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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『シ』とは何か?

作者: 塩味

息抜きです

「なぁ、死ぬってどういう事だ?」

「さぁな死んだことないし」

「だよな...」


黄金の稲穂が眼前に広がる。

俺たち二人は稲を刈りつつ、くだらないことを話していた。

だいたい死ぬってわかるわけないだろう、馬鹿かこいつは。


「お~い、タケルさん!」

「あ、はい!」

「族長がお呼びだ」

「わかりました、じゃあ稲刈りよろしく」

「あいよ~」


駆け足で向かったのは一番大きい家。

族長が住む場所だ、広く豪華で嫁が沢山。

羨ましぃ...


「お呼びですか族長」

「うむ、近くの村へと使者として向かってくれ」

「ははっ」

「最近はどうも、稲や他の食糧が乏しくてな...支援を頼めるか伺ってみてくれ」


と、いうわけで。

今俺は使者として歩いて2日程の村へと向かう。

昔から互いに助け合ってきた村なので問題はないと思うが、俺たちの村も忙しいので使者は一人。

まぁのんびり一人旅である、忙しい日々を思い出しながら見えてきた村へと向かう。


「よくぞ来てくれた使者殿」

「ははっタケルと申します」


族長は意外と若かった、どうやら先代の息子らしい...

とても体が大きく、俺なんかよりも雄々しい大漢である。

うわ...怖いなぁ...、村の実情を話し支援をお願いすると。

歯を剥き出して笑い


「任せろぉ!!!今夜はタケル殿をもてなす為に宴だぁ!!!」


その日はご馳走を頂き、歓待を受けて旅の疲れを癒すように深い深い眠りについた...

朝起きると、俺は縛られていた。


「は?」

「喜べお前たち!!!手狭になった俺たちの村を広くする為の第一歩だ!!!」

「どういう事だ!?」

「今言った通り、人が増えすぎてね...新しい土地が欲しかったのさ」

「先代からの縁を切るのか!?」

「あぁ親父か、俺が殺して族長になったんだぜ...日和見の呆けた爺は必要ねぇんだよ」

「最低だな...」

「今から死ぬお前は関係ないだろう?」

「...」


ははっ、友よ『死』とは痛いみたいだぞ。


タケルの村は滅んだ、畑や建物だけを残して。

しかし暫くすると、更に大きな村に攻められ奪った連中も滅んだ。

後に『弥生』と呼ばれたこの時代もけっして平和では無かった、皆生きる為なのだ。


...

......

.........


「猛よ」

「ははっ」

「今から死ぬかもしれぬが、死とはなんだろうな」

「九郎様...」

「まぁ死なぬかもしれぬし、矢が当たって死ぬかもしれぬし、太刀で切られて死ぬかもなぁ」

「...」

「ここで死ねば、それまでだっただけの事であろうな」

「私は...覚悟はできております、奥州藤原を離れて貴方へ仕えた時から」

「ふむ」

「死とは痛い事かもしれません、しかし痛くとも私が為すべきことを成せば痛くとも苦しくはないでしょう」

「ほぉ...」

「私は九郎様...いえ、『源義経』様を守れて死ねば苦しくはないでしょう」

「ははは!!!やはり秀衡殿に頼み込んでお前を連れてきたのは間違いないな!!」


聞け!!源氏の兵達よ!!!!

此度の戦、奇を持って制す!!!騎馬で崖を下り、敵陣に奇襲!!!

平家の陣で暴れ、火をかけろ!!

源の力を見せつけるは今ぞ!!!!!


おおおおぉぉぉおおおおぉぉぉおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!


鬨の声は響く、平家との戦いはこの戦が終わっても続くだろう。

我が養父の藤原秀衡は奥州を出る時に掛けてくれた言葉を思い出す...

「恐れるな、前を向け、お前がやりたいことをやればよい」

養父(ちちうえ)、猛は義経様の盾となりましょうぞ。


数年後、平家との戦を戦い続けいた源義経軍は勝利を挙げていく。

しかし義経暗殺を企む平家の策略により、絶命の淵に立たされた義経だったが...

