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奇士刑事  作者: グラニュー糖*
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【特別編】黒池皇希育成記 『授業参観』

特別編です!

本編では勇ましい(?)黒池の可愛い姿をご覧ください。

 何ヶ月か先生としての生活を続けていたが……。純粋な心と向き合うのは、実に新鮮な気持ちになる。


 登校初日、皇希くんは泣くかと思ったが『別れ』に関しては慣れていたようで、安心した。いや、本当は喜んではいけないことなのだが。むしろヤスの方が心配だ。


 そんなヤスも喜ぶイベントが今日、行われる。


 それが……授業参観。


「皇希くーん!」

「ヤスおにいちゃんだぁ!」


 一番に教室の前に現れたヤス。まさか休憩時間開始直後に廊下にやってくるとは思っておらず、思わず教材を落としそうになった。


「こーきくん、このひとは?」

「ヤスおにいちゃんだよ!」


 一番心配していた友人関係もしっかりしているようで、クラスでも有数の大人しそうな子と友達になったようで安心した。


「こんにちは。皇希くんのお友達かい?」

「!」


 こくん、とおっかなびっくり首を縦に振る。

 そりゃああんなにニコニコしてるヤスでも、その手は血に濡れているもんな……。


「おれはヤスっていうんだ。よろしくね!これからも皇希くんと仲良くしてあげてね」

「う、うんっ」

「えらいぞぉ!」

「ヤス」

「あっ、ボ………………先生!」


 ボスと言いかけて、先生に変えるヤス。……なんだ、その半笑いの顔は。


「……ヤス」

「いやいやいや!冗談っすよ!あ、2人は遊んでてね」


 何かを察したのか、ヤスは2人にここから離れるように促した。


「廊下で話そうか」

「はい」


 廊下に出て、ヤスと2人になる。

 足元には子供たちの体操服が入った袋がある。幸いまだ他の親は来ていないようだ。さっさと話を終わらせよう。


「ヤス、今日は……」

「わかっています。ですがどうしても来たくて……。他の人に任せやした。大丈夫です、人数は増やしています。それに、終わり次第おれも向かうので」

「……皇希くんに友達ができたことは、確認できただろう?安心したか?」

「はい!今まで毎日のように『今日どうだった?』って聞いていやしたが、てっきりおれを心配させまいとしていたのかと思っていたので……」

「ふ……。嘘がつけない、真っ直ぐな子に育てたのはお前だというのに。そのお前が心配してどうする」

「あは、そっすよね。……そうだ、放課後の三者面談はどうするおつもりですか?」


 小学一年生といえど、三者面談は存在する。

 ……と言っても、全員仮とはいえ家族なのだが。


「一応皇希くんだけを呼んで、少し話をするつもりだ」

「わかりやした。授業が終わり次第、おれは現場に向かいます」

「頼んだぞ……」


 話し終わって教室に戻る。


 ……そもそも、私が『先生』となったのは皇希くんのボディーガードのためだ。本当は先生なんかになる予定は無かったのだが、あの吸血鬼による『誘拐』が起きてから私も過保護になったのだろう。ずっと目の届く範囲にいてもらわねば気が済まなくなってしまった。

 あの時は運良く『ヘラ・フルール』という子供の悪魔に救われたが、彼も見たところ本当に子供だ。万能ではないだろうし、『2度目』があっても救ってくれるとは限らない。


 だから、これからは私たち周囲の大人が見守らねばならないのだ。


「んく、んく……」

「はああ〜!水筒で飲んでる姿も可愛いよぉ!」


 ……まぁ、あそこまで見ているのだから、今は問題はないだろう。

 あれはどう見ても行き過ぎた親バカというものだが。まぁいい。他の親も来ていることだ、そろそろやるとするか。


「……では、授業を始めるぞ」

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