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ベヒモット村から来た少年

趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


「あぁ、もう来たんだ」

「!――お前の客かよ」


 こちらも屋根はあるが、入口の部分が壊されたのか、雑に広げられている。


「そう。僕を殺そうとしたからさー、逆に殺してやったんだ」

「あぁ、そりゃ災難だな」

「君は無関係なんだし、逃げた方が良いんじゃない?」

「情報集めたいんでな、逃げてもしょうがないんだ。ちょっと行ってくる」


 走り去る佳大を、クリストフは興味深そうに見送った。

佳大は矢の飛んできた方向に走る。第二射が放たれ、彼の身体に命中するも、皮膚に弾かれてしまう。


「おーい!」


 廃村の入口を、獅子や馬に騎乗した弓兵、豹や狼が固めていた。

動物たちのサイズは様々だが、金髪の少年ほど巨大な個体は一匹もいない。

彼らはクリストフの予想通り、ベヒモット村から差し向けられた追っ手だ。


「村民か?」

「クリストフの仲間か…」

「獣人ではないよな?」

「まさか」

「オーガじゃないか?」


 佳大は重大視していないが、変化した彼の姿は追手にかなりの恐怖効果を与えた。

視線の高さは変わっていないながら、頭の左右から捻じれた山羊のような角が生え、髪は日差しを浴びるヒマワリのような山吹色。

彼らは亜人とも人間とも思えない人型の怪物に、矢を放ち、それを追うように豹と狼の切り込み隊が突撃した。

佳大は無視された事に腹が立ったので、一暴れする事にした。皆殺しにしようとは思っていないし、巨大な黄金狼との戦闘を生き残った事もあり、気持ちが荒ぶっている。


「おい、話くらい聞けよ」


 一語一語、はっきりと告げるが帰ってくるのは爪と牙、無数の矢のみ。

牙を剥いた豹を掌で突き飛ばし、脚に噛みついてきた二匹目がけて拳を振り下ろす。

卵のように頭が割れ、佳大の両手を血と脳漿が汚す。掌で牙を払い落すと、傷は瞬く間に塞がった。

この一幕でいよいよ恐慌に陥り、部隊の1/3は村に引き換えす。


「逃げるな馬鹿者!」

「村にコイツの事を!」


 ヤバい、と考えた佳大は一足で距離を詰め、背を向けた者達を薙ぎ払う。

蹴り足が獅子の胴を貫き、拳の一突きが弓兵の頭を爆散させる。明滅するように地を蹴り、立ち位置を変えて数を減らすが数人は逃がしてしまう。

追うのはやめた。あの男の子が見つけられるのは不味い――友達でも何でもないが、彼を追ってきたこの者達は、友好的ではないらしい。

独りで仕掛けてきた彼の方が、この集団程不愉快ではない。よって、佳大は少年の側につく事にした。


 ちらりと視線を向けると、廃村の中に侵入していく残留部隊の一部が見えた。


(動くな!)


 そう考えた直後、足先から頭頂に向かって、甘ったるい痺れが駆けた。

瞬きより早く、痺れは頭の先から天に昇り、稲妻となってクリストフの追手に降り注いだ。

逃れた者はいない。家の中に入っていた者を、雷電はミサイルのように追尾、貫いた。

熱と衝撃。皮膚と筋肉、そして内臓が焼き尽くされた彼らは、一斉に倒れ伏す。


 戸惑い、立ち尽くす佳大は少年の元に小走りで向かう。

心配しているのか?そうかもしれない。いきなり襲い掛かってきたのは理解不能だが、明るい話しぶりだ。

口は軽そうだし、ちょっと事情を聞く分には問題ないだろう。


「生きてるかー!?」


 気の無い声をかけると、のっそりと少年が民家の入口から出てきた。


「生きてるーって、僕が死ぬわけないじゃん。っていうか、もうちょっと静かにして欲しかったんだけど。うるさ過ぎ」

「あぁ、悪かったな。戦うのが初めてなもんで」


 少年はけらけら笑いながら、歩み寄ってきた。

彼は佳大の側を通り過ぎ、焼け焦げた追手の死体を見下ろして笑う。


「それでー、あぁひどいなーこれ。みんな死んだの?」

「いや、何人か逃げた」

「アハハ、じゃあ、ちょっとお喋りしよう」


 少年は佳大に中に入るよう目配せし、土間に置かれた椅子に座る。

佳大も誘われるまま、椅子を引いて腰掛けた。まだ本調子でないのか、椅子に尻を乗せた時、少年は重い息を吐いた。


「このあたりの人じゃないみたいだけど、お兄さんはオーガなの?」

「オーガ?」

「身体がとても大きくて、角の生えてる連中だよ。南にすっと行ったところにある湿地帯に暮らしているんだって」


 佳大は眉を顰め、腕に目をやる。

明り一つないが、少年の顔を細かく見て取ることが出来た。肌の色も同様。

自分のものとは思えないほど、逞しい右腕。角が生えてる、という少年の言葉を確かめるべく、佳大は頭に手をやる。

硬いものが頭に触れ、指で確かめてみると、先端が尖っていた。


「俺は人間だ」

「あはははっ!まさか、人間が僕に殴られて生きてるわけないじゃない。大体、その姿は何だよ、えぇ?」


 高笑いと共に否定されてしまうが、戸惑うばかりで腹は立たない。

佳大からすれば人間の父母のもとで生まれただけなので、人間でなかろうがそうであろうが、どうでもいい。

自分は杉村佳大。大事な事はそこだけだ。


「お前だのお兄さんじゃ呼びにくいねー、お兄さん名前は?僕はベヒモット村のクリストフ。クリスでいいよ」

「杉村佳大」

「ヨシヒロかー、変わった名前」

「そっちこそ、狼に変身してたが、人間じゃないのか?」

「僕は獣人と霜精の混血だ」


 何気なく名乗っただけだが、ロムードの与えた加護がなければここで一悶着あったかもしれない。

彼の下に刻まれた烙印の力により、会話や読解において不都合が存在しないのだ。クリスは未知の言語で話しているが、佳大には日本語にしか聞こえないし、逆も同じだ。

霜精だの獣人だのについて、深くは聞かなかった。大体わかる。


「で、人間のヨシヒロは何でこんな所に?」

「ロムードって奴にさらわれてな、ここに放り出された」


 隠す必要も感じなかったので、異世界云々を除いて正直に明かす。


「放り出されて……人攫いかな?」

「そんなところだろう」

「ふーん、奴隷を途中で捨ててったなんて変なの、なんでだろう?」

「知るか。まぁ、…このまま行ったら浮浪者か奴隷になるのがオチだなぁ」


 身元のはっきりしない異国人の末路など、よほどの才覚と幸運がない限りその2択だろう。

そして、自分にその2つは無い。あったなら、もっと要領よく生きている。佳大は嘆息すると、クリスに質問をぶつけてみる事にした。


「お前、なんでアイツらに追いかけられてたんだよ?」

「なんでって、殺そうとしたから返り討ちにしてやったのさ!そうしたらうじゃうじゃ湧いてきてね」

「…そっか。そりゃ大変だな」


 佳大が素っ気なく言うと、クリスは不満気な表情になった。


「それだけー?もっとなんかないの?」

「話したいなら喋れば。アイツらが来るまで聞くよ」


ありがとうございました。

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