白い空間
海にぷかぷかと浮いているような不思議な感覚。
そこはどこまでも白い空間であった。
紙のような固い白でなく、柔らかくて暖かい光のような白。
そんな白い空間の上に水玉のように、いろんな色のついた光の玉が無数に浮いている。
キレイだな、と近くの光に手を伸ばそうとするのだが体に力が入らないに気づく。
自分もあれらと同じように光になっているんだ、不思議とそれがわかった。
やがて上も下も分からず左も右も見えずに景色がゆっくりと流れいてく
いや違う、流れているのは僕のようだ。
いろんな光が僕の横を通り過ぎていく。
よく見るとそれらは少しずつ違っていた。
赤い色、青い色、緑色、あるいはそれらが混ざった僕の知らない名前の色まで。
小さい光や大きい光、だけども例外なく真ん丸だ。
向こうが見えるほど透き通った光に、くすんだように濁った光。
そのなかの幾つかは今にも消えてしまいそうなほど光が薄かった。
それらを見ているとそのうちの一つがさらに薄くなっていき不意にふわりと消えてしまった。
再び点灯する、なんてこともなくそのまま白い空間に溶けてしまったようだった。
僕もやがてあの光のように溶けては消えていくのだろうか。
それからどれほど時間がたったのだろうか。
どれだけ流されようと景色は一様に水玉で、しかしながら光の数が減ったようにも感じる。
ぼーっとしていると視界の端から眩しいほど強い光の線がするすると伸びてきたのが見えた。
それはキョロキョロしては移動しクネクネしては移動した。
やがてそれは何かを見つけたように、まっすぐと、一直線に伸びてきて、僕に触れた。
僕はそれに吸い込まれて行った。
薄れいく景色の中で、なんだかストローで吸われるタピオカみたいだな、なんて思った。