戦女神エリシアの分体、人鬼の前に降り立つ(1)
趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「杉村佳大」
乙女の右手には槍、左手には円形の盾。
鱗を連ねたような鎧を身に着けているが、二の腕を晒しており、腰から下はスリットの入ったロングスカート。
「我が名はエリシア。妹ロムードの嘆きを聞き、30の英霊の魂と、120の子らの血と引き換えに、この地に降りました」
気分が高揚していくのが、佳大には分かった。
こちらの世界に伝わる神話の神、軍略と審判の神。敵が向こうから来たのだ。
「ロムードを出せ」
「貴方に彼女を呼びつける権限はありません。それより、その姿は何です?使徒でありながら、まるでオーガ族のような姿…」
視線が向けられた瞬間、佳大の全身に静電気の様な痛みが走る。
(交渉の余地なし――死ね)
佳大の怒気を反映した雷電が、巨躯の乙女を貫く。
軍神とはいえ、雷速に反応できないのか。狼狽えたような声を漏らすが、発赤した皮膚に水ぶくれが出来たのみ。
「くぅっ……!この力は」
佳大はフェイントも無しに真っすぐ突進。
痛みに顔を顰めつつ、エリシアは間合いを計ると、長槍を猛烈な速さで振るう。
別の生き物のごとく指が動き、柱のような長槍が、10の軌道で同時に叩きつけられる。クリスに勝ると劣らない速度で迫っていた彼、人外の肉体を得たばかりの彼に、これを避ける事は出来なかった。
衝撃が身体の奥深くに刺さり、あちこちの骨が折れる。しかし、止まらない。痛みを怒りが凌駕した。
佳大は躊躇う事なく足を前に出し、逆突きを乙女の胸に打ち込む。
エリシアはその間彼の身に起こっていた変化に驚き、また勝利の手応えが破られた事に驚いた結果、一撃を受ける羽目になった。
空気を吐いて背後の柱廊に突っ込むより早く、何かが爆ぜる音に反応し、態勢を立て直す。長槍と柿色の拳が打ち合う。
(大きくなっている)
佳大の体格が僅かな間に、彼女と同程度に上昇。
乙女の腰のあたりにあった彼の目線が、今やエリシアの額の位置にある。
回り込むように移動し、連続で刺突を繰り出す。ジャックの眼には、穂先が分裂したようにしか見えないスピードだ。
無論、敏捷に長けるクリスは目で追う事が出来る。
「ハァッ――!!」
佳大が身体を向けた時には、6発の刺突が命中していた。
まずは右肩、続いて左脇腹、顎、左胸、臍、右腰。致命傷だ――人間なら。
血液検査を数百倍にしたような痛みに、佳大は苦悶の声をあげる。しかし止まらない。
巨鬼と化した佳大のすり足で、荒れ野に亀裂が走る。巨岩のような拳を音の速さで突き出すも、槍の一撃に阻まれる。
「あぁアっ――!!」
構う事なく佳大が突っ込むと、エリシアは槍を奔らせた。
首を狙った薙ぎ払い――を佳大の掌が止めた。得物を握り込む、節くれだった人鬼の手。
エリシアは問答など考えもしない。即座に愛槍を放し、回廊の向こう側に、宙返りで消える。佳大もそれを追った。
(実戦経験はほとんど無い様だ…、しかしこの胆力、いい戦士になるでしょう)
エリシアは訓練場の外で、佳大を待ち受ける。
加減などしていない。本体には及ばないが、出せる力の全てを持って、得物を振るっている。
神の尖兵でありながら、招いた神に守られていないのは、一目見た瞬間に分かった。
しかし倒せない。正体不明の力を薄紙一枚ほども剥ぎ取ること叶わず、刻まれた槍撃の数は十回を超えるのに、倒れない。
佳大がほぼ素人に近い事を、エリシアは早い段階で看破していた。
拳や蹴り、そして体捌きを見るに、体術の訓練を受けているらしいのは見て取れる――事実、佳大は少林寺拳法初段だ。
しかし、身についていない。あるいは余程怠けているのか、忘れたのか、ストレートすぎる打撃の軌道。彼女が見た戦士の中で、最も未熟な男だ。
もちろん、異形に変じた肉体は脅威だ。
膂力、速度、頑健さ、どれをとっても巨人族に勝るとも劣らない。
しかしそれだけの男ではない、とエリシアは評価する。彼の故郷――地球、日本については、エリシアも限定的ながら知っていた。
こちらとは違う、平和な国らしい。そのような土地にも、この男のような人物が育つのか。
ありがとうございました。




