表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のん気な男爵令嬢  作者: 神無 乃愛
婚約者とマイヤ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/96

拷問

 その日の午後に呼び出されるあたり、それくらい緊急な話なのか、それとも相手が暇なのか。

「間違いなく、後者だよ」

 ヴァルッテリが呆れていた。今までも「転生者疑い」があった者は、貴族だろうが平民だろうがあったと。平民の場合はその場で牢屋行き、貴族の場合は特別裁判にかけるのだと。

「あらまぁ」

 不平等な気もするが、アベスカ男爵領が異常だっただけだと切り替えた。


 夫人のお下がりだというドレスを着て、城へと向かう。


 城に近づけば近づくほど、邸宅も悪趣味なほど贅を凝らした造りになっていた。

「ヴァルッテリ様」

「なんだい?」

「あの彫像、この国の聖獣、ジャイアントマカイロですわよね」

「当たりだよ。あの家は不敬罪に問われない。何せ、現王妃を輩出した家だ。あちらは、宰相の邸宅」

「初めてですわ。聖獣を彫像にしているのを見るのは」

 呆れて言葉にもならない、というのが正しい。何せ、聖獣は国の節目節目にしか現れない。

「ここ十数年、見ていないよ。だからこそ、威厳を保つために必要だそうだ」

 馬鹿馬鹿しい。王国はスレイプホッグという、ぽっちゃりした馬に似た聖獣である。もちろん、彫像になどしないし、男爵領の森に時々遊びに来ている。

 スレイプホッグがいると、魔獣が半径数キロにわたりいないため、採取をメインとする冒険者にはありがたがられる。討伐メインは泣くらしいが。


 王宮に入るなり、マイヤは拘束され、ヴァルッテリと引き離された。


 そしてすぐ、拷問が行われた。


 鞭など可愛いものだ。卑下た笑みを浮かべた粗暴な男たち。これが、王宮の拷問官だとは笑わせる。

「お前は転生者だろう!?」

 入って来た男は、確か宰相だったはず。これが帝国式拷問らしい。


「違う」と言えば、鞭を振るい、焼き鏝を押す。あとで治療できる範囲でやっている、わざとらしく宰相が言った。


 その瞬間、マイヤは「勝った」と思った。


 証言せぬまま、一日。「白状すれば傷を治す」と言われ続け、拷問を受けた。


 意識が遠のきかけた時、誰かが入って来た。


 気が付けば、天蓋のあるベッドでマイヤは寝ていた。

「わたくし用の部屋を、王太后様が取っていてくださって助かったわ」

 看病していたのは、公爵夫人ともう一人見慣れぬ女性だった。




一応、各国には国を守護する聖獣がいます。

ジャイアントマカイロ……ローゼンダール帝国の守護聖獣。かなり大きく、こちらの世界で言うところのネコ科に分類される。元ネタはサーベルタイガーの一種、マカイロドゥスから。つまり、かなり大きいネコだと思ってもらえれば分かりやすいかと。

スレイプホッグ……グラーマル王国の守護聖獣。スレイプは、ご存じ、スレイプニルから。ホッグは英語で豚のこと。大きさとしてはサラブレッドくらいで、太さは約三倍くらい。……威厳ねぇ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