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素直になりたい。

作者: 睦月 葵

 


「え、女友達と遊ぶのも連絡取り合うのも一切ダメなの?じゃあ、自分の男友達は?皆で遊ぶのもダメなの?」


 こんな風に友達と話しているのを聞いて、ますます男の友達と会わないで欲しいなんて言えなくなった。元々友香とは友達で、ずっと一緒にいた自分だから余計に。

 その上、最初が肝心だったのに、


「お前でいいや。」


 なんてバカみたいなセリフで、ずっと好きだった友香を手に入れた俺は、今更だけど後悔しまくってた。

 なんで、ちゃんと好きだって伝えなかったんだろう。

 そうすれば、今頃、世間一般で言うところの、付き合いたての初々しいカップルになれたかもしれないのに。




 それこそ、自業自得か、とため息を飲み込んだ。










 何の連絡も入っていない、スマホをいじりながらため息を一つ吐き出した。幸せが逃げるとか言うけど、それはそこに幸せがあったらの話でしょう?

 いや、ため息ついたから幸せが逃げたの?逃げたから今この状況なのかな。


「1日3回?」


 ずっと好きだった人の彼女になれて浮かれていたその日、友達と話す初めての彼氏、健司の言葉に私は固まってしまった。


「多くね?それ毎日やってんの?いやー、俺、それ無理だわ。」


 彼女と1日何回連絡を取るかって話だったと思う。私が近くにいると知らずに会話を続ける健司。初めて出来た彼氏が、付き合うってことをどう考えてるのか、分からなくて不安だった私は、ゴメンと思いながらも聞き続けた。


 あぁ、私はきっと好かれていたんじゃなくて、面倒じゃないから選ばれたのか。と、気がつかされた。だから、


「お前でいいや。」


 だったんだなって。

 でも、ずっと好きだったから、友達でいるよりは、彼女の方がそばにいられると思って、なるべく健司の生活の邪魔にならないようにしようと心に決めたんだった。




 本当の自分は出しちゃダメ、そう思った。


 









「へー、友香ってサッパリ系なんだ?」


 サッパリ系ってなんだよ。しかも、人の彼女を呼び捨てにすんな。っても、ほっとけば1日連絡ない時もあるから、サッパリと言われればサッパリだし、元々友達だった俺たちは皆、友香のことを呼び捨てにしてるから、今更なんだけどな。


「まぁ、友達優先にしても怒らないしな。」


 なんてことないように言うけど、実際は、もっとこまめに連絡取り合いたいし、友達と遊ぶよりも友香に会いたいってのが本音だ。

 女友達と遊ぶと話しても、焼きもちどころか楽しんできてね、なんて言われそうで、友香の気持ちを試すなんて恐ろしくて出来ない。




 何が地雷か分からないから、嫌われるかもしれない危険なことなんて出来やしない。











 どうしよう。男友達に二人で遊ぼうって誘われてしまった。健司は気にもしないだろうけど、私だったらすごく気になる。ってか絶対イヤだ。

 でも、気にして行かないのは重い?




 健司が、私の行動の何を面倒と感じるのか、分からないから怖い。








「オメーら、めんどくせーことしてんじゃねーよ。」







 そう言って、ずっと恋愛相談してた共通の友人が私と健司をカラオケボックスに引っ張って来て。



「お前ら同じ様なことで悩みやがって。俺に言わないでちゃんと話し合え、バーカ。」


 ってセリフを吐いて出て行った。










 素直になりたい。

 素直になりたい。





「お、俺、」

「わ、私、」












 やっと両思いになれました。





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