プロローグ
「そうは言ってもね、人間があまりにも強くなったら、あなただって攻撃される可能性があるのよ?」
「だとしても、私はこの世を支配する魔王を倒すべきだと思うわ。」
「それは私も同感だわ。」
「私たちが魔王に手出しできない以上、人間に倒してもらうしかないのよ。」
「私たちが干渉できるとしたら、この石だけってことね。」
「そうよ。この石は私たちの願いであり希望。何年もかけて作ったのだから。」
「この石の名前は何にしましょうか?」
「7つもあるんだから、それぞれ名前を付けたらいいんじゃない?」
「石に名前を書くって言うのはどう?」
「それはダサいわ。手に持ったら、魔石の名前が分かるっていうのはどうかしら?」
「何がダサいのよ!あんまりだわ。」
「はいはい。他に何か意見のある人はいる?」
「いいと思うわ。それより、怠けてた人もいるわね。何なの不老って。」
「え、えーっと、別に怠けてたわけじゃないんだけどね。難しいのよ不死まで入れるって。」
「まあ、この6つでも十分ね。」
「ひどい!私のも入れてよ。」
「色は別々の色にしたし、じゃあ、これで用意はいいわね。」
「あ、待って!この石、誰かにひとり占めされたら大変なことにならない?」
「そんなことは前に話し合ったわよね。」
「そう。それはもうどうしようもないわ。全てを手に入れた者は、恐らく世界を支配する。第二の魔王にならないことを祈るのみね。」
「じゃあ、用意はいいかしら?」
7人の女神がそれぞれの魔石を右手に持って念じた。
7つの魔石は世界のあちこちに飛び去って行った。
「あっ!忘れてた。この石、魔王の手に入っても効果を発揮するんだっけ?」
「……。」
「それは……まずいわね……。」
「みんな発動条件入れなかったの?」
「あなたは入れたの?」
「もちろんよ。正直な人しか手に入れても発動しないわ。」
「それなら、魔王が持っても安心ね。何色だっけ?」
「緑色。」
そして、その約500年後、この物語が始まる。