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クリスと佳大のゲーム―俺とお前はよく似てるー

趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 全身に絡みついた不可視の鎖を振りほどき、佳大は立ち上がっていた。

それを認めたクリスは不満げに歯を剥き、己の身体を発射せんと踏み込む――その顔面を柿色の拳が打ち抜いた。


「よぉおおし、力押しだ!!」


 佳大は興味が湧かない限り、無気力に浸かりきっている。

特に喧嘩、暴力を振るうのは嫌いではないが、相手にする気力が起きないのだ。

さらに現代社会では、喧嘩をすると警察を呼ばれてしまう。事を荒立てるより、適当に謝って済ませればいいじゃないか。


 特にクリスとは戦いたくない。

人狼の少年に対して、佳大は自分でも珍しい位、親しみを感じている。

望むか望まざるかは不明だが、コミュニティから一人距離を置いていたその在り方。敵とみなした相手に容赦が無く、責任感や使命感に見るべき点が見当たらないその性格。

繕ってきたとはいえ、佳大にも覚えがある。


 自分の頭の中でしか通じない、偏った価値観で信仰する愚か者。

衝動を素直に吐き出す彼は、佳大からすると眩しくさえある。常識があり、力の無かった佳大には、決して真似できない生き方をクリスはしている。

道を違えない限り、俺はお前を見限らない。


 ようやく、戦いらしい戦いが始まった。

腰を上げた佳大の動きは素早く、クリスの前脚を見事に捌き、拳を突き入れていく。

追い縋る暴風だけで城壁を抉る凶悪な一撃が雨霰のようにぶつかり合い、彼らは目まぐるしく攻守を入れ替え、螺旋を描く。

再び巻き起こった氷の渦のなか、炎の種子が弾け、発生した水蒸気がまた凍り付く。獣の打ち合いが千を超えた頃、黄金狼の爪が罅割れ、闘鬼の拳から血と肉が迸った。


 佳大の怪我が忽ち癒えると同時に、クリスの爪は砕ける。

しかし、調子よく攻めているのは巨狼の方だ。佳大は突きや蹴りといった立ち技を中心に戦うので、獣化したクリスのような相手は苦手だ。

つまり、足を取られると弱い。滑るように接近したクリスは、佳大が軸にしていた左足に食らいつくと、顎にあらん限りの力を込める。

苦痛に悶える左足を無視して、佳大は腹筋だけで黄金狼の顔にしがみつき、左眼窩に拳を突き入れた――その動きが止まる。


 停止、いや凍結と言うべきだろう。

佳大によって与えられた加護、発現させた力は有形無形問わない凍結。

物体は勿論、敵の再生すら止めてしまう。拳の再生を許したのは、殺戮本能と直感に拠った戦闘スタイルに合致しないからだ。

クリスのよくやる戦い方は自分の高い性能が生む絶望的な威力を、大量に叩きつけるもので、相手の行動を制限する詰め将棋のような戦法は、彼からすると回りくど過ぎる。


「よひ…ひほ!」


 クリスが首を振り回すと、佳大の身体はフレイルの錘のごとく宙を舞った。

やがて、主人より先に左足が黄金狼に屈服する。股関節から先がちぎれ、佳大が地に叩きつけられると同時に、火の雨が姿を消す。

クリスは歯の間に残った佳大の左足を捨てるでなく、音を立てて咀嚼すると、胃に流し込んだ。


「底が知れたねぇ…!!ヨシ――!?」


 左足を失った佳大は身を起こすと、残りの部位を使ってクリスに飛びかかる。

すかさず回避し、音速の体当たりを試みた黄金狼を、10本の肉槍が貫いた。

佳大が伸ばした指だ。音の10倍の速さで伸びた指は、瞬きより早く狼の背中を貫く。


 クリスが再生を封じている為に左足の断面からは、血液が蛇口を捻った様に流れている。筋肉を動かして血管を塞ぐも、隙間から漏れるのは止められない。

氷槍の雨に打たれながら、宙に浮かんだ形の佳大は、突き刺した指から雷電をクリスの体内目がけて放つ。


 体中を灼けた錐を掻きまわされたような痛みが駆け巡る。

炭化した組織で噎せながら、クリスは更地の外に立つ木々に、山肌に、中空に浮かぶ佳大をぶつけ、引き離そうとする。

しかし、指が変化した触手には「返し」がついており、抜けない。クリスと佳大のパワーの競り合いを反映し、放電の勢いに強弱が生じた。


(まだかよ!まだなの!?)


 クリスの抵抗の勢いは、徐々に弱まる。

脳髄が限界を迎え、黄金狼は狂った疾走を終えた。クリスが前のめりで倒れ込んだ拍子に、地面に落下する。


 変身が解除され、黄金の毛の海からクリスの身体が浮き上がる。

低い背丈と、細い腰。黄金狼が意図せず作った空き地で、指を縮めた佳大はクリスに近づく。

少年は気を失っているが、佳大の左足の傷が癒える気配は無い――彼は生きている。呼吸が浅い。

後遺症が残る不安があるが、自分の力が絶えず供給されているなら、そう酷い事にはならないはずだ。


(片足で……はぁ)


 クリスの頬を軽く叩くが、目を開けない。

華奢な少年を抱え、左足の断面に意識を集中しながら、慎重に跳んでいく。

誰か来る前に逃げたいのだけど。息を大きく吸ってから、佳大は地を蹴って、空に上がった。

崩壊した足元に軽く目をやった瞬間、佳大の身体は重力に引かれる事無く、チェリオ近辺で待っているのだろう仲間達を目指す。


ありがとうございました。

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