してくれたのは「Top of God」=神、というわけなんですね。
ーーちなみに、女神さまはどこら辺に位置されているのですか? 」
すると、女神はそっぽを向いて、
「...最底辺だ。悪かったな」。
あ、怒っちゃった?
「すみません、不用意な質問で」
「気にするな」
気を取り直して、次は、僕にとって大事な質問で。
「ええと、次の質問ですが、ーーどうして、僕は転生できるのですか? 」
「と、言うと?」
「僕は生前、ただの大学生でした。別段取り柄があるわけでもないです。しかし、転生して、二度目の人生を生きようとしている。なぜ、僕なのでしょうか。」
「死人全員が転生できると言ったら? 」
「それならば、納得します...しかし、もしも違うのならば、理由を知りたいのです」
「ーー冗談だ。選ばれた者のみが、転生できる。そして、お前が選ばれた理由は」
心臓の音が、いつもより大きい。
実は、かなり気になっていたんだ、この質問。
僕よりもすごい人だなんて、星の数ほどいる。
もちろん、「全員」というのも考えていた。
それならいいんだ。「みんな同じ」だから。
僕だけ下じゃないから。
でも、理由が、別のものなら、僕は、「上」になる。
その理由とは、一体...
「理由はーー「[神]の推しの娘の名前と同じだったから」だ」
「...は?」
間抜けな声が出た。
「だから、「[神]の...」
く...
「くだらなすぎるっ! 」
叫んだ。
「いやいやおかしいでしょう! なんですかそれ! 僕の女の子みたいな名前で選ばれたってことですよね?! 」
「お、落ち着け。気持ちはわかる、わかるぞ。しかし、正直其方の選ばれ方は、マシなほうなんだ」
「...え? 」
また、間抜けな声が出る。
「前回ここに来たやつーー「マゾルニッヒ=サディストゥーン」というやつなんだがーー選ばれた理由がな、{神「ギャハハハハ!MなんかSなんかわからへんわ! 」}と、いうものだったんだ」
か、悲しいっ!
確かに、俺のはマシなほうだ。
「不憫すぎます...しかもその人も名前で」
「ああ。[神]は、なかなかのやべぇ奴、だからな」
女神は遠い目をして、そう言った。
おそらく、何度もその目で「やべぇ奴」の奇行を見てきたのだろう。
なんちという奴だ。
...まぁ、この話もほどほどにして。
最後の質問ーー1番、気になる質問だ。
「最後の質問ですが...僕の「転生ボーナス」は、何なのでしょうか? 」
「転生ボーナス」は、人生を決める。
強ければ、生き抜ける。
弱ければ、すぐに死ぬ。
さぁ、どうだ...?
「あぁ、お前のボーナスか。それはーー。
今から決まるぞ」
「ま、まだだったのか...」
しかし、気は抜けない。「今から決まる」のだ。
「ああ。このくじを引いて、決めてもらう」
差し出されたのはーー縁日の屋台で見かける、細いひもの束。
「なんかもっとかっこいいものを想像してました」
「グダグダ言わずに引くんだ」
震える手でひもを探る。
手に当たる感触が気持ちいい。
そして、決めた。
「んっ! 」
運命のひもを、引き抜く。思ったよりも簡単に、「それ」は抜けた。
ひもの先端ーーおそらく能力が書かれているであろう部分を見る。
僕が引き抜いたのは...。
「どんな能力だったか? 」
「僕の能力は、
ーー『中指ですべてを粉砕する』能力です」
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