奥州時代からの友である藤原猛の献策により逃げれたが、義経の身代わりとして残った猛は最後は笑って『俺は九郎様ではないぞ、阿呆共が』と挑発し自ら命を絶った。

知らせを受けた義経はその場で崩れ去り、弁慶が抱えて鎌倉へと向かった。

更に時が経ち、平家を滅ぼした義経だったが兄頼朝に命を狙われ奥州藤原家に身を寄せたが...

策略により対立、奥州を出る前に藤原の兵に囲まれる。

妻と子を自らの手で絶ち、自身も自刃で命を絶った。


「猛よ、死は悲しいものだ...お前は良く笑えたな...」


...

......

.........


「軍曹よ、君は死をどう考えているのかね?」

「はっ!中尉殿!死とはお国の為だと考えます!!死んでも魂は英霊となりお国を守るものかと!!」

「聞き方を変えよう、我が教え子の猛軍曹は死に戦で死にたいかね?」

「そんな訳ないでしょう、生きて故郷(くに)に帰りたいですよ」

「そうだよなぁ~」


軽い調子で返すこの人は亀井中尉。

出世街道から外れた人で、国の為に骨を埋める覚悟はしているが日頃から死にたくはないものだとぼやいている変わり者だ、だから出世街道から外れるんだ。


「逃げるか?」

「軍法会議ですよ」

「じゃあ死んだことにして」

「面倒です」

「なんなんだよ!?」

「大人しくお勤めを果たしてください」


この人が新任教官の時の生徒だった俺は正式に軍人になり、知らぬ間にこの人の部下へ。

そこら辺の世渡りが上手い中尉は俺が着任の挨拶に伺った時に笑顔で

「ウェルカム~~~~ようこそ我が部下」

二人しか居なかったから殴りかかったよね。


「まったく昔から変わらぬなお前は」


そう言われてもなぁ、死にたくは無いし。

お国の為も覚悟はできているが...あの上層部を見れば中尉も俺と一緒の考えでは?

あんな連中について行くのが間違いですよ、いっそのこと全員の首を消し飛ばして上層部入れ替えるのはどうです?ん?


「そんな名案?みたいな顔で阿保みたいな発想をするな、自分が嫌だと恐ろしいことを考え付くな...」

「あんな腐った連中に命捧げる訳ないでしょ」

「まぁ同感だ、なら何故逃げない」

「軍人としてそれは『ありえない』からです」

「...はぁ~ほんといい軍人になったな」

「えぇ、新人の教官と殴り合いをしながら教えて貰いましたので」

「お前あの時本気で殴ったろ!?めちゃくちゃ腫れたんだぞ!!」

「はっはっは、自分は明日に備えて寝ます」

「なんで自分の都合の悪い事ガン無視できんの!?」


突撃ぃーーーーー!!!!!!!!!!

別動隊の号令が聞こえる、突撃なんてしたら死ぬだけなのでは?

そう考えつつも俺は中尉と二人で破壊工作へ向かう...俺たち二人の部隊は正式名称が無い、勝手に遊撃組と名乗っているが上層部は俺たちを知らない。いくら破壊工作で敵陣を爆破しても武器を破壊しても手柄は先ほど突撃した部隊の隊長の物となる。ほんとに腐ってんな。

「止まれ」

中尉のいつも以上に真剣な声で歩を止める。

視線の先には敵陣があるが...もぬけの殻に見えるが...

中尉と目を合わせ、いったん離れる少し遠い所まで来て陣に向かって放物線上に石を投げる。

石が陣地に落ちた瞬間辺りから濃密な殺気が向けられる。


「騙しだな、今日はここまでだ引くぞ」

「了解」


パァァン!!!

中尉が死んだ、おそらく敵は見えていたのだろう。

俺は頭を撃たれてないが腹に喰らっている、逃げるのは不可能だな。俺は中尉の指示通りに荷物から火薬を取り出し点火する、生きて人質なんぞになりたくないしこの方法が手っ取り早い。

頭を撃たれた中尉と目が合う、軽快な口は開かず一点を見つめている。


「貴方も死んだら流石に黙るんですね、お供しますよ」


ああ、中尉殿『死』とは一瞬でしたね...何も感じませんでしたよ。



...

......

.........


