表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

不幸な大学生は事故に遭う。

こんにちは。


拙い文章ではありますが、この物語を楽しんでいただけると嬉しいです。


これから、よろしくお願いします。

思えば、儚い人生だったー。


俺、西城 三月は、トラックにはねられ、朦朧とする意識の中、そんなことを思っていた。


次々に過去の思い出が蘇る。


幼稚園生の時、初めて動物園に連れて行ってもらい、動物が好きになったこと。


小学校の時、両親と桜並木を歩いて学校に行ったこと。


中学生の時、その両親が病気により亡くなったこと。


そして、高校生の時、好きな人に振られたことー。


(くそっ、なんで、思い出の半分は「悲しい思い出」なんだ)


事故に遭った理不尽にに加え、身体と胸の痛みで、涙が出てくる。


(出来れば...)


溢れないように、目をつぶる。


(出来れば、もっと、幸せに、生きたかった...! )





「其方の願い、聞き届けた」


そんな声が、聞こえたような気がした。






(ん...)


意識が覚醒していく。


(あれ..ここは..)


俺はいつの間にか、見たこともない場所にいた。

一面が光に包まれており、一寸の影もない。

「空間」であるかも曖昧な、とにかく眩しい所だ。


(っというか、俺って死んだんじゃ...!)


自分の体を見てみる。

ー無傷だった。トラックにはねられたのに。あんなに吹き飛ばされたのに。


(...僕の身に起こっていることは、いまいち理解できないが、取り敢えず、「助かった」ってことだよな? )


口から息が漏れる。そうか、俺はまだ、生きているのか...。安心感がどっと出てきた。


その時。


「やっと目覚めたな」


人の声がした。


(誰だ? )


声の主を見てみる。


そいつはー。


銀白の髪、整った顔、見たことのない美しいローブ...。


(いや女神ー! 完全に女神だよこの人ー!)


誰が見てもそう思えるような、「The 女神」だった。


「なんだ、そんなに人のことを見て」


女神は眉をひそめて、そう言った。

そして、


「あ、そうだった。お前には伝えなければならんことがある」


紙を渡してきた。


「見てみ」


何だろうと思いながらも、紙を受け取って、取り敢えず読んでみることにした。


(えーと、なになに..)


『あなたは死にました』


(カ八ッ...! )


バタッ!


あまりにも衝撃的な一文を読み、俺は倒れてしまった。


「だ、大丈夫か! 」


駆け寄ってくる女神。いいやつだ..いや、これを書いたのがあいつなら、悪いやつか..。


「くっ、どうしたんだろうか……八ッ!もしや、文中の[ピーッ(規制済み)]という表現がいかがわしかったのか?! いや、もしくは[パラリラパラ(同)]というやつが人間にとってはタブーな奴だったのか?!……あぁーッ!あれだな!あの……」


(...いや心当たりありすぎだろ!そもそもなんでそういう表現で書いたんだ。分からなかったら、グー〇ルとかで調べればいいだろっ!)


心の中でツッコミながらも、体を起こし、取り敢えず読み進める。


(確かに『死んだ』とは書かれていたが、それなら今の俺は、どういう状況なんだ? )


...そのまま十分程度で、紙を読み終わることができた。


(今、分かったことは、


まず、俺は一度死んでいること。しかし、神によって、生きているのか、死んでいるのか、どっちつかずの状況にまで、「半蘇生」されたこと。


(流石は神様。命を操るなんて、反則も甚だしいな)


次にーこれは、半蘇生されたことにもつながるがー「転生」について。


面倒な説明と意味不明な表現を省いて、それを一言で言うと、「もう一度人生送っていいですよ」、ということらしい。

ただし、違う世界で、違う人として。


ー正直、これは飛び上がるほどうれしかった。僕に、「幸せな人生」を送るチャンスが与えられたのだ。


さなぎを脱ぎ捨てて、広い世界に羽ばたく蝶のように。


僕は、新しい世界で、新しい人生を送るのだー。


そして、最後に。


「転生ボーナス」について。


このシステムは、はっきり言って「すごい」。


なぜなら、転生後の世界で、「特殊能力」や、「反則級ステータス」をひとつ、受け取ることができるからだ。


しかし、もちろんそんなうまい話があるわけない。


能力も、その強さも、「ガチャ」で決められるのである。


つまり、完全な運ゲー。


(すごいシステムだけど...その分怖い)


はっきり言って、このガチャで人生が決まるといっても過言ではない。


異世界というのは、文字通り「異なる世界」。


文化、常識...あらゆることが元の世界と異なっている。


僕にとっては、さぞ生きにくい世界だろう。


しかし、ガチャによって強い能力を得れば、その分生きやすいし、悪い能力を得れば、寿命は短くなる。


運で次の人生が決まるー。


これほど怖いことはない。



そんなことを考えていると、さっきまで一人で騒いでいた女神が話しかけてきた。


「...全部読んだか? 」


恐る恐る尋ねてくる。


「...はい。一通りは」


意味不明な表現はカットして、ね。


「そうか...。」


...少しの間、無言の時間が流れる。


お願いだ。誰かしゃべってくれ。2人しかいないけど。


沈黙を破ったのは、女神だった。


「こ...コホン。えー、あー、なんだ。その...」


しばらくモジモジして、


「悪かったな...。あんな表現で」


「いえ、謝ることないですよ」


すると女神はうれしそうな顔をして、


「そ、そうか..!ありがとう、な」


くっ、かわいいぜ...


そして女神は、


「...では、其方が抱えている疑問に、一つ一つ答えようと思う」


と、言った。





















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