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第十八話 初めてのパーティー②

パーティーは海を後にし、ルーエンに戻って行った。


「何だか物足りないなあ。」ゴウトがつぶやいた。


「もっと戦いたいってこと?」エルナが聞いた。


「うん。集団戦ってのをもっとしたかったなって。」


「まあそれは仕方ないよね。結構出てきた方じゃない?」


「うん。そうなんだけど。」


「じゃあ、俺の知ってる狩場に行ってみるか?まだ少し時間はあるようだし。」ジャックが提案した。

「ここから近いの?」エルナが聞いた。


「ああ、すぐそこだ。」ジャックが答えた。


「じゃあ行こう!」ゴウトが言った。


狩場と呼ばれる場所に着いたが、辺りに魔物は現れない。


「ジャック、何にもいないぜ?」ゴウトがジャックに問いかける。


「まあ待ってろって。ここは俺が定期的に魔物が発生する場所なんだ。必ず来る。マナを溜めるために来ているんじゃないかと俺は思っている。」


一行がしばらく待っていると、本当に空から魔物が現れた。しかも大きい。ワイバーンに見えるが、色が赤い上に、一回り大きい。


「あれは……。」エルナが聞くよりも早くジャックが答えた。


「あれはヤバいやつだ!俺が調べた限り、あればファイアワイバーン。これまでも何度か見かけた。普通のワイバーンよりも何倍も強い奴だ。逃げろ!」


「やったね、エルナ!チャンスだ!」ゴウトが叫んで飛び出した。


「私だって負けないわ!」エルナも飛び出していった。


「お、おい、あれを見て逃げねえ……。のか?」ジャックは言葉を失った。


レイナとバトもエルナとゴウトの後に続く。


「あいつら、違うんだって。おっさんもついて来いよ。」バトが走りながら言った。


「お、おい、上級の魔物だぜ?大丈夫か?」ジャックはそう言いながら、ゆっくりと近づいて行った。


ゴウトは最初が肝心とばかり、ファイアワイバーンがくつろいでいる隙に、後ろから剣技を出した。気付かれるのを避けるために、技名は叫ばなかった。炎がファイアワイバーンを襲う。いきなりで驚いたのかファイアワイバーンは叫び声をあげる。続いてエルナも剣技を振るう。水のカッターがファイアワイバーンの翼をかすめた。翼の一部が吹き飛ぶ。ファイアワイバーンは突然の襲撃に驚きつつ、態勢を立て直し、空に舞い上がり始めた。


そこにレイナの召喚したフェニックスの炎がファイアワイバーンを包み込む。だが、ファイアワイバーンは炎には強いのか、それほどダメージを受けた様子はない。ファイアワイバーンはゴウトの方に向かってきた。


「気を付けて、きっと炎を吐き出すわ!」レイナが叫んだ。


それを聞いてバトが何か呪文を唱え、ゴウトに向かって何かを出した。ゴウトの周りにバリアのような膜が張られた。ファイアワイバーンの炎がゴウトを包み込む。しかし、炎はバリアによって防がれる。すぐにバトは次の呪文を唱えた。みるみるゴウトに力が湧いてくる。


「うぉぉぉ!」ゴウトが叫んで剣を振るった。凄まじい炎が剣から発せられた。ファイアワイバーンが吐いた炎もすべて飲み込み、炎がファイアワイバーンを包み込む。ファイアワイバーンの叫び声が響き渡る。さらにバトが何か唱えると、今度はエルナに力が沸いてきた。


「何これぇぇぇ!ち、力が沸いてくるぅぅぅ!わお!」


そう言いながら、エルナが剣を振るった。すると巨大な水の刃がファイアワイバーンを襲う。ファイアワイバーンは完全に真っ二つに切断された。ファイアワイバーンは息絶えた。


「いやあ、今回勝てたのは完全にバトのおかげだな。」ゴウトが言った。


「私に力が沸いてきたのも、バトのおかげ?凄い魔法だね。」エルナも感心して言った。


「大した魔法ではないけどな、ハハッ。」バトが答えた。


「チャララララララン!」この時、エルナとゴウトから一斉にチャイムが鳴った。


「あ、レベルアップだ。良かった、今日来たかいがあったよ。」エルナが言った。


後ろから、ジャックがのろのろと出てきた。


「すげえな、お前ら。これ、上級の魔物だぜ?」


「これ上級なんだ!やけに強いと思ったよ。」エルナが笑って答えた。


「いや軽いな!お前!」ジャックが突っ込んだ。


一行はルーエンに帰っていった。冒険者ギルドに戻ると、既に締め切り時間ギリギリだった。ゴウト達はクリスタルを冒険者ギルドの受付に渡し、結果を待った。


「あれだけ倒したんだし、きっと一位だよ。」エルナが言った。


「えー、皆さま、お疲れ様でした。結果が出ました。今回の討伐数一位を獲得したパーティーは……。傭兵団チームでした!55体もの魔物を倒しています。ですが、惜しかったのが大男とお子様チームです。数は僅かに傭兵団チームには届きませんでしたが、何と倒した魔物の中にはファイアワイバーンとクラーケンが含まれていました!惜しかったですねー。ではまた次回の開催をお楽しみにして下さい。」


「おい、大男とお子様って俺たちのチームのことだよな?」ゴウトがジャックを見ながら言った。


「い、いや、初めのイメージがそうだったんで、つい。」ジャックが言った。

「今名付けるなら、最強メンバーと木偶の棒って付けるよ。ははははは……。」


「傭兵団チームって、やっぱり、ライナーかな?」そう言って、エルナは喜んでいる傭兵団チームを見た。やっぱりチームの中にはライナーがいた。


「まあライナーだったら仕方ないか。強いもんね。」レイナが言った。


ジャックとはここで別れ、四人は宿に戻って行った。


「今日はとても楽しかったよ。」ゴウトがエルナに言った。


「私も楽しかった。また一緒に行こう!」


「ごめん、クエストは今日で最後かも知れない。俺にはやらなくちゃいけないことがあって。」


「そう、残念ね。このパーティーなら何でも倒せそうなのにね。」


四人は【花の指輪亭】に向かって行った。


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