「ねぇ先生~」

「なんだ、そこ間違ってるぞ」

「死ぬってどういう事だと思う~」

「知らん、また間違ってる」

「死んだら勉強なんてしなくてよくない?」

「今は生きてるんだからヤレ」

「飽きたの!!!!遊びに行きたい!!!!!」

「お前がこの補修終わらせないと俺も帰れないんだよ!!!!!!!」


時は八月、学生からしたら夏休み。友人と遊んだり...ひと夏の恋をしたり...遊びに遊ぶ季節だ。

そんな休みの最中に俺は生徒の補修で学校で授業をしていた、俺の担当科目だけ赤点のコイツと!!!

コイツだけなんだよ!!なんで他の科目は悪くないのに数学だけ悪いんだよ!?


「先生これわかんない」


さっき教えた数式を当てはめろ!

なんの為の補習だ!!

約2時間後、時刻は4時にならないくらいで課題は終わり。

残りは来週となったまだあんのかよ。


翌週補修日の本日

『今日は夏祭りだから、パパっと終わらせるよ』

と、鼻息荒く登校してきた馬鹿。

俺も祭りの見回りがあるから3枚のプリントを渡して、全部正解したら終わりと告げた。


「先生って彼女いないの?」

「そのプリントを後10分で解いてしまったら、答えてやらんこともない」

マジ!?答えてね!!と勢いで言ってしまったが、今までの授業態度が嘘のようにプリントの問題を解いていく普段もこれくらいやってくれよな~、そこ不正解だな。


「出来た!!」

「ん~7割正解って感じだな」

「先生彼女居ないの!?」

「はぁ...居ないよ、二年くらい前に別れてそれっきりだ」

「なんで別れたの?あ!答えづらいならいいよ...?」

「互いに忙しくなってな、話し合って決めたんだ重荷になる前に別れようってな」

「お、大人だぁ...」

「当たり前だろ、仲が悪くなったとかではないからなこないだも会ったぞ」

「よりを戻したりは?」

「ないかなぁ...」

「ふ~ん...先生はさ彼女作らないの?」

「出来たらいいけどな、其処は先週教えた数式をいれてみろ」

「うん」


真剣に問題を解いている彼女を観察する。

成績は悪くないむしろ総合順位でいえば上からの方が早い、だが数学が足を引っ張りトップ争いには入ってこない。本人はそういう事に興味はないそうだ、教師の方が関心があるからな。

クソ真面目ではなく少し成績がいい不真面目な生徒だ、友人も多く人望もあるし。

アイドルの様に可愛いってことではないが、ちょっと可愛いよな!!って生徒が語っていた。

3枚目が終わりそうなので、片づけていると馬鹿の手が止まっていた。


「手を動かせ、どうした?」

「先生も帰るの??」

「見回りは夜遅くまでやるんだ、帰って仮眠とって行こうと思ってな」

「ふ~ん...出来たよ!」

「ん、見てた正解だ」

「先生ご褒美に送ってよ」

「は?」

「正直暑くて歩きたくない」

「はぁ...ま、いいだろ玄関で待ってろ」


教室の鍵を返し残られていた先生方に帰る事を伝え駐車場へ向かう。

外に出た瞬間の熱気、歩くだけでジワリと汗が浮かぶ感覚たしかに電車では帰れないな。俺も生徒に甘いのかなーと思いつつエンジンをかけてクーラー全開、すぐに涼しくなる事はないので少し待つ。

ぼーっとしていると、コンコンとガラスを叩く音が...馬鹿ではなく、生徒からも先生からも大人気の保健室のマドンナこと『天野先生』だ。


「どうしました、天野先生」

「私も丁度帰るとこでして、先生こそエンジンかけて涼んでるんですか?職員室の方が涼しいですよ?」

「あ~これは...」

「先生!!帰ろぅ!!!!...あれ?天野先生?」

「あら、月宮さん...一緒に帰る...?」


一瞬鳥肌がたった...いや!天野先生誤解ですよ!?こいつを送るだけですよ!!今日の補修のご褒美...はい、すいません。ご褒美って言い方が悪いですね、はい...はい...すいません。

