超短編小説「トランペット・ブルース」
トランペットでブルースを吹きならす男の事を考えていた。彼は恋人を無くしたのだ。彼は悲しみを感じたけど、そばにいる人もお金が無かった。だから唯一の持ち物のトランペットでブルースを吹きならした。彼はそのまま町中にいき、数々の人から批判を…たまに称賛を得ながら町から町へ旅していく。次第に彼は有名になり、音楽界に新たな常識を持ち込んだとして雑誌にも取り上げられた。彼はインタビューでこう話した。「あのとき、トランペットを売って酒を飲んでいたら、今の私は居なかったでしょう。ですがトランペットを売っていれば、この悲しみから抜け出せたでしょう」と述べた。彼はその後妻を持ち、子供を三人得て、普通の暮らしを手に入れる。特別幸せでも特別不幸でもない普通の暮らしを。多分彼はもうトランペットは売ってしまっただろう…。僕はそこまで考えて、空を眺めた。空はいつもどおりの色だった。少し、悔しい。
実は小説家を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、アドバイス等がありましたらどんどん下さると助かります。