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夢でみたような

「好きだ。」


 ある少年が顔を赤らめて少女に告げる。それは、至って普通の少女漫画であるようなセリフ。しかし、少女からすると普通のことではない。なぜなら、この少女は今まさにこのセリフを言った少年に監禁されているからだ。


〈数日前〉

 いつも通りの学校から帰る道、車もほとんど通らない交差点で、明日も明後日も会うであろう少女と友は無駄な話をたくさんした。その後、少女たちは手を振り、その交差点を後にする。少女は母が用意してくれているであろう晩ごはんを想いながら歩く。家に着くとただいまと元気に言いながら扉を開ける。すると、そこには家族ではない少年が立っていた。少年は


「おかえり」


 と言う言葉と同時にハンカチを口に当て、少女を眠らせる。そこには、満足気に笑う少年がいるだけだ。


ーーーーーーー


 少女が起きるとそこは知らない部屋のベットの上であった。少年は起きて間もない少女の顔を見て、


「こうやって直接会うのははじめましてだね」


 と優しく笑いながら言う。少女は表情を変えることもせず、ただただ黙っている。すると、少年は座っていた椅子から立ち上がり部屋を出る。少女は少年が出ていったのを見た後に、部屋をくるりと見渡す。そこは、白い部屋だった。正確に言うと、白を基調とした家具が配置されている。少女が着ている服も、制服の紺色ブレザーなどから白のワンピースに変わっている。

 少女が部屋を見て回っていると少年が皿を乗せたお盆を持って部屋に入ってくる。少年は部屋にある机に自身が持ってきたものを置き、少女の手を取って椅子へ誘導する。少女は少年にされるがまま椅子に座り、用意された食事を見る。そこには、大根とにんじんの入った味噌汁と白いご飯。そして、鮭の塩焼きが並べられる。どれも少女の大好きな食べ物だ。

 少年は少女が席に座るのを見ると、その隣にに先ほど自身が座っていた椅子を持ってきて箸を手に取る。そして箸で器用に鮭を少しほぐし、冷ますように息をかけた後、少女の口へ持っていく。その鮭を少女は少し見つめた後、口を開けて食す。


ーーーーーーーーーーー


 そうやって、全てのご飯を少女が食べ終えると、少年は少女を横抱きにしベットへと運び座らせる。その後、少年は持ってきた時と同じようにお盆の上に皿を乗せ、それを持ち部屋を出る。少女はきょろきょろと辺りを見渡すと、部屋の上部に黒い丸を見つける。カメラだ。レンズ以外は白く塗られているのか、レンズの黒い部分のみがやたらと浮き上がって見える。じっと少女がその黒い丸を見ていると、少年が部屋に戻ってくる。


「ご飯をお腹いっぱいに食べたか、もう眠たいよね。おやすみ。」


 そう言って、少女を寝転ばせ目元に手を当てる。少女からすぅすぅと寝息が聞こえるのを聞いて、少年は手を離す。そして、少女に向かって優しく微笑むと少年は部屋を後にする。


ーーーーーーーーーーーー


 そのような時間を過ごすこと約1週間。トイレや風呂は少年が出入りする扉とは別の扉の向こうにあり、少女はただ淡々と過ごしていた。


 少年がいつも通り少女の食事を済ませ、少女をベットに座らせる。そして、少年が部屋を出てしばらくすると戻ってくる。しかし、その日は少女を眠らせるのではなく、少女の横に座る。そして、冒頭の会話だ。


「好きだ」


 顔を赤らめて少年が言う。少女はしばらくの間、黙って少年を見つめた後、返事をするかのように少年の頬に口付けをする。少女の口が少年から離れると、少年は目を見開いて少女を見る。少女は少し笑うと、少年に抱きつく。それに応えるように少年も少女を包む。





ーあぁ、ようやく自分のものにできたー

読んでくださりありがとうございました!

少しホラー(?)要素もあるようなヤンデレが書きたくて、書かせてもらいました!

この後の話やこの話の捉え方は読んでくださった皆様がそれぞれに巡らせてもらえたらと思います。そしてあわよくば、コメントで皆様のお話が聞きたいです!お待ちしております。



ちなみに、作者である私の思考を少し話します。読みたくない方はブラウザバックです。↓


少年は少女のことが好きで、家に侵入し少女を待ち構え拉致します。そして、監禁生活を少女にさせて自分しかいない世界に少女を閉じ込めようとします。しかし、少女は少年が少女を好きになるよりも先に少年のことが好きでした。なので、自分のことが好きで好きでたまらなくなるように仕向けたのです。その結果、少年は少女を監禁するまで好きになりました。最後の"ようやく自分のものにできた"というのは、どちらともが思った言葉である。つまりは、共依存的な関係になっている。

というのが作者、私のこの話の捉え方です。

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