五分程の取り調べ後天野先生も送る事になった。


女が二人もいると姦しいと言うか...月宮が降りるまで車内は騒がしかった。


「すいませんね、送ってもらって」

「まぁ通り道だったので大丈夫ですよ」

「月宮さんが何で電車で帰らなかったのかご存じです?」

「え?暑いからでしょ?先週の補修の時は涼しかったですし...」

「彼女補修帰りに電車内で痴漢にあったそうです」

「え」

「幸い犯人は周りの方が...」


正直天野先生が言ってる事が耳に入ってこなかった。

頭は何も考えれずに真っ白に、本人が言わないならわかるわけがないが俺は自分の教え子の変化を見抜けなかった。天野先生がここで大丈夫と言われ、今夜は私は他の方たちとお祭りには参加しますので頑張って下さいねと励ましの言葉を貰ったが...どうにも頭は思考停止から復帰できん。

気づけば見回りの時間となっていた、なんか頭が痛いが行くしかない...仕事だ。

老若男女関係なくごった返すお祭り、若い時は積極的には参加はしていなかったがこの空気は嫌いではない...彼女とも来たなぁ。思い出を振り返っていると他の当番の先生方も来られて、今から二時間の間見回りをやってい...さっそく目の前でトラブル!?どうやら迷子のようだ...手を繋ぎ迷子センターへと向かう。


「大丈夫、お母さんは見つかるから」

「ホント?だってこんなに人がいてお母さん見当たらないんだよ...ふぇ...」

「泣くな泣くな!?えーっと、綿あめ好きか?」

「ずぎ...」

「ほら買いにいこう、TVで見たことあるスゴイ綿あめだぞ!」

「うん...」


わーーースゴイ!!!おっきい!!!!!

なんとか泣き止んでくれてほっと一息、ようやく迷子センターに到着すると...

タカシ!!!お母さん!!!!親子は再開した、めでたしめでたし...さて、仕事だナ。


「先生~~~!!!!」

「なんだお前等か...問題起こしてないよなぁ?」

「華のJK捕まえといてその話の振り方ないんじゃね?」

「全くこれだから大人は...」

「オジサンは若い私達に付いてこれないんこれないんだから...」

「お前等だけ小テストしてやってもいいんだぞ」

「「「サーセン!!!!」」」

「はぁ...ちゃんと10時前には帰れよ?」

「はぁい」

「保護者同伴ならもっと遅くまでいいのでは...」

「天才かよ。先生ぇ私達のパパに...あっはい。帰ります」

「わかればよし」


馬鹿どもが文句を言いつつ祭りに溶けていく。

はぁっと大きい溜息を付きつつ、一旦教員の集合場所へ向かう。

そこには天野先生が居た。


「猛先生!」

「なんで天野先生が...非番では?」

「実は...」


どうやら痴漢野郎が逃げたそうだ。

署で暴れて逃走目下捜索中らしい、この祭りに紛れて逃げるかもしれないそうだ。

俺は走った、天野先生から呼び声がかかるが走った。教え子の馬鹿の所へ。

アイツらは入り口で花火を見ると話してたので走る、日頃の運動不足だろうか肺が痛い。タバコやめようかと変に思考が飛ぶ、いいから足を動かせって!!


「お~やっぱり花火はいいね」

「なんだっけ?浜屋?」

「違う」

「「た~~~~まや~~~~」」

「それ!!!」


姦しい声が聞こえる、思わず足から力が抜けそうになる。

そりゃ犯人が急に現れるなんて...ドラマみたいな事起こるわけないよな。


「おら、花火みたら帰れよ」

「ゲッ」

「あぁ?」

「帰るって!だからその顔やめて!!?」

「...」

「どうした?」

「い、いや~暑いからエアコン効いてる車に乗りたいなぁって...」

「...だったら今から帰るぞ」

「え?」

「マジ?私スタバのコーヒー飲みたい寄って」

「一番近いコンビニなら寄ってやる」


やったーーー!!!

