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瓜生七穂の異世界転移

趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


「治癒の魔術を習得していなかったのが悔やまれるわ」

「えぇ。無理にでも加えておけばよかったと、後悔しています」


 以前のメンバーにも声を掛けたが、成果は得られなかった。

それぞれに暮らしがある、そこを責める気はない。しかし、商店を漁っても回復用の器物が手に入る事は少ない。

追い込まれている自覚がある。


「遠くに行きたいわ」

「遠くって、何処ですか?」

「どこでもいいわ、そもそも私は身寄りなんてないし。マーカスは故郷を追い出されたクチだし…ウィルとミルドは実家があるから違うけど、世界を元通りにするとか、そんな義理ないの?あなたはどう?」


 七穂は自分がこちらにやってくる経緯について明かした。

半分も理解できないだろうとは思っていたが、噴出する諦観や怒りに堪え切れず、言葉が口をついて出る。

佳大との交流はチェルシー達の知るところなので、少し触れるだけに留めた。

チェルシーは黙って七穂の話に聞き入り、彼女が一通り喋り終えた頃合を見計らって語り始める。


「異世界云々はいまいちわからないけど、縁の無い土地に放り込まれたあげく、こんな事態に付き合わされるなんて、不幸ねぇ」


 七穂は頷く。

不意に視界が潤んだ。自分をこの状況に追い込んだカナメに怒りを抱いているが、佳大にも腹を立てている事に、七穂は初めて気づいた。

死んだとは思っていない。根拠は僅かに伝え聞こえた情報のみだが、自分の想像を絶するほどの力を、彼は得たらしい……連れて行って欲しかった。

なぜもっと早く探しに行かなかったのか。カナメはまるで当てにならず、もはや悔やんでも悔やみきれない。

自分と同じように異世界に招かれた旧友の存在は、心の中で意外なほど膨れ上がっていたようだ。


 不意に柔らかな手が、七穂の頭を撫でた。

チェルシーだった。普段は苛烈な彼女が、憐れむような眼差しで七穂を見つめている。

心細さが僅かに薄らいでいくのを覚えた七穂は、しばらくチェルシーにされるがままになった。

マーカスは2人からやや離れた位置で、狸寝入りを決め込んでいる。


 海底で隠遁するマーリドへの道を、ジュドーが開く。

彼がクインスの港でマティアス神に向かって呼びかけると、海が真っ二つに割れ、黄金色に輝く橋が光差さぬ海の底に向かって伸びた。

船着き場から降り、海面に足を降ろした預言者に導かれるままに七穂パーティーは海底に進む。

オートスロープに足をつけた瞬間、景色を楽しむ間も無く、海の底で微睡む都市まで運ばれた。


 光の橋は、人工物の群れの中にひときわ大きな建物に続いていた。

アーチ型の扉を閉ざした双子の塔と寄棟屋根の館、玄関扉がマーカスの丈の倍ほどもあり、七穂は小人になったような心地がした。

扉は拍子抜けするほど軽々と開き、半分ほど開いた頃、大きな影がマーカスの身体を縦に裂いた。

巻き起こった突風が、七穂達の身体を宙に舞いあげる。


 七穂は金属質の鱗で全身を包んだ巨人を見た。

決して閉じることの無い両目は赤く輝き、口はワニのように裂けている。

両肘と両脛にカッターが並んでおり、これでマーカスを斬り裂いたのだ。


「マーカス!――主神の(マティアス)…」

「危ねぇ!?」


 金色の光を纏ったウィルが、下段蹴りを繰り出したマーリドの左足に穂先を浴びせる。

一息で刺突三度と横薙ぎを繰り出すが、マーリドの左足を切断できない。

主神の息吹ブレス・オブ・マティアスによって筋力と俊敏性を高めた事で、左脛を覆う鱗を砕く事は出来た。


 マーリドを倒す頃、パーティ内で立っているのは七穂と戦闘に参加していないジュドーだけだった。

チェルシーは左半身が吹き飛ばされ、ウィルは槍を逆さに突き立て、しがみつくように身体を起こしている。

海底にいた彼らを、主を失った海流が呑み込んだ。意識が暗転する。

七穂が次に瞼を開けた時、周囲に広がっていたのは暗黒の空。星の煌めきが見つめる中、樹木が、山が、城が渦を描いている。


「ご苦労でした。兄様の尖兵、よく働いてくれましたね」


 花咲くような声色が、天から浴びせられた。

それと自覚した瞬間、膝から力が抜ける。足場は無く、七穂は暗黒の上に屈む形となった。

全身から汗が吹き出す。じっとりと濡れる下着すら、今は不快でない。背後にいる者の気配が、それを忘れさせた。


 ぎこちない動作で顔を向けた先にいたのは、10代半ばくらいの少女。

銀色の髪を肩まで伸ばしており、目はぱっちりと大きく、口はややアヒル口気味。青いラインが走った黒いローブを纏っている。

ただ、その少女はとても大きかった。ガイアとさほど変わらぬ巨大さ。七穂が浮いているのは、彼女の顎のあたりだ。


「兄様……」

「アポロン=カナメ。初めまして、七穂。私はアルテミス=アイラと申します……そして」


 声色が変化した。やや掠れた、低めの中年男性の声だ。


「ゼウス=マティアス。こうして蘇った幸運と君の働きに、改めて感謝を」

「あの……なにを」

「世界は再生する。ただ一つの神である、私の元に」


 少女の顔で、男の声が語る。


「君とその仲間たち。皆、新世界へと連れて行こう」

「……」

「おぉ、マティアス神!私は任務を果たしました…どうかお慈悲を」

「ジュドー。これまでの働きに感謝を。さぁ、旅立つが良い」


 跪いたジュドーを、黄金の閃光が呑み込んだ。

ジュドーは声も無く姿を消し、その場に残されたのは、七穂と月神の顔を借りたマティアス神のみとなった。


 言葉は出なかった。

このまま膝を折っていたら、取り返しのつかない事になる。そう判断し、両脚に鞭打って立ち上がるも、宇宙の暗黒の上で転んでしまう。

不意に涙が零れた。自分は帰れないのだ。大蛇の口に呑み込まれつつある、蛙は自分と同じように感じるだろう。

顔のあたりがカッと熱くなっている一方、自分の運命を何者かが冷ややかに見つめている。指揮棒に振るわれる巨大な少女の指を、七穂は折れたような表情で眺めていた



ありがとうございました。

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