首都ギルド
すごく、久々の投稿です
ギルドに入ったオレたちに多くの視線が集まる。それもそのはず、オレは3人の美女を連れ立っている。
大国の姫君でもおられるレア。彼女は想い人の勇者を捜すためにオレのパーティに参加している。まさに姫と言わんばかりの黄金の長い髪をうなじ辺りでピンクのリボンで一つに纏めている。
主にサーベルを使う彼女は姫騎士としても名高い。
レアに隠れるようにしているのが、肩まで伸びた白髪のナトエ。領地と首都をつなぐ道、その途中にある村を盗賊から救ったところ、旅を共にすることとなった。
彼女はオレと同じ転生者だそうだ。ただ、彼女の前世はあまりいいものでなく、辛く悲しいもので、今世でも男性恐怖症は治りきっていない。転生者であることはオレだけに告白してくれた。彼女のときたま発する言葉が現代ものでオレは気づいたからだ。
魔人族なみの魔力を持ち、付与魔法で戦いを支援してくれる。
そして最後に、オレの幼馴染みでもあるフェアである。オレのこの世界での初恋でもあるが、彼女はオレの兄貴にご執心だ。
オレの幼馴染みだけあって、時たまオレの思ったことが言い当てられることがある。色々と鋭いくせにオレの気持ちには鈍感。気づいてて知らないフリをしてる可能性も否めないが。
これがオレの今のパーティメンバーだ。実のところオレは自分のクランをつくってたりする。クランの紹介は機会があればでいいだろう。
今回こなしたクエストは『討伐:B級ランドウルフの群れ』である。ランドウルフは灰色の狼で、一匹である際は初級冒険者でも討伐可能のDランクだ。しかし、群れにもなれば2ランク上がって、中級冒険者対象となる。
討伐の証明のため、4人のギルドカードを提出する。
群れは約120匹にものぼり、ギルドの規定とする30匹を4倍近くも上回っていた。
受付嬢はプロの意地で驚きを隠していたが、一瞬だけこちらをチラ見したのは見逃さなかった。
1人30匹を葬った計算だが、実際には彼女3人だけが狩った数だ。彼女たちがウルフと奮闘しているなか、オレは別の用件を片付けていた。そのせいで戦闘をサボっていたと誤解されたが、秘密にしていることには理由がある。
オレは単独でSSランクのクエストを行っていたからだ。ドラゴンゾンビとリッチの組み合わせだった。ランドウルフが森の浅いところまで来たのも、おそらくこの2体から逃げたためだろう。
過保護かもしれないが、彼女たちを(ランドウルフの群れを任せるだけの)信頼をするうえで、(SSランククエストのような)危険なことにはあわせたくない。
彼女たちには内密にしているため、後程精算するつもりだ。
本来ギルドカードは一人に一つだが、オレのギルドカードは2つある。彼女たちと組む用につくったパーティ用Bランクカードと、オレがソロで使うSSSランクカードの2つである。
オレの実力を知るものはほとんどいない。知っているのは家族とクランメンバーぐらいかもしれない。
報酬を貰った後は夜まで各人計画である。オレは彼女たちと別れた後、もう一度ギルドに入り、受付嬢に「隠された月は、太陽に照らされぬ」と、言い渡す。
SSSランクにもなると、多大な恩恵を受ける分、しがらみも多くある。合言葉もまたランクを示すための手段の一つだ。
「隠された月」というのは、SSSランクの者が行うクエストのこと。
「太陽に照らされぬ」とは、言葉そのままで、公表されることはないということだ。
最高ランクのSSSが受けるクエストは、例外を除いて、基本的に表にでることはない。無謀な挑戦を抑えるためというのが大きな理由だ。クエストが表にでないのだから、クエスト達成も公表されないわけだ。
しかしながら、報酬は当然莫大なものになる。この世界におけるお金の歴史は長く、硬貨は廃れた。今ではキャッシュカードを一人に一つ持っている。カードどうしを向かい合わせ、簡単な操作で受け渡しができる。
カードはその持ち主しか扱えないように細工されている。カードを持っていないものは物々交換になるのだが、基本的に貧しい人も持っている。
それはさておき、カードには慎ましく過ごせば5人は一生を暮らせるだけの数字が刻まれている。
お金は武器や装備、装置などで使うのでなくなるのは一瞬だ。
新しい武器や装備等を思い浮かべながら、夕焼けに染まる街を歩く。途中、甘味処に入る彼女たちを見かけた。彼女たちはちょくちょく女子会を開くので、オレは除け者だ。別に悔しくないんだからな。
今日は首都での最後の日だ。明日には国境をまたぐため、西へ向かう。
各都市のギルドを経由していく予定だ。勇者はおそらく魔界にいるだろうが、魔界に行くためには魔界からの協力者がいない限り、各国の了承が必要だ。
どんな出会いがあるんだろうかと心を踊らせながら、一人沈む夕日を見上げた。
エタりだけはないですが、更新はものすごく遅いです