煩い声が響く、俺は見回りの先生に連絡して生徒を送る事を伝えた。

キャイキャイ煩い奴らだが、アイツだけがホッとした顔を一瞬みせた。


「じゃあ先生帰ろう!」

「そのかわり、寝らずに授業聞けよ?」

「一旦、家に持ち帰ってお返事致します」

「期待できない返事だな」

「アハハハハハ!!!」

「先生コーヒー奢って!!!!」

「コンビニならっ...!」

「え?」


ドンっと馬鹿を押した。

あぁ怪我をしなかったかな?ちょっと強く押しすぎたかな?友達二人にぶつかって大丈夫そうだな。

俺は大丈夫じゃない、脇腹が信じられないほど熱い。過去に高熱した時よりも熱い。まるで沸騰したお湯を浴びせられているようだ。俺を『刺した』男を見る。俺を刺したのに目がイッてるコイツは『ユルサナイ』とブツブツ煩い。痴漢したのは間違いなくコイツだろ逆恨みで馬鹿を刺しに来やがった。

ほんとドラマかよ...なんで俺が刺されるんだよ。あぁ痛い。クソ痛い。死ぬかもしれない。

死ぬかもしれないなら、教師の仕事やるっきゃないな。


「俺の...生徒に何すんだ」

「ユルサナイ...お前のセイで!!!!」

「喧しい、もっかい捕まれ」


脇腹が熱いのに頭は酷く冷めていた。

おっさんがもっかい刺してくるのに対して、スローモーションに動きが見える。格闘漫画の達人みたいだなと感想をこぼしつつおっさんの顎を殴る。口を空けながら突っ込んできたおっさんは顎にキレイに一発貰い頭から崩れ落ちる。空手を習っといてよかったな...もう役に立たないがな。

もう足に力が入らない、立つこともできない、口からは血が出てきて喋れない。

馬鹿が泣きながら俺の脇腹を抑える。頼むから揺らすな痛いんだよ。咳き込んで口の血を吐き出す。


「…きみや…づきみや」

「先生しっかり!!!救急車呼んでるから頑張って!!!」

「お前の…しづも…んに答えてやるよ」

「もういいよ!」

「『死』ぬのはいだいぞ…守って『死』ぬのは悪くな…」


もう何も聞こえない。

熱が冷えていく、月宮が叫ぶが、口だけ動いてなんか変な感じだな。なんで死ぬのにこんなに落ち着いてるんだろうな?まるで何度も経験したような気持ちだ。

あぁ流石に目も開けられないな…じゃあおやすみ。


……

………


『ふむ…これで何回目だ?』

『えーっと、3188回目ですね』

『最近は短命だな』

『どうにもこの人間は死の運命が近いようです』

『で、あるか…』

『では輪廻に回します〜』

『うむ、最近は他所の女神が煩いからな…やれ転生だとかチートだとか…』

『こっちからしたら生まれた時から観察してる魂なんですから、盗られる訳には行かないですよね』

『今回なんてタケルの魂をずっと監視してたぞ、今度女神の上司に言いつけてやるわい』

『まぁ転生させてその世界を救わせ様としてる女神からしたら…タケルさん…「倭建命(ヤマトタケルノミコト)」の魂なんて喉から手が出る程に欲しいでしょうし』

『良くも悪くも英雄の魂じゃしな』

『この魂は我々の楽しみなので渡しませんよ?』


ヒィッ!?ば、バレてる!?

こっわ!!!日本の神界こっわ!!?ヤクザだよあんなの!!

前々から目をつけてた魂が引っ掛けてもコッチに来ない訳だわ…あの英雄の魂を転生させて、チートつけて、送り込めば邪神側なんてすぐ殲滅出来るのにぃぃぃ!!!!

あんなにガード固めてたら無理ね諦めましょ…別の魂を…ん?先輩どうしました?え?上が呼んでる?

なんだろ…此間転生した魂を勇者にしたけど、仲間になった現地人が勇者っぽい性格だったから勇者スキルをお告げもなく移したのがバレたかな…?


女神は天使に格下げされて数々の不正がバレてしまい、百年下働きの刑にされた。



タケル

主人公

転生してもずっとタケル

死んだらその生涯を神に覗かれる


タケルの魂を離さないゾ


神の部下

女神の介入は許さんゾ


女神

タケルの魂欲しいけどもう役職外れたから出来ないゾ

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