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残された異邦人の女

趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 佳大達が去った後、世界は日に日に荒廃の色を深めていた。

戦いに秩序と知恵をもたらすエリシアが死亡した事で、戦場に身を置いた者にはヴァルダ神の狂気が襲い掛かった。

心弱く恐怖に囚われた者、経験の薄い新兵は獣同然になり、歴戦の傭兵ですら運動能力の向上と引き換えに技が鈍る。

また、ロムードが滅んだ影響も大きい。

富を溜め込む事が出来なくなったのだ。畑や家畜は日に日に痩せ、奴隷を縛る事は出来なくなり、金や宝石は徐々に輝きを失っていった。


 七穂は木賃宿だった建物の2階から、疲れた目を表通りに向ける。

通りでは黒パンを巡って、若い男2人が喧嘩していたが、パンを奪おうとした男は前歯を折られると、恨みがましい目で逃げ去る。

七穂はすかさず首を引っ込める。無駄な体力は消費したくない。


 七穂は隣のベッドで、静かに寝息を立てるチェルシーを見た。

苛立ちを募らせているであろう彼女は、体力を温存する獅子のように静かだ。

マーカスもウィルもミルドも、最初に出会った頃と比べて明らかに口数が減っている。


(カナメ、私はどうすれば…)


 佳大が巨人族を倒した事、イースの神々を殺害した事は聞かされている。

その結果、この世界が現在のような状況になった事も。この有様について思う所はないのか佳大に聞いてみたいが、彼は姿を消したらしい。

巨人の領域までは目が届かないので、元いた世界に帰還出来たか否か、2人にはわからない。


 この日の晩、七穂はアポロン=カナメと向かい合っていた。

真っ白な空間の中、濃茶色の髪を肩まで伸ばしている、三白眼の少年が彼女の前に座っている。七穂に加護を与えた太陽神だ。

鼻筋はすっと通り、顎は小さい。そっちの気が無い男ですら、衆道に目覚めさせかねない美少年。

着流しのような衣装に身を包に、足にはサンダル状のブーツを履いている。爪はよく手入れされていた。


「カナメ、私が暮らしていた世界に向かってください」

「無理だよ。前に話したの、忘れたのか?何で今更」


 カナメはぷいっと顔を逸らした。


「佳大さんに連絡を取りたいのです」

「死んだかもしれないのに?」

「本気で言っていますか?」

「ああ」


 七穂はカナメの突き放すような口調に、嘘の臭いを感じた。

カナメは同じイースの神々を葬っていく彼と戦う選択をしなかった――その程度には警戒しているのだ。

帰りたい、と本来なら言いたいが聞き入れはするまい。

尖兵は存在を保つうえで神殿以上に重要な、この世への楔なのだ。それを手放す気は無いだろう。


 七穂は以前、彼に元の世界に帰してくれと言ったことがある。

しかし、イースの神々には世界の見分けがつかないそうだ。無論、自分達が生まれた世界と、それ以外は目を瞑っていても分かる。

河原の石を一個の世界として、それが尖兵候補を連れ去った世界か否か、去った後では判別出来ない。

辿った歴史が違うかもしれない、もし「別の七穂」がいるかもしれない。仮にそうだった場合、お前はどうするのか、カナメは逆に彼女に尋ねた。


「現在の佳大さんと一般人の区別すらつかないのですか?」

「…ああ」


 七穂は露骨に大きく息を吐いた。


「巨人族はどうなったのでしょうね」

「さあな。佳大達がパッチ王国で暴れたから、痛手は被っただろうよ」


 それきり会話は途切れ、夢の中の会談は終わった。

翌朝、七穂パーティーは街を出ると、山間部に足を向けた。獲った獣は財となった瞬間から傷みだすので、市街地の有難味が薄いのだ。

その日食べる分を獲るなら、人里から離れた方がいい。街を出てしばらくすると、街道の交わる四つ辻に出た。

一人の男が木陰に座っており、七穂を見ると神懸かったような足取りで一行に近づいてきた。


 彼は青みがかった黒髪を肩まで伸ばし、切れ長の瞳を真紅に燃やしていた。

白蝋のような肌をしているくせに、祖父の代から使っているようなボロい外套で身体を包んでいる。

七穂に向かって伸ばされた腕を掴むと、マーカスはぐいと投げ飛ばした。


「あ、あぁ…痛い!何するんです」

「ウチの連れにちょっかい掛けないで欲しいんだが、何か用か」

「あぁ、はい。そちらのメガネをかけた女性はカナメ神の使徒、ウリュウナナホ様でありますね?」

「そうですが…」

「そちらのご婦人はチェルシー様、そちらの大きな御方はマーカス様…おぉ、主神マティアスのご託宣!!」


 狂喜する男が口走った名前に、七穂は興味を惹かれた。駆け寄り、肩を掴む。


「すいません、今マティアス神と言いましたか!?」

「はい!昨晩の事、夢枕にマティアス神が立ち、あなた方の名前と世界を修復する方法をお授けになったのです!!」


 男が顔を寄せてきたので、七穂は気圧されたように身を引く。その頭上で、1羽の鷹が旋回する。


「そりゃすげぇな!」

「胡散臭いわ。さっさと行きましょ」

「そうおっしゃらないで、私このようなものを預かってきたんですよ」


 彼が取り出したものは、形のあるものではない。

雷霆の一端より生み出した魔術、主神の雷火マティアス・ライトニングとマティアスが保有する鎧「光輝」の放つオーラの一部から作られた主神の息吹ブレス・オブ・マティアス

それぞれ、後衛と前衛に渡された。使用方法は彼に聞くまでも無く、頭の中に浮かんできた。


「こいつは…アンタ、名前は?」

「ジュドーと申します」

「今の世界をどうにかできるんだな?」

「はい。眠れるガイア神と、海底のマーリド神を討つのです。さすればマティアス神は蘇り、世界は癒されると」


 ひたすら胡散臭い。

一行はアイコンタクトでお互いの意思を確かめると、ジュドーの案内に従い、地母神ガイアの元に向かった。

チェルシーが戦闘的な魔術師か習得していないことが災いして、この場で自白させる事は出来ない。


ありがとうございました。

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