元神殿騎士ニコル――守られる男――(3)
趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「我が腕よ震えよ、敵を砕けシルフ!」
詠を精霊に捧げ、ニコルは愛剣を振るう。
その斬撃は一個の生き物のごとく、クリスに駆け寄る。
剣を振り切る頃には、吹雪の中で生まれた歪みがクリスに喰らいついていた。
「ははっ。追いつかれちゃった」
笑うクリスの首の皮膚に、2筋の切り傷がついた。
ニコルはそれを認めてはいなかったが、今更撤退など出来ない。戦女神の加護を信じ、勝利を掴むのだ。
「ふ、ふふふふふ」
高を括っていたのだ。
神殿騎士だか知らないが、たかだが人間。彼は自分に一太刀も浴びせる事無く絶命するだろうと考えていた彼の瞳が、不吉に揺らめく。
口元が裂けたように吊り上がり、喉を鳴らす。人間というより、捕食動物を思わせる獰猛な笑み。
「これがヨシヒロの敵かぁ、これから楽しみだよォ、本当さぁ!」
ニコルの身体が優に100mは舞い上がる。
クリスが四肢の獣化を行ったのだ。凍結した地面がめくれ上がり、鎧が、愛剣が雹の嵐の中で砕け散っていく。
神力を注がれた彼の身体は先程とは比べ物にならないほど頑丈だが、無敵ではない。マティアスが魂を所有している以上、ニコルをある一線より強化する事はできない。
そういった事情を知るものはこの場にいなかった。空間を踏んでいるとしか思えない三次元移動、それに随行するソニックブーム、二つを持って叩きつけられる強靭な爪。
「ほらほらどうしたァ!あんな切り傷程度で、僕がどうにかなると、思ってんのかよォ――!!」
「…死を封じる青銅の檻!!」
エリシア女神が所有する「盾」の一端を開帳する。
その瞬間、ニコルの周囲およそ100mが灰色の石に変化した。
街路樹は精巧な彫刻となり、凍った川を塞き止めるように、水流の一部が石に変わる。
石化した川の側は、実に荒涼としていた。
相変わらず震えるほど寒いが、吹雪が止んでいる。だが安心できない。
落下したニコルは受け身を取って素早く立ち上がるが、彼は全身から出血していた。
右目が完全に潰れ、右脚は骨の欠片を詰めた袋と化している。
――クリスは隕石の如く落下すると、灰色の地面に突き刺さった。
爆ぜる大気が悲鳴を上げる中、家屋が弾け飛ぶ。あらゆるパーツが石で構成され、まるで火山に呑み込まれた遺跡のようだ。
箱庭のような都市の川べりの、中央の橋から東の橋にかけてのエリアは、今は無残に崩壊し、ただ瓦礫の渓谷と化していた。
「なるほど、こんなものまで隠していたか。最後のはびっくりしたよ」
クリーム色の空の下、独り立つのは金髪の少年。
瓦礫の上に立ったクリスは足元に目をやると、指揮者のように右手を振り上げる。
すると地面が揺れた。それから5秒ほど経つと、瓦礫の隙間から赤い霧が吹きあがった――凍結したニコルの血液だ。
「途中で死んでもおかしくなかったのに、よく今まで食らいついてくれたね。負けるのは分かっていたけど、状況を好転させようと必死こいてる君の姿に、僕の心も思わず震えてしまったよ」
相手の健闘を讃える口ぶりだが、クリスの心にあるのは自己陶酔だけだ、
それなりに楽しかった時間潰しを、最後に美しく締めくくろう。相手への敬意など小指の先ほども無い、これほどの戦士を倒した自分は、こんなにも強大で凄まじいのだと確認しているだけ。
「さようなら。君の冒険はここで終わりだ」
クリスは南のエリアにいる佳大とジャックの元に向かう。
背の高い黒髪の青年はクリスに気が付くと、両手を血に染めながら、右手を掲げた。ジャックは黒雲に抱えられ、宙に浮いている。
「終わったか、クリス」
「あぁ、それなりに楽しめたよ。他人を人生の規範にしている下らない奴だったけど、慰みには十分だろう。気を遣わせたみたいだね、ヨシヒロ」
「気にするな。変な場面で爆発されるよりいい」
「ひどいなぁ、僕は君が思っているほど堪え性の無いやつじゃないよ。そっちも愉しんだみたいだね」
あぁ、と佳大は篭手を掲げる。
ニコルを襲うクリスに近づいてきた魔物を迎え撃っている内、篭手と脛当は変形。
彼の手足に馴染む形になり、微弱ながら魔力を発するようになった。
3人の周囲には、原形を留めない程破壊され、積み上げられた肉の小山が積み上げられている。足元には赤褐色の川が滔々と流れていた。
「……」
「どうした?」
3人は川の南にある商店街に足を踏み入れた。
前掛けを身につけた男が鎌を振り回すが、佳大の掌打で顔面が陥没。腹に膝蹴りをもらい絶命する。
先に進もうとしたジャックは、佳大が立ち止まり、西の方角を睨んでいたのに気づく。
ありがとうございました。




