元神殿騎士ニコル――蘇る男――(2)
趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「ねぇねぇ、それだけって事ないよね?その程度で僕を下せるって」
声は後方から聞こえた。
「本気で思ってたの!?」
首を掴まれた瞬間、ニコルの視界が反転する。
彼の背後をとったクリスは、見上げるほど大きな騎士の身体を持ち上げ、放り投げる。
宙に投げ出されたニコルの前身に、絡みつく蹴打の嵐が襲い掛かる。一撃で胴鎧が裂け、腸を斬り刻む衝撃が数十発。
落下すらできない騎士が、握りしめていた剣を僅かに動かした瞬間、蹴打が止む。
クリスはニコルの胴体に絡みつき、逆さまにした彼を垂直に叩きつける。
ニコルの脳天に、彼の全体重が襲い掛かり、鼻と口腔から血が漏れる。
鎚を振るうようにニコルを地面に叩きつけたクリスは、一旦距離を置いた。
「これでおしまいかな?何か言い残すことあるなら聞いてあげるよ?それぐらいは礼儀として弁えてるから」
剣の間合いに入ることなく、クリスは上体を屈め、顔を覗き込むようにする。
少年の貌は、ニコルの倒れている位置からは見えない。しかし、その楽しそうな声色から察するに、笑顔を浮かべている――貼り付けていると言った方が正しいか。
「…女神エリシアよ、……この魂、貴方に捧げよう」
指一本とて動かない。
己自身ともいうべきものが全身から流れ出しているのが、自分には分かる。
翳っていく視界に慄きつつも、恐怖を表に出す事無く、蚊の鳴くような声で絞り出す。信仰と引き換えの法術ですらない、聞いてくれるかどうかわからない、ただの懇願を。
「…私に力を。……加護を…」
静寂が包む。
せっかく佳大が勧めてくれたというのに、これで終わりか。
残念そうに肩を竦めたクリスが背中を向けた瞬間、愛撫にも似た痺れがクリスの肌に走った。
まさか、あれは間違いなく死んでいる――。
「へぇ」
起き上がったニコルは、小さな背中目がけて一閃を放つ。
戦闘態勢を解いた少年を、背後から狙う事への呵責は無い。歓喜と昂揚だけがニコルの胸を満たしている。
まだ戦える。彼に侮蔑されたまま散るなど、軍神エリシアの神殿に仕えた騎士として、許される事ではない。
「そうか。君、負けを認めたんだねぇ。自分一人で勝てない事を悟り、あの鎧女に助けてもらったか」
「お前ェ――!!」
絶叫するニコルの顔に、冷たい風が降りかかった。
「勝利の女神に守られて、なんて安い話だ。こっちも暇だからいいけど、普通付き合わないんだからね」
白い爆風がニコルの視界を覆った。
瞬き程の時間差もなく、数えるのも面倒な数の氷槍が、クリスの後方からニコルの後方目がけて殺到する。
女神の神力により、戦う力を取り戻したニコルを圧し潰すべく、数万の氷柱が迫る。いくつかは川に落ち、両者が立っている道の上には氷柱が透き通る墓標となって乱立する。
それ自体は槍や刀剣には及ばないかもしれない。
氷柱だけなら大して脅威ではないだろう。しかし、ニコルの全身は厳しい寒気と氷刃の面射撃に飲み込まれてしまった。
2人の側を流れる川はあっという間に凍りつき、眉や髪が霜が覆われつつある。唇が痛い――唾液が凍り付いているのだ。
「卑怯者!」
「卑怯?心外だなぁ、君が手札を一枚切ったから、僕も一枚切ったのさ。喜んでくれよ、僕がこれを出せた事を」
口の端が痛む。切れたのだ。
クリスは厳しい寒気と渦巻く吹雪の中、滑るように駆ける。
先程ですら目で追い切れないほどの俊敏さを見せていたが、もはやその移動は瞬間移動に等しい。
左脛が折られたと思った瞬間、側頭部に後ろ回し蹴りが浴びせられる。
一息吸う度に肺が痛む。
エリシアの加護無しで耐えられる環境ではない。常人なら一息で肺が凍り付き、毛細血管が死に至るほどの寒さ。
ありがとうございました。




