表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/96

3

 マイヤから見た使者であるウルヤナの感想は「あ、こいつ信用ならん」だった。

 上から目線、高圧的、自己中等々。悪いところをあげていけばきりがない。向こうからしても、こちらが信用ならないのかもしれないが。十年くらい前に再度戦があり、帝国が勝った。そこで力関係が逆転し、帝国の属国扱いになっているはず……である。


 マイヤはそういう意味では異端なのである。帝国貴族の母親と、王国貴族の父親。デビュタントで嫌というほど悪意ある視線を向けられた。

「マイヤの髪の色がグラーマル王国にないからというのもあるかもねぇ」

 のほほんと話す父親だが、しっかりと守ってくれた。それ以来、マイヤ自身が魔法をほとんど使えないこともあり、「あんなくだらない社交界に出なくていい」と言ってくれた。

もっとも、ダニエルが一人分しか移転できる魔力がなかったことに由来し、出席するために馬車を使って半月も揺られるのが苦行で、ダニエルが一往復で降参した、というのが実情だ。

 マイヤもこんなくだらないことをするのが王侯貴族なら、二度と関わりあいたくない。そう言って、領内の内政に精を出したのだ。

 祖父も大変喜び、「為政者としてのイロハを叩きこみ終わるまで死ねぬ!」と言い、本当に叩き込むだけ叩き込んだ後に他界した。その根性に領民までもが喝采を送るとともに呆れたものだった。

「明日には婚約者候補の方がいらっしゃるのよね」

 移転魔法を使ってさっさと来るらしい。どうせなら、破棄してさっさと帰っていただきたい。さすがにそれは口に出さなかった。父や執事たちにはばれていたようだが。

「わたくしだって暇じゃないのよ。女は暇だと思って急にいらっしゃるんだから」


 ……一応、帝国側からは半年も前に打診されていたという事実を、ダニエルもマイヤも知らない。



 かくして、初の婚約者との対面に臨むことになった